古本を買う・買わないはどこで決まるのか【ソトガクnote/雑感と所感 #1】
2024年2月19日(月)。やること山積ではありますが、リアル書店で本を物色すべく、三条の京都BALビル内にある丸善へ向かいました。こちらでは、地下のスペースでよく古書市をやっていて、今日もたまたま「丸善へんちなんまへ〜ん」という古書市イベントが開催されていました。
古本屋ないし古書市に来たときは、基本的にすべての棚を一旦チェックして周り、目星をつけておき、もう一周してから購入するかを決めることにしています。毎年開催される下鴨神社の納涼古書市など、膨大な数の書店が一挙に集まる際にも、かつてはこれを実践しており、一日中入り浸って、二周どころか何周もぐるぐる巡ったものです。もはやそのような体力はありませんが…。
さて、今回の古書市もとても良い本が多く、二冊ほど購入しました。そこでふと思ったのですが、とりわけ古本について、自分はどのような基準で買う・買わないを判断しているのかという疑問が湧き上がってきました。
まず、こちらの古書市に来る前に、ブックオフに立ち寄り、吉見俊哉『大学という理念 絶望のその先へ』(東京大学出版会)を購入していました。
昔のブックオフの値付けは、どのような高価な本であっても、超貴重な文献であっても、基本的に定価の半額だったのですが、どこかのタイミングで方針が変わったのか、あまり値下がりすることがなくなり、かつてのように掘り出し物を見つけることができなくなりました。吉見本はについては、今の自分の関心に合っていたというのが大きく、定価の1,200円引きですぐに購入を決めました。
ちなみに、ブックオフにかんしては、どのような本であっても、2,000円を越えると「高いな、新刊本で買おう」となる印象があります。
さて、今回、古書市で購入したのは、ミルチア・エリアーデ『オカルティズム・魔術・文化流行』(未來社)と平井啓之『テキストと実存』(講談社学術文庫)です。
前者は20世紀初頭のフランスの神秘主義の動向に関心があるのと、後者は、ドゥルーズのベルクソン論をまとめて訳した『差異について』の翻訳者である平井氏の著作を読んだことがなかったという自身の動機にマッチしていたわけですが、何より、書店の新刊本コーナーではもはやお目にかかれない(と思われる)というのが大きな要因となりました。その意味では、ブックオフにデリダの『グラマトロジーについて 下』もあって、しばらくその場に立ちすくみ悩んだんですが、まさに2,000円を超えていたのでやめました。また、こちらの古書市では、出版当時と今の物価高の違いなど全く意に介さず、定価のきっちり半額(エリアーデ本1,300円→650円、平井本→500円)であったというのも決定打となりました。
ということで、古本を買う・買わないの自分なりの基準は、①自分の(人生全て、その時々の)関心事にマッチしていること、②ブックオフでは2,000円以上の本は買わない(例外はあり)、③絶版本であること、④定価の半額もしくは半額以下であること、と言えそうです。普通といえば普通ですね。しかし、②に気づけたのは、個人的には大きな発見だったかもしれません。