Blankey Jet City「不良の森」 2 藤宮蒼一 2024年10月27日 14:23 「不良の森」という曲はブランキー最後のオリジナルアルバム「Harlem jets」に収録されている。この曲はシングルでもないしベスト盤にも収録されていない、しかしプロモーションクリップは制作されている、ブランキーの中では外せない曲だと思う。浅井健一はこの曲の中で1人の不良少年を作り出してその心情を歌詞に書き出している。「不良は空を見上げ、麻薬をやり続ける、思いは世界平和」浅井健一の描く不良少年は(前にも書いたが)「純粋だが、残酷な一面を持ち、1人ぼっちの寂しい少年」なんとなくだが、そのような感覚を覚える、世間一般のステレオタイプな「不良」とは違う。「不良」というと「ビーバップハイスクール」や「ろくでなしブルース」に出てくる登場人物を思い浮かべるかもしれないが(古い)しかしこれらの漫画に登場する「不良」はなんだかんだで根はいい奴らだったりする。自分が高校生の時、ダルク(薬物中毒を更生する施設)の人が講演に来てくれたが、その人は中学生から先輩のすすめで薬物をやり、喧嘩したり、ろくに学校にも行かず、刺青をいれ、高校生からヤクザの事務所に出入りするという、筋金入りの「不良」だったが、薬物中毒になり施設に入ることとなる、そして「薬物がどれだけ人の人生を破壊するか」を話してくれた。治療は受けたが、今でも薬物をやりたくなり依存性は完治しないらしい、皆さん薬物はやめましょう。「汚れた心があることを、でもそれは美しいことなのか」 自分が思うに人間の性格にそう大差はない気がする、生まれながらに100%悪人などいないと思うが、生活環境によってどこかで捻じ曲がってしまったのかもしれない、殺人のニュースは絶えないが…「人は人を殺してはいけない」のはみんな分かっている。たまに「何で人を殺したらいけないんですか?」などという人間がいるが…問題外である。最近は死刑になりたいが為に、敢えて重い犯罪を犯す人間も出てきたりするが、世の中一見、物に溢れて豊かそうに見えるが、実はそんなこともなかったりする、そういった「絶望型犯罪」の根本の原因は何だろうか、難しい問題だが…世の中や自分の未来に希望を見出すことができなくなったのかもしれない。「いつかは皆んなが好きになる、嬉しさをくれるから」 人と人が集団になったり、グループになったりするとあまり良いことがない、いじめや対立関係を生んだりするからだ、学校だけでなく、会社でもそうだったりする「あいつがちゃんとやらないから…」「あの部署のせいで…」「彼は、彼女は…」等キリがない。人を同じ部屋に集めて集団化させ、教育したり、仕事をさせたりするのは軍国主義の名残らしい、そこら辺は詳しくはありませんが、気になった人は調べてみて下さい。しかしかと言ってずっと1人だと誰かと話したくなったり、寂しさを感じたり、人間ずっと1人ではいられないもので、ヒトというのは難しい生き物である。…この曲は10分以上あり、長いが終盤は浅井健一がギターソロを弾きまくっている、アコースティックギターも聴こえる、ギターを3つぐらい重ねて取っているようだ。そして前作「ロメオの心臓」では中村達也のドラムも奥に引っ込んでいたが、この曲ではドラムの音が全面に出ていて良い感じだ。やはりこの曲のポイントは浅井健一の詩だが、感じ方は人それぞれだと思う、「暗く、悲しい」感じはあるが、巷に流れている、いわゆる「大衆的なJ-pop」とは確実に違う曲だ。この曲を聴いて気に入ればブランキージェットシティというバンドの他の曲も好きになるだろう。しかしこの曲の世界観が受け入れられないというのは=「ブランキーはあまり好きではない」ことが確定すると思う。何故ならこの曲が受け入れられないのなら「悪い人たち」や「鉄の月」「ディズニーランド」等、他の曲も受け入れられない可能性が高いからだ。ブランキーは直球のロックバンドでもあるが、だからと言って「ヘイ、ベイビー、ロックンロール!」などと安易な表現を中心にしていたバンドではないのはこの曲を聴けば分かるはずだ。「不良の森」はよく言われる浅井健一の「文学性」が発揮されたブランキー後期の名曲である。…そしてもう1つ、自分はミッシェルガンエレファントも勿論好きだが、ブランキーの方が聴いた回数はやはり多い、ブランキーとミッシェルの違いの1つはミッシェルには「不良の森」のような曲がないからかもしれない。「鉄の月」や「悪い人たち」のような曲もない、他にもそういった曲はある、ブランキーとミッシェルは似ているようで全く違うのである。 #note #雑記 #ロック #私的音楽レビュー #トラックレビュー 2 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート