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社労士事務所の売上額はどのくらい?実態調査の結果速報版

社会保険労務士として登録している会員向けに発行される「月間社労士」10月版では、全国2万5千人超の社労士を対象とした業務実態調査の結果速報版が掲載されていました。

私もこの調査には参加しましたが、周りの社労士って実際どれくらい顧問先を抱えてきて、どの程度稼いでいるのかという生々しい話を聞くことはまずないので、結果を楽しみにしていました。

今日はその興味深い結果を少しだけご紹介したいと思います。


回答社労士の属性は?

勤務社労士も含めた回答者数全体で言うと、40歳~59歳までの年齢層がボリュームゾーンとなり、割合としては回答者全体の約57%です。

同じく回答者全体のうち30代~39歳の社労士の割合は6.6%だそうです。
開業社労士は回答者のうち約半分。残りは勤務社労士です。
さらに女性割合は約35%。

回答者全体のうち、私のような30代・女性開業社労士は少数派ということになりそうです。回答者が約25,000人だったので、私と同じような属性の女性社労士の回答者はおおよそ300人程度(約1%)ですね。


開業社労士事務所の顧問契約社数の平均は33社

開業社労士の顧問契約をしている会社数の平均は33社だそうです。
事務所の規模でいうと、スタッフを雇用しない一人事務所が半数以上という結果が出ていますから、その割に顧問先数が平均33社というのは多いなという印象を持ってしまいますが、これはよくある平均値のマジック。

一部の大規模社労士法人が平均値をぐっと押し上げているものと思われます。

中央値で見ると顧問契約社数は10社
中々リアルな数字ではないでしょうか。


もうすこし細かくデータを追ってみると、顧問先社数9社以下である社労士事務所は開業社労士全体の約44%ということが分かります。

一方で、売上が比較的安定している考えられる顧問先数が20社以上の社労士事務所は約38%です。
おおよそ顧問先数が20社くらいまではスタッフを雇用しなくても、社労士一人で何とか回せるのかなと思っていましたが、
一人事務所の割合(約56.4%)と顧問契約社数19社以下事務所の割合(約61%)がおおよそ釣り合っており、私の実感と大きな差がない結果のように思えました。

開業社労士事務所の年間売上は平均1,658万

次に売上を見てみますと、平均値も上位層に引き上げられて1,658万円という数字が出ています。
中央値は550万円です。

こちらは「売上」であって社労士個人の収入ではありません。
社労士個人の収入は、この売上から諸経費が引かれますので、当然社労士個人の年収の中央値もこれより落ちます。

が、別の記事でもご紹介した通り、基本的に士業は大きな経費がかからない業態なので、規模の小さな社労士事務所は、給与収入で言う給与所得控除内くらいに経費は収まるのではないかなという感じもします。


もうすこし細かくデータを見てみると、売上1,000万円以上の事務所が約33%存在する一方、売上500万未満の事務所割合が43%、となっています。

どうですか?
思ったより少なかったと思われるかもしれません。

頑張って数年かけて資格をとっても、年収400万程度だったら会社員と変わらない、と思われるでしょうか。

しかし、以前挙げた記事のように社労士は色々なペースで働いている先生がいるため、これが一概に「稼ぎたくても稼げない社労士業界」ということを表しているとも思いません。

回答者の年齢層を見ても、回答者全体のうち、一般的に働き盛りとされる20歳から59歳までの年齢層は64%程度、裏を返せば36%程度は60歳以上が回答者であることも、考慮にいれるべきでしょう。

結局、色んな年齢層、色んな働き方の社労士が同じ調査に回答して、平均値や中央値を取っている訳なので、一部の数字だけ切り取って解釈するのはやや無理があるのです。
もちろん、社労士になったら確実に稼げるというつもりもありません。
参考程度、興味程度でデータをご覧になるといいと思います。

ちなみに、なんと売上1億円を超える社労士事務所(法人)は2.2%だそうです。社労士事務所の規模拡大路線を目指す方にとっては、夢があるかもしれませんね。

以上、ご参考になれば幸いです。

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