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自由に生きるためには?


オーストラリアに住む会計士が『自由に生きていくためにどうしていけばよいか』について書いていきます。
 
1.自由に生きていくこととは

誰もが自由に生きたいと考えていると思います。自由に生きるとは、生き方の選択肢を持って主体的に自分の人生を選べることだと思います。誰もが、夢をかなえるために挑戦したり、勝負したりして、オリジナルな人生を築いていきたい、自己表現したいと感じているのではないでしょうか?
 
でも実際にはこのような状態を実現しいる人は少なく、むしろ生活のために毎日追われている人の方が圧倒的に多いと思います。どんな人でも生きていくたけには最低限の衣食住の確保は必要です。自由に生きていく以前の問題で、日々の生活の確保が目標になってしまいます。
 
自由に生きていくためには、自由に生きていくことを経済的に成立させること、経済的に自立していることが求められます。経済的に成立させないと、自分はこれをやりたいから今の仕事を辞める、という選択はとりづらいところです。

まして扶養しなければいけないご家族がいらっしゃったら、ますます我慢するという方向に向いてしまいます。勝負したくても、配偶者は心配するでしょうし、お子さんがいれば、自分の夢のために路頭に迷わすわけにはいかないのでは、と思います。
 
ちなみに今は比較的求人も多く、ある程度以上のレベルのスキルとコミュニケーション力があれば、転職をしながらお給料を増やしていくことも可能かもしれません。一部の上場企業や歩合制の会社など年収が2000万以上のお給料が出る会社もあるようです。
 
これを2000万以上の給料を出す会社側から考えてみましょう。2000万円以上給料を出すためには、本人が5000万円以上の付加価値を出す必要があると思います。そうしないと適正な利益水準、間接費などを確保・吸収できないからです。あなたは会社に毎年継続して粗利で5000万円儲けさせる自信がありますか。逆にもしそれだけの自信があれば、独立したほうがよいと考えませんか?

2.『日本で』自由に生きていくには資本家になるのが早い
 
『日本で』と書いたのは、日本と私の現在住んでいるオーストラリアではその方法が異なると感じるからです。結論から言うと、日本では雇われるより雇う側に回る、資本家になる方が、経済的には裕福になる可能性が高いです。もしうまく自分のビジネスをまわすことができれば、サラリーマンの生涯獲得賃金をあっという間に獲得することも可能かもしれません。
 
これがオーストラリアでは少し状況が違っていて、雇用されても自身の権利はしっかり守られているので、例えば17時になればさっさと仕事を止めて帰宅することも可能です。17時以降にご自身の趣味やご家族と接することは当たり前です。実際17時前にお店に入ると店員から嫌な顔をされます。店員は17時にシャッターを閉めて自宅に帰れるように16時半くらいから店の掃除をしている訳ですから、17時前に入店すれば当然嫌な顔をされるでしょう。
 
ちなみにオーストラリアでは育児子育ては夫婦平等です。もちろん仕事も同じです。たとえ高額所得者であっても、子供を迎えに行くのも面倒をみるのも半分になります。日本は平等になりつつあるとは思いますが、まだ専業主婦という概念もあり、男が稼ぎ、女が家庭を守る、という考え方の人も一定数いらっしゃることと思います。
 
オーストラリアを見ていると、仕事の生産性も低く、あるいは接客も適当な人を高い時給で雇っても17時にはさっさと帰ってしまうので、人を雇う側にとっては厳しい社会だな、と感じます。雇用者の権利が守られているので、無理に独立するより、雇われる側の方がリスクが低く、現時点では十分自由にやっていけるのではと感じます。
 
反面、日本は今でこそ残業時間も気にする会社も多くなってきたかもしれませんが、まだまだ中小企業を中心としてブラックな企業もあり、時間的にも拘束されたり、副業ができない会社も多いようです。
 
それで一部の上場企業のように高額な給与が保証されるならいいのですが、日本の平均年収は400万円台です。仮に年収が1000万だとしても手取りは700万円で、独身であればよいでしょうが、東京など大都市圏に住まわれてお子さんが二人いたら、食費、住居費と教育費でかつかつ、収支はマイナスになる可能性すらあります。
 
また今や大企業でもあっという間に業績が落ち、倒産まで追い込まれる時代です。大企業に就職したから安心、という時代はもうとっくに終わっています。人口減少が確実で、どんなマーケットでもシュリンクしていきますから、現状維持ができないです。成長していくためには変化しなければいけないのですが、大企業のように図体が大きかったり、自分さえよければ、あるいは逃げきれればいい、と考える老害と言われる人が上層部にたくさんいると、変化に対応できずそのまま終了してしまいます。
 
そう考えると、日本で自由に生きていくためには独立してご自身の事業を営む、将来の独立を視野に入れてスキルを高めて働いていく、ことが必要ではないかと思います。理想を言えば、自分が独立する期限を設けて、逆算思考で自分が身につけるべき能力を身につけて、独立資金やスキル・顧客など準備して独立するのがよいでしょう。
 
ちなみに仮に結果として独立しなくても、独立する気概のあるの人は覚悟もスキルもあるので、会社としては給料を引き上げてでも引き留めたい人材でしょうから、給料が上がることは間違いないと思います。ただそれに満足してしまうと居心地がよくなりゆでガエルになってしまうでしょうから、あくまで初志貫徹でいきたいところです。
 
2024年はAIが一気に進化しましたが、これからはAIですべての職業が見直される可能性があります。自分の業界はまだ大丈夫、とか、大企業にいるから安心ではなく、AIを使いこなせないとリストラの対象になるリスクも多いと思います。ちなみに私の職業である会計士という仕事もAIでなくなる仕事1位に輝くという状況です。

しかしこれも考え方を変えればビジネスチャンスとも言えます。あらゆる業界で『〇〇 * AI』という状態が起こりえますから、ご自身の得意領域と掛け合わせることができれば、大きなチャンスになる可能性もあります。
 


3.自由に生きていくにはファイナンシャルリテラシーがとっても重要
 
そして自由に生きていくために独立されても、ファイナンシャルリテラシーが低いと一時的に上手くいっても継続する可能性はかなり低くなります。ファイナンシャルリテラシーとは、経済的に自立し、より良い生活を送るために必要な、お金に関する知識や判断力のことです。個人の生活をコントロールすることに加えて、独立後に事業をどうコントロールするかも非常に重要です。
 
ファイナンシャルリテラシーを金融リテラシー、マネースキルなどと呼ぶこともあるとは思いますが、ここではファイナンシャルリテラシーと言うことにします。
 
日本では金銭教育は個別で行われているレベルで、ほとんどの人は社会人になった後に独学で学ぶため、かなり能力差があります。例えば、事業をしようという方が貸借対照表や損益計算書すらわからなかったり、事業にかかわる税金のことも知らない方が結構いらっしゃいます。また簡単に投資詐欺に引っかかったり、高額な起業塾やセミナーなどに内容もしっかり確認せずにお金を支払ってしまったりします。
 
事業をご自身で進めていく場合、あるいは独立せずに雇用された状態でファイナンシャルインディペンデンスを目指す場合でも、ファイナンシャルリテラシーは非常に重要です。
 
1)すでに独立されている場合
 
事業を成功させるためには、最低限のファイナンシャルリテラシーを身につけることが重要です。
最初の0→1の段階では、いきなり成功することはまずないので、たくさんの実験をして結果を数値で分析し変化させていく必要があります。しかし、もし数値から逃げていたら、どこをどう修正すべきかもわかりません。
 
そして結果として一時的に売上を上げることができたとしても、上手にお金をハンドリングしていくことができないと、以下のような理由であっという間に資金流出してしまい、下手をすると負債だけが残ってしまう、といった状態になるからです。
 
①    事業の成長過程では、通常売上の着金より設備投資、仕入などの原価や経費が先に支払いとなるため、通常の資金収支のサイクルに入る前に資金ショートします。
②    急激な外部環境の変化などにより、売上が急減し、在庫が積み上がる。
③    儲かったキャッシュを事業と直接関係のないものに投資してしまう。
資金があっても、どこにどこまで投資してよいかわからない。
④    納税資金の確保ができていなかったり、税務調査などで多額の追徴課税を受けたりして資金繰りが詰んでしまう。
 
せっかく儲かっていても、いわゆる黒字倒産なども特に急成長中の会社で十分起こりうる話です。こういったことは、ファイナンシャルリテラシーがある程度あれば防げたかもしれません。
 
また、最終的に自分や周りの人たちの幸せをどうやって実現するのかを考える場合、どう事業の出口を考えるのか?考えないのか?リタイアするのか、リタイア後の生活設計をどうするか?などもファイナンシャルスキルが無いと判断が難しいでしょう。
 
事業者の皆様はすでにいろいろと経験される中である程度ファイナンシャルリテラシーを十分身につけていらっしゃるかもしれませんが、最低限の知識を身に着けて、実際のご自身の事業や将来の生活設計に活かすことは大事だと思います。
 
2)独立するためサラリーマンをしながら資金やスキルを高めている場合
 
これから独立起業して成功しようとお給料の中から一定割合を開業資金として貯蓄したり、スキルを高めている段階にある方にとっても、ファイナンシャルリテラシーはとても重要です。
 
サラリーマンの場合は、お給料額面から所得税・住民税・社会保険料などを源泉してから個人の口座に振り込まれ、基本的には年末調整を会社がやってくれるでしょうから、自身で確定申告する必要はありません。

従って手取り額の範囲で生活すれば問題はありませんが、独立すると、経費を引いて残ったお金から税金や社会保険料を納める必要があります。つまり口座に入っている預金は全部自分のお金ではなく、国のお金も入っているわけです。
 
こういったことも知らずにお金があるからと使ってしまうと、あっというまに首が締まることになります。
 
事業を自分で始めると届け出を出さなければいけませんが、どこにどんな届け出を出すか分かりますか?個人で始めますか?法人を設立して始めますか?独立してもすぐに売上が建って入金されるわけではありませんが、それまでの資金は大丈夫ですか?いくらあれば当面の生活はできますか?健康保険や年金はどうしますか?
 
貸借対照表と損益計算書が何かわかりますか?なぜこれを知る必要があるか分かりますか?自分で作りますか?それとも会計事務所にお願いしますか?
 
いろんなことを考えて準備しなければいけません。専門家に教えていただくことも可能ですが、最終判断は自分でしなければいけません。教えてくれた人が責任を取ってくれるわけではありません。
 
一度独立して事業を始めてしまうと、途中で止めることはできません。なぜならお客様は待ってくれないからです。独立前であれば、時間を取ってどうするか調べたり考えたりすることもできます。また結果として独立を延期したり会社に残ることになったとしても、ここで得たものは必ず会社の事業に役立ちます。

例えば税金のことを知れば、お客さまにも自身の商品やサービスを購入していただいた場合の税金のことまで含めたアドバイスをすることができます。顧客に社長さんがいらっしゃれば、経営の悩みもいろいろとご相談にのることができるではないかと思います。
 
仮に独立する前であってもファイナンシャルリテラシーを高めておくことが大事ということがわかります。
 
このように考えると、ファイナンシャルリテラシーが低い状態で自分の人生や夢を実現していくのは、かなり厳しいものであり、真っ暗なトンネルの中を懐中電灯無しで歩いているようなものです。仮に優秀な経理がいても、自分の人生までは面倒をみてくれません。最後は自分で判断するよりほかはありません。
 
ファイナンシャルリテラシーを身につけることは、自由にそして豊かに生きるために必須だと思いませんか?


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