Eric Clapton 「unplugged 」

「Clapton is god」

これはクリーム時代ギターを弾くエリッククラプトンのギター演奏時の指の動きをみた客が壁に落書きをしたものである。「クラプトンは神だ」と。クラプトンが「ギターの神様」といわれる所以はここにある。

自分がクラプトンを聴いた時すでに80年代から2000年代に現れたバカテクギタリストをたくさん聴いていたので「Clapton is god」とまではいかないかもしれない。

自分がエレキギターを初めて手にした時は、クリームの曲「サンシャインラヴ」や「クロスロード」「ホワイトルーム」などをよくコピーした、ギターマガジンやヤングギターを買うと、定期的にこれらのtab譜が載っていからだ。

簡単というわけでは全然ないがペンタトニックスケールが多いので、わりと初心者でもコピーしやすいのではないか?この時代エリッククラプトンはギブソンのレスポールを最大限にまで歪ましたり、「ウーマントーン」といわれる、ギターサウンドを駆使し、弾きまくっていた。それはクリームのライブアルバムを聴くとよくわかる。

クリーム解散後はあくまで「歌」を重視しクリーム時代のように弾きまくることは無くなった。

そして「unplugged 」だが、自分よりひとまわり上の年齢の人はこのアルバムを聴いてアコースティックギターを始めた人は多いのではないか?

そしてMTVで収録された「unplugged 」はテクニック云々を通り越し、素晴らしく味のあるギターと歌を聴かせてくれるライブアルバムとなった。エリッククラプトンの真骨頂ではないだろうか。

オリジナル曲やブルースの曲も織り交ぜながら味のあるギターを弾くクラプトンを観ると確かに「Clapton is god」と言いたくなるのもわかるような気がした。そしてこのライブアルバムはギターだけでなく曲そのものもいい。自分が好きな「センチメンタルなメロディ」に覆われているからだ。

「sign 」「hey hey」
聴いているとなんともメロディアスで軽快なギターである。クラプトンともう一人のギタリストはアンディという方とクラプトンと二人だけだが、クラプトンと一緒にできるということは相当なミュージシャンなのだろう。
決してテクニックに頼ることのないセンスのあるジャムセッションである。

「tears in heaven」
はマンションの窓から転落死したクラプトンの息子のことを歌ったものだ、ギターを持つと必ずコピーしたくなる曲だが、クラプトン本人が持つ細かいニュアンスまでは誰もコピーできないだろう。

「君に天国で逢えたなら、僕の名前を憶えてくれたのかい」

「そのドアの向こうに安らぎが待っていると僕は信じている」

「そしてこれ以上天国で涙を流さなくていいのだと、僕は悟るんだ」

不慮な事故で息子を亡くしてしまったクラプトンの悲しみが伝わってくる、そしてこの曲は名曲である。

「lonely stranger」「nobody knows you」
エリッククラプトンというアーティストはブルースを基盤にしているそもそもブルースとはどういった音楽だろう?自分が知っているブルースのミュージシャンはBBキングとロバートジョンソンぐらいで、しかも名前を聴いたことがあるというだけだ。

元々ブルースは貧しい生活を強いられた黒人の哀歌だというイメージがある。曲がヒットし金と名声が入ってきたジミヘンドリクスにあるインタビュアーがこんなことを質問した。

「あなたは有名になり、お金がある今でもブルースが歌えるのですか?」

歌えることは歌えるだろうが、確かに「魂が入っているのか?」ということなのかもしれない。

しかしエリッククラプトンはプライベートがゴタゴタしている、息子の死、アルコール中毒、女性問題…しかしエリッククラプトンに限らず、誰だって金があってもなくても人生の悩みは尽きない、そう考えるとブルースというジャンルは万人向けの音楽なのかもしれない。

「人の目にはきっと見えないんだ、俺を知るものはいない、俺は貧民街を這いつくばってきた」(lonely stranger)

「落ち目になってきて、いい仲間もみんななくしちまってさ、行き場がなくなった」
「落ちぶれちゃったら、みんな知らん顔。ポケットには1ペニーもない、友達なんか一人もいない」(nobody knows you)

「nobody knows you」はデレク&ザドミノス「Layla 」に収められている。地位も名声もあるエリッククラプトンだがこの曲を歌ったクラプトンがどういった内面を持っているか、なんとなくわかったような気がした。

「Layla」
クラプトンの代表曲の一つ、エレキギターやアコースティックギターを買うと誰もがこの曲をコピーしようと挑戦する。ギターマガジンやヤングギターにもよく載っていた、さっきも書いたがクラプトンはペンタトニックスケールが多いのでコピーしやすいかもしれない。

2022年現在では凄いテクニックを持ったギタリストはたくさんいる、自分もテクニカル系のギタリストをけっこう聴いたがあまりテクニックに頼った演奏をするとなんだかピロピロ言っているようにしか聴こえない時がある。まるで精密機械のようだ、それはそれで凄いと思うが…

エリッククラプトンの「Layla 」や他の曲を聴くとギターはテクニックでなく「センス」なんだなぁと思ってしまった。

「いいか?ギターってのはテクニックじゃない、センスなんだ、速ければいいってもんじゃない」

クラプトンがそう言っているようにも聴こえる。

「running on faith」
この曲もいいです。ここでも速弾きやテクニカルなソロではなく、「味のあるスライドギター」が聴ける。

悲しげでセンチメンタルなメロディ、自分はブルースというジャンルに明るくはないがこの曲を聴くとブルースをもっと掘り下げてみたくなったりした。

「そしたら二人で信じ続けるんだ」
「二人の夢は全て叶うに違いない」
「愛が君と僕を包みこんでくれれば」
「愛が君を包みこんでくれさえすれば」

「San Francisco bay blues」
サンフランシスコには行ったことはない、アメリカぐらい一度は行ってみたいとは思うが、自分は海外旅行にあまり興味はない。

海外旅行に行くと「価値観が変わる」とか「視野が広くなる」とか色々いうが、所詮「一時の骨休めに過ぎない」別に「一時の骨休め」で全然いいのだが、「人生が変わる」というわけではない、旅行が終わればまた、つまらない会社に毎日通う日々は変わらず続くのである。もちろん海外旅行が好きな人はそれでいいと思います。(ちょっと捻くれた考えかもしれませんが…)

自分にとってはsnsで動画を投稿したりライブ配信をしたり、このnoteに色々書く方が意味があるような気がする。(しかし予想通りたいして誰も見ていない期間が続くのでいつまでやろうか?と最近思い始めている)とはいえアメリカぐらい一度は行った方がいいかもしれない。

曲はこのライブの中の曲では1番テンポが速いです。個人的にこの曲を最後にしたらいい感じに盛り上がって終わったかもしれないと思ったりした。


ヘビィメタルやハードロックの歪ましまくったギターリフや派手なテクニカルなソロに飽きてきた人は聴いてみてはどうだろう。

そしてロックギター界はヴァンヘイレン登場後「テクニックの時代」となった。スティーヴヴァイ、イングヴェイマルムスティーン、ポールギルバート、リッチーコッツェン、マーティーフリードマン、ヌーノベッテンコート…

どのギタリストも凄いテクニックをもっている、エクストリームの「ポルノグラフィティ」ではヌーノベッテンコートの凄まじいプレイが聴ける。

イングヴェイマルムスティーンのクラシックのスケールを取り入れた旋律は「ネオクラシカルメタル」といわれた。しかし自分はあまりにもテクニックが凄すぎて「オリンピック競技」を見ているような気分にもなった。

しかし90年代にニルヴァーナが現れそういったムーヴメントは一度終わるのだが、もちろん現在もテクニカル系のギタリストは多く存在する。

自分はそれを否定するわけではないが、「ギターはテクニックを競う競技ではない」という感じもした。

そしてエリッククラプトンはこのアルバム全曲を通して

「ギターってのはテクニックじゃない、センスなんだ、速ければいいってもんじゃない」

と言っているようにも聴こえる。

「Clapton is god」といわれたのはかなり昔の話だが、このアルバムを聴くとクラプトンはやはりギターの神なのかもしれないと思ったりした。



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