社労士だけど、労働相談で「傾聴」が役に立つ話
私のお客様は法人や個人事業主であり、いわば「経営者」のお客様となります。
私は顧問社労士として、日々様々な経営者とお話をします。
内容は労働相談が多いのですが、法律上の解釈を踏まえた今後の対応方針を協議した後、社長のグチにお付き合いすることが本当に多いです。
やはり誰も人間関係で揉めたくはないもの。
従業員と揉めてしまった時は、社長さんの方にも大きなストレスがかかります。
私は産業カウンセラーの資格を取ったときに、ひたすら傾聴のトレーニングを繰り返しました。
傾聴の姿勢が身に染み付いていますから、
「今はグチを言いたいんだろうな」という見立てが立ったら、
直ちに相談対応モードからひたすら聴くモードに切り替えます。
人は、不快な思いや不安な思いを、人に共感的に聞いて貰うだけで、随分気持ちが楽になります。
社長さんの悩みに共感的に寄り添い、
話を否定せずに聴く。その効果は例え労働問題が根本的に解決できていなくとも、大きなものになります。
実際にそれにより社長さんからの信頼につながったり、頼りにされるようになったことは私の仕事の大きなやりがいとなっています。
もちろん、顧問社労士として労働問題がこれ以上大きくならないよう、現実的な対応策をご提案することもセットです。
ちなみに労働問題の解決策を検討する時も、まず状況を伺った後に「それで、社長としては(会社としては)どうしたいですか?」と聴くようにしています。
相手の希望を聞いた上で、法律的な観点から、それにはどのようなリスクがあるのか、どのように進めれば望む方向にリスクを減らしていけるか、リスクを踏まえて希望通りに進めることが困難な部分はどこか、という形で助言することが多いです。
もちろん法律的に考えて無理筋、ということもあります。
それでも、相談いただく際には社長自身が一定の思いや考えを抱えて相談されることがほとんどなので、対応策の協議をスムーズに進めるためにもそのスタンスを最初に確認しておくことには効果があると思います。
士業など専門知識を持つ方は、意外と相手の話を聞く前に法律論を前面に押し出しがちになってしまう方も多いです。
そんな中、この「相手の話をしっかり聴く」という基本姿勢を身に着けていると、
「よく話を聴いてもらえた」とお客様の満足度につながるケースも少なくありません。
産業カウンセラーの資格を取らなくても傾聴は学べますので、興味がある方は是非傾聴について調べてみてください。
以上、ご参考になれば幸いです。