パチンコ屋の音
先週の探偵ナイトスクープ。一本は、重い病気のお母さんに、最後にパチンコをさせてあげたいというものだった。昔からいろいろ苦労したお母さん。仕事も趣味も、その人生にいつもパチンコがあった。店の好意で、閉店後、家族が集まり、みんなで打つ。お母さん、大当たり!とても嬉しそうだった。
パチンコで思い出すことがある。
父の生まれた家は、商店街の中にあった。大昔は薬局をしていたのだけど、そのうち、店を貸すようになった。私が小さい頃、そこはパチンコ屋さんだった。
父は仕事の関係で家を出ており、実家は父の弟夫婦が、母親の面倒と一緒に、守ってくれていた。1階を貸し、住居は2階だったが、1階の角では、たばこ屋をずっと営んでいた。
子どもの頃、父の実家に帰ると、パチンコ屋の「ジャラジャラジャラジャラ」という音がずっと聞こえていて、うるさかった。遊ぶところもなく、何をしたらいいのか、所在なく、二つ上の姉の後をいつも追いかけていた。
その頃の商店街は賑やかだった。人通りも多かった。パチンコ屋のあと、店子は洋品店になった。
一時期、両親と私と、叔父夫婦と商店街のその家に住んでいたことがある。私は朝早く、シャッターを開けて仕事に行き、たばこ屋の店番の手伝いもした。そして、ここからお嫁に行った。
両親も叔父夫婦も今は亡く、たばこ屋も洋品店もない。商店街は、閉じた店ばかりで、まさしくシャッター通りになっている。何年か前に行ったが、人通りはほとんどなかった。アーケードだけは、そのままだった。
あまりいい思い出はないのだけど、「故郷」を持たない私の原点は、ここなのだ。