読書日記~『アラスカ 光と風』星野道夫著
読んだ本は全部記録する読書日記。
公民館の図書室から借りました。
星野道夫さんの本は好きで読んでいました。本も写真集も持っているし、写真展にも足を運んだことがあります。久しぶりに星野さんの著作を読んで、新たに、その生き方や人柄、アラスカに対する愛、大自然に向き合う姿に感銘を受けました。
①アラスカへの憧れ
北の世界への憧れを募らせていた大学生の頃、アラスカの地図を見たところから始まります。
見ず知らずの村へ手紙を出し、星野氏のアラスカへの道が開かれます。どうしようもなく惹きつけられる。運命だったのでしょうね。
②文章の素晴らしさ
星野氏の書く文章は、なんて素晴らしいのだろう。目の前で繰り広げられているように、アラスカの大自然や人々の営み、星野さんの心境などがイキイキと、詩的で読みやすい文体で書かれています。読んでいる者の胸に迫ってきます。
③アラスカの大自然と同化する
星野さんは極寒のなか、カリブーの写真を撮るために、2週間、一人でキャンプを張ります。思った通りのオーロラを撮るために、1ヵ月待ち続けます。セスナが迎えに来るまで、ひとりです。
風と雪が吹き荒れるアラスカの自然は、人ひとりの命なんて、あっと言うまに飛ばされてなくなってしまう。星野さんでも感じる不安。そして期待。
そして、たった一日のチャンスを捉えるのです。それは、もう神の領域かもしれないと思いました。
③エスキモー人の生まれ変わりか
星野さんはアラスカの村で、人々と仲良くなります。それは星野さんとアラスカとの、引き合うようなつながりのためと思う。だけど、星野さんの本来の、人を見る優しさや人なつこさがあるからだと思いました。皆を愛していたし、愛されていましたね。
エスキモーの人々は、近代化の波の影響があるけど、ずっと昔からの営みを続けています。獲物が獲れないと飢えて死ぬ厳しさもありました。悠久の時代の流れを感じました。クジラ猟の様子が興味深かった。
④クマとの共存
この本のなかで、何回かクマについて書かれていることろがあります。
装備の関係で、ライフル銃を持って来ていない。そんなときはテントでやはり不安だ。でも、クマも人間が恐いはず。クマとのナチュラル・ディスタンスが崩れてきているという警告も。
この本を出版した次の年、星野さんは襲われてしまいました。ちょっとした綱の引き具合だったのかもしれません。
⑤心に届く写真
星野さんの写真は、見た者の心を揺さぶります。星野さんにしか撮れない写真の数々です。言葉にできない美しさです。
地球は生きていて、ダイナミックに動いていて、風や雪や氷や光や土や海があって、さまざまなものが生きている。人間だって、地球に生きている自然のほんの一部なんだと思いました。
最後に
星野さんにまた出会えて嬉しかったです。他の本も読みたくなりました。『旅をする木』は家にあったと思うのだけど見つかりません。
私も「北」に惹かれます。北海道育ちなのに寒いのは苦手ですが、白い世界とそこに生きるカリブーやクマなどの写真に魅せられます。
*ヘッダーは富良野の夜明け。
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