決定的瞬間
サッカーとか野球とか、スポーツ観戦していて、ハラハラする場面が苦手である。バレーボールでも、ここで落としたらおしまい、というような場面を見ていられない。神経が細かいのだ。肝が据わっていない。
卓球でも何でも、1点を争うような、あんな逼迫した雰囲気のなかで、よく集中してプレーできるなと感心する。スーパーアスリートはすごい。
自分もバレーボールの選手だったのに。
確かに、メンタル弱い選手だったかもしれないなあ。
決定的瞬間は見たい。サッカーで点が入るところをリアルタイムで見ることができたら、「やったー!」と嬉しいけど、ハラハラするのも嫌だから、スポーツニュースで見るか、結果だけわかったらいいや、と最近は投げやりにもなっていた。
昨日は大相撲の千秋楽だった。横綱照ノ富士と、関脇琴ノ若が2敗で並んでいた。照ノ富士は休場明けで、膝のサポーターが痛々しい。琴ノ若は初優勝がかかっている。
どっちも勝って、優勝決定戦だ。例によって、そんな緊張する取り組み、見ていられないと思ったけど、なぜか席を立たずにテレビを見続けた。
照ノ富士を見ると、ハッとするくらい気合いが入っていた。迫力ある表情だった。本割も、優勝決定戦も。
私はどっちを応援しているというわけでもなかったのだけど、照ノ富士の気合いの入った顔を見て、きっと優勝すると思った。そして優勝した。
私は興奮した。声を出して応援していた。いやあ、良い相撲だったな。そして、やはりリアルタイムで見るもんだ、と思ったのだった。
今日は、大相撲好きなお年寄りは「大相撲ロス」になっているはずだ。楽しみが終わってしまったと。
(見出しイラスト:ありがとうございます)