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サブスクリプ婚

恋愛相手を定期契約するサービスが誕生した。

少子高齢化に悩む政府は、”婚活協議会”を立ち上げ、若者が恋愛しない理由を調査。定番の「経済的負担」や「メリットの少なさ」に加えて、課題が浮き彫りにされた。

“出会いの少なさ”

この課題を踏まえた上で目標を「少子化対策」に置く政府は、議論の末に新たな法案を可決した。その名も、

“サブスクリプ婚”

具体的には、
「恋愛関係を予め選んだ契約期間とし、適時延長を協議すること」。
これにより適齢期の国民は多くの異性との出会いを創出され、一か月を期限に双方が延長を申し出なければ、次の相手との交際を約束される。

互いの好感度が強いほど、契約期間は伸びる傾向にある。
男「とりあえず2年で」、
女「へ?そんな長いの」?
とか、互いの思惑の違いで、初っ端からひとモメするケースも。

ウマが合い、愛し合い、目的である「少子化対策」に功を奏すケースもあれば、ドロドロのトラブルの一歩手前で感情のもつれなく、リスタートできるケースもあった。

世間では、再婚を考慮して結婚式は質素になり、神父は「永遠に愛しあうことを誓いマスカ」?の一文を削除。

大恋愛の末に結ばれた二人の男女。
お互い工面して、二人の時間をつくってきた。
そんな熱意も時の流れと共に薄まり、嚙み合わない時間が過ぎる。
「そろそろ解約の時期か」?と感じた男。
少し前からそれを言いだそうとしていた女。

毎月更新される政府の”フリーランスリスト”には、独身の男女が“街角スナップショット”のように並んでいる。
身の丈に合わない”高嶺の花”を求める場合、自らの総合力と、”モテ得る”努力を重ねて付加される”マイル”を使用する。概ね、女性のほうが恋を重ねることにより、肝が据わりマイルアップするケースが多い。

ふと魔が差したか、以前の彼女を懐かしむ男。
「いま、何してるんだろう」?
「元気でいてくれればいい」と分かってはいても、素性を知りたくなるのが男の性。

ある日、”フリーランスリスト”で彼女を見つける。
仄かな期待を胸に、彼女のタグをクリックする。

「マイレージが不足しています。充分なマイルをご用意ください」。


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