社労士事務所勤務体験記
経験を積むため、社労士事務所勤務へキャリア転換!
私は社会保険労務士として開業する前、一度社労士事務所に勤務した経験があります。
それまで人事畑で働いていた訳でもなく、未経験から即開業、ということはさすがにハードルが高いと感じたためです。
また当時は結婚したばかりで、いつ出産と子育てが始まるか分からない状況でしたので、出産後に仕事を探すとき、実務経験のある社労士としての方が再就職もしくは開業がしやすいかなという算段もありました。
結果だけ先に言うと、この判断は間違っていなかったと思います。
就職したのは職員2名だけの小さな社労士事務所
社労士事務所というのはそもそも求人の数が少ないため、寄り好みせず最初に内定を出してくれた事務所に就職しようと思っていました。
何とか自宅から通える事務所の求人を発見し、即応募、その当時はまだ若かったのもありトントン拍子で内定。
お給料は、固定残業込みの月給20万。年収に直すと前職の半分以下でした。
大幅な年収ダウン・・。
それでも未経験の私を採用してくれた事務所への負い目と、「将来につなげるため」と自分を納得させるほかありませんでした。
職員はフルタイムの私1名と、パートの1名体制。
所長と、その奥様が事務所を切り盛りしていました。
顧問先数ははっきりは分かりませんが、おそらく50社〜60社くらいだったかと思います。
社労士事務所で社労士業務のいろはを学ぶ
私が担当したのは、顧問先のお客様の給与計算、入退社や雇用保険給付金の手続関係です。
社労士試験に合格をしていても、実務でその知識が即応用できるかというと、全くそういうわけにはいきません!
お客様から質問されたことに対して、LECのテキストを必死で思い出しながら調べて回答していました。
ただそういった慌ただしい顧客対応にも徐々に慣れ、社労士の基本的な業務については、この事務所で一通り経験できたかと思います。
小さな事務所に就職するリスク
社労士業務の経験が積めたとはいえ
直属の上司が社長(事務所の場合は所長、と呼んだりします)という環境は
私にとっては大変居心地が悪かったです。
というのも、小さな事務所故に所長の考え一つで業務の進め方や職場環境、雰囲気が決まります。
私が就職した社労士事務所の所長は、悪い人ではなかったのですが期日や細々した管理に大変ルーズな人で
新しく給与計算を受託したのはいいものの、必要書類を直前になるまで依頼しなかったり、労働保険年度更新処理の計算や根拠資料がめちゃめちゃで遡ってやり直しが必要になったり、散々な目にあいました。
何かを提案したところで所長に聞く耳とやる気がなければ(お客さんとのやり取りを改善してもらわなければ)根本的な解決にはならないため、
「こんなやり方でいいのだろうか?」とよくモヤモヤしていました。
大きな会社であれば、上司は異動があれば変わりますし
転職などで入れ替わることもありますが
オーナーが直属の上司である場合、その事務所の雰囲気はオーナーが変わらなければ変革は見込めません。
また待遇面ですが、当時はフルタイムでの勤務20万円は固定残業が含まれているとはいえ良い方で、求人を見ていると経験者でも17万程度の月給もよく見かけました。この事務所は残業が少なかったのが救いだったと思います。
資格を持っているからと言って社労士事務所で最初から好待遇となるケースはあまりなく、この待遇面についても、小さな社労士事務所勤務の一つの側面です(「修行」扱いになるから)。
士業事務所には意外にもブラックが多い、と聞いたこともありますが
まさに原因はこういった事情も影響しているのでしょう。
小さい事務所に就職を検討されている方は、このあたりも考慮(覚悟)に入れられるといいと思います。
とはいえ、自分が事務所経営する立場になってみると、人を雇用することの凄さがよくわかります。
当時は色んな不満もありましたが、今であれば「あれが所長のスタイルなんだな」と思える程度に少しは成長しました。
以上、ご参考いただければ幸いです。