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「社労士は片手間でできるほど甘い仕事じゃないぞ」問題


私は小学生の子供を育てながら、自宅で開業している社労士ですが
こんな私にも当然お客様がいます。

お金をいただく以上はお客様の利益になるよう、役に立てるよう気を配って仕事をしています。

私なりには制限のある時間の中、頭をフル回転させて仕事に気を回し
子どもにも気を回し、手を回し足を回し・・

と頑張っているつもりではあるのですが、とある社労士さんがこんなことをおっしゃっていました。

「社労士という仕事は片手間で出来るような甘い仕事ではない」

その前後の文脈から、ワークライフバランス重視の社労士や、年金の足しにと働く高齢の社労士さんなどに向けて発せられており、強い批判のトーンを含んでいるものでした。

その方は大きな事務所を経営し、おそらく多くの顧客と職員を抱え、レベルの高いサービスを提供されている様子。「こちとら命を削って顧客と向き合っているのに、パート感覚とは何事か」ということのようです。

私は「共働き」の意識こそあるものの「片手間」の意識は全くなかったので後ろから刺されたような気持ちになりましたが、同時に「うるせえ」「そう考える人もいるのか」とも思いました。


一部は同意。言いたいことは理解できる。

確かに社労士は楽な仕事ではありません。
他の仕事と比較している訳ではありません。
私が社労士としてお仕事をしてきて感じる個人的な感想です。

法律や行政通達の固い文章を読み込んだり、
条件の細かい助成金や給付金の申請には神経を使いますし、
お客様から受ける相談は千差万別なので労務、そして労務以外の分野に関してあらゆるボールを打ち返す知識と研鑽が必要です。

お客様は取引先として最低限気持ちよくコミュニケーションがとれる人間を求めていますから、お客様とのチャットやメール、電話のやり取りにも気を使います。

コンサルティング的なものを求めておられるお客様には、課題を共有し、法的な観点から助言をし、課題解決に一緒に走っていくという根気強さと対応力も必要です。

そういう意味では、考えることを辞め、努力や自己研鑽を放棄した仕事の仕方では、お客様のニーズは満たすことは困難でしょう(どの仕事でもそうですね)。

時短社労士でも顧客のニーズに応えることができる

こちらの記事でも紹介しましたが、社労士会に所属している社労士は年齢層も性別も開業スタイルも様々です。

社労士は経費がほとんどかからない業態のため、「とりあえず開業登録はして、紹介経由の仕事だけ受ける」「自分で担当できる範囲で仕事を受ける」とペースを調整しつつ仕事を受ける層が存在します。

片手間の社労士の仕事が許されないのであれば、私のように仕事に100%を振り分けられないワ―ママの開業や、会社員が経験を積むために副業で社労士を開業するスタイルも許されませんね。

時短社労士であっても、担当する顧客数が適正であれば十分に自己研鑽ができますし、コツコツと続けていれば経験も確実に積みあがっていきます。
一社に対して誠実に、一生懸命向き合うことで顧客からの信頼を得ている社労士もいます。

社労士事務所の規模と経験を重要視するお客様も実際にいますから、そのような方のニーズには答えられないかもしれませんが、必ずしも全てのお客様のニーズはそこであるとは限りません。

親しみやすさであったり相談しやすさであったり誠実さであったり、手続のスピード感であったり説明の分かりやすさだったりすることもあるので、
時短社労士だから顧客のニーズに応えきれないということはないのです。

どんな社労士を選ぶかはお客様次第。
いい社労士は選ばれ、求められない社労士は選ばれなくなっていく。
当然、自己研鑽もせず、必要な情報も出してくれない社労士は選ばれないでしょう。
でもこれって、時短かどうかってそれほど関係あるでしょうか。



とはいえ自己研鑽や知識の仕入れ、新しいことへのチャレンジは常に求められている

法律はどんどん変わっていきますし、助成金の申請要件も毎年少しずつ変わっていきます。
これまで助成金をやってこなかった社労士に、突然顧客が助成金にチャレンジしたいと言ってくるかもしれません。

家庭との両立をしていようが、時短で社労士してようが、
お客様のニーズに誠実に応えようとするのであれば、変化・チャレンジは必要です。

私は、お金をいただいている側の責任としての自己研鑽とチャレンジはし続ける社労士でいたいと思っています。







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