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社労士の廃業率ってどれくらい?

私自身が開業する前、社労士の資格だけでは食えないという記事を散々ネットで見かけていました。
「社労士」と検索窓に打てば、次に続く言葉は「やめとけ」だった時は思わず苦笑。。。

せっかく高い登録料を支払って社労士になるのに、仕事にならなければ困るなあと思って、先に開業している先生方のブログを探しては読み漁った時期があります。

結局は先を行く先輩方に希望をもらって開業に踏み切ったわけですが、果たして社労士の廃業率というのは一体どのくらいなのでしょうか。


全業種の廃業率は3.4%らしい

廃業率について数字の出どころを探してみました。

うち一つの雇用保険適用事業所を母数とした調査では、2019年の事業所廃業率は3.4%と出ていました。
※廃業率とは、当年度に雇用保険適用ではなくなった(従業員を雇用しなくなった事業所数)÷前年度末の雇用保険適用事業所数で算出。

毎年、前年の全事業所の3.4%が廃業している(もしくは事業は存続しているが従業員を雇用しなくなった)、ということになります。
調査の母数が「従業員を雇用している事業所」となるので、一人社長の事業などは含まれていませんが、東京商工リサーチの調査でも、確か別の母数でも同じような数字がデータで出ていました(あいまい)。

おおよそ30事業者に1つということになり、意外に少ないと思いませんでしたか?

巷に言う「廃業率7割~8割」とは、いったい何を根拠とした数字なんでしょうか・・(もしかして起業後10年以内の廃業率だったかな?)。

社労士の登録抹消数から廃業率を予想してみる

私が所属する社労士会が毎月発行する会報誌には、登録会員者数と抹消者数などが掲載されています。
社労士は登録をしていないとお仕事ができないため、抹消人数=廃業人数として過去1年間の登録抹消人数と前年の会員数で、廃業率を計算してみました。

結果は社労士廃業率3.5%。
全業種の廃業率と、社労士の廃業率はおおよそ変わらないんですね。

逆に言うと、「資格を持っているから食いっぱぐれない」という訳ではない、ということになります。
社労士資格を取ったからといって安心、ではなく、社労士も他の業種同様、厳しい生存競争にさらされるわけです。

実感としての廃業率は・・

社労士会に登録している知り合いの先生の様子を見ていると、3.5%という数字は結構実態を伴っているように思います。

年間100人に3人~4人廃業していく、ということですから、
しょっちゅう知り合いが廃業していくような状況でもないですし
かといって廃業者が身の回りにゼロなわけでもない、といったところでしょうか。

こちらの記事でもご紹介した通り、社労士はゆるーく仕事をしているという人も結構います。

固定でかかってくるランニングコストといえば年間10万程度の会費とPCの通信代くらい(初期費用は別ですよ!)で、経費を最小限に抑えることができるため、ほとんど活動していないが登録だけはしている、という人が実は多いです。

私の周りにも、行政機関や一般企業で仕事をしているのみで開業社労士としてはほぼ活動していない人、社労士会の仕事に熱心に取り組んでいるが顧客はいない人が、そんなに珍しくありません。

そのような方のうち一部が、開業社労士として仕事をしないのに会費を払うのも、、といって登録を抹消していったケースを何件か見てきました。

なので一口で「廃業率」とはいっても、そもそも本気度が30%くらいの方の廃業も含まれているので、がっつり開業者だけでの廃業率を取ることができれば、当然廃業率はもう少し下がるでしょう。

過度に特定の情報に振り回されないで

私自身も、どこかのネットで見た「廃業率は7~8割」という数字に恐れおののき、自信を無くしました。
こんな平凡人間が3割に残るはずがない、、と。

しかしネットの数字だけではなく、リアルな開業社労士の声(いいも悪いも)を拾い聞いてみることで、希望をつないで開業に踏み切り、何とか事務所経営を6年間続けてこられました。

開業しそれを維持していくことは簡単なことではないかもしれませんが、特定の数字のインパクトに押されて印象だけで諦めてしまうのは、もったいないです。

是非、身近な開業社労士の話を聞いたり、ブログやSNS発信を追うなど、リアルな情報を集めて判断していただければなと思います!

以上、ご参考いただければ幸いです。

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