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書評

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ヨミタイモノ、ココニアリマス。
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#詩人

阿部日奈子詩集『キンディッシュ』

詩集の幕開けとなる「行商人」から、肌触りが違う。 外国文学を礎にした前作『海曜日の女たち…

既視の海
6か月前
16

阿部日奈子詩集『海曜日の女たち』

しびれる。詩集名だけで読みたくなる。著者名も詩歴もまったく分からないが、気にしない。 そ…

既視の海
6か月前
23

小林エリカ『彼女たちの戦争——嵐の中のささやきよ!』

Webちくまに連載していたときから楽しんでいた小林エリカ『彼女たちの戦争——嵐の中のささや…

既視の海
8か月前
14

四元康祐『偽詩人の世にも奇妙な栄光』

書けない苦しみ。溢れ出る驚き。 のちに偽詩人と呼ばれた吉本昭洋は、いずれも味わった。詩人…

既視の海
1年前
19

Luis Poirot “NERUDA: Retratar la Ausencia”(パブロ・ネルーダ写真集)

1971年、ノーベル文学賞の受賞記念としてパブロ・ネルーダの自宅で開かれた夕食会。そこに招か…

既視の海
1年前
26

アントニオ・スカルメタ『イル・ポスティーノ』

原作があったなんて、まったく知らなかった。 南イタリアの小さな島を舞台に、素朴な青年マリ…

既視の海
1年前
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ジュンパ・ラヒリ『思い出すこと』中嶋浩郎訳

見えてはいるが、誰も見ていないものを見えるようにするのが、詩だ。 詩人・長田弘のこの言葉が、真っ先に思い浮かぶ。 インド系アメリカ人でピューリッツァー賞作家でもあるジュンパ・ラヒリが、イタリア語への憧れを満たすために40代でイタリアに移住する。その動機やことばへの接し方をイタリア語で執筆したのがエッセイ集『べつの言葉で』。イタリア語への習熟と生活への親しみを、孤独を愛する女性を主人公にして著したのが長篇小説『わたしのいるところ』。3年のイタリア生活に一区切りをつけ、1年の

アレン・ギンズバーグ『吠える その他の詩』柴田元幸訳

アレン・ギンズバーグ詩集『吠える その他の詩』(柴田元幸訳)を読む。 1955年10月7日。ア…

既視の海
1年前
19

『詩人 吉原幸子:愛について』を読む。女性詩論やアンソロジーでは読んだことがあるが、吉原幸子の全体像がわかり心が震える。掲載詩では『これから』『日没』『街角』がいい。エッセイ『花を食べる』にも胸を射貫かれる。詩集も積読があるのに『全詩』が読みたい。とくにⅢの朗読CDを聴きたい。

既視の海
1年前
15

吉田美和子『単独者のあくび 尾形亀之助』

吉田美和子『単独者のあくび 尾形亀之助』を読む。 尾形亀之助が42年という短い生涯で刊行し…

既視の海
1年前
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現代詩を、聴く。

小池昌代/林浩平/吉田文憲(編著)『やさしい現代詩(自作朗読CD付き)』を聴く。 そう、聴い…

既視の海
1年前
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学ぶために読んだ2冊目の詩誌『凪』第二号。見開き2ページにおさまる詩も多くほっとする。なぜこの言葉を用いたのか、別な表現はなかったかと考えながら読む。最も響いたのは、水木なぎ『空気』。野宮ゆりさんと雪柳あうこさんは先日の詩誌『La Vague』と重なるが、実はこちらのほうが好き。

既視の海
1年前
3

松下育男『これから詩を読み、書くひとのための詩の教室』【書評】

行分けをしたわけでもなく、韻を踏んだこともない。しかし、これまで自分が書いてきた文章は、…

既視の海
1年前
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先日読んだ二人称小説である倉橋由美子『暗い旅』は、現在の場面は現在形の文末表現、回想の場面は過去形の文末に書き分け、思考の揺らぎも表わす。『この世の喜びよ』は文末が混在している。著者は詩人なので「なにを書くか」よりも「いかに書くか」を期待していたのだが、ちょっと残念。(2/2)