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規模拡大だけが起業の目的ではないことを再認識する
私は開業した当初から、社労士事務所の規模拡大を第一の目標にはしていませんでした。
子育てと仕事をいいバランスで回していくためには、会社員より個人事業主の方が都合がよかったのが、開業社労士になった大きな理由です。
とはいえ、まったく売上を求めていなかったわけでもなく一人前の稼ぎは少なくとも得るようになりたいとは思っており、当初の売上目標は「とりあえず年間500万くらいあれば十分」と考えていました。
目標値をどんどん釣り上げてキリがなくなる事態に
ところが自分でも予想外だったのが、目標をクリアすると次の目標、そしてまたクリアすると次の目標、と目標値を自分でどんどん釣り上げてしまったことです。
どこまで売上を伸ばせば自分は満足できるんだろう?と自分の欲深さに少し恐ろしくなったりもしました。
売上が増えると当然業務量も増えますから、スタッフを雇用して仕事を分散していくことになります。
とはいえ、お客様の基本的な対応は私主体でありたかったですし、まだまだ小規模事業者の私の事務所ではスタッフ教育にも手間と時間がかかってしまいますので、中々目に見えて「楽になった」とは実感しづらい状況でした。
スタッフをもっと増やそうか
そうなると「スタッフをもう少し増やした方がいいんじゃないか」と考えるようになります。
そうすると、スタッフ教育自体をスタッフに委任することもできるようになりますし、私は私の仕事に集中できるようになります。
一時的に人件費が増えたとしても、売上がさらに増えれば十分に賄える・・とも考えました。
あと顧問先が何件増えれば売上がいくらになって・・・と頭の中で計算している自分がいました。
もともと規模の大きな事務所を目指していたわけではない
でもふと「あれ、私って大きな事務所を作りたかったわけじゃないよな」と我に返った時がありました。
自分が一丁前の稼ぎを得ながら子供の成長を近くで見守る形で仕事がしたかったのが、会社員ではなく個人事業主を選択した最も大きな理由だったのに、仕事を頂けるのが嬉しくて、それに伴って売上と経験がどんどん増えるのが嬉しくて、なんか目的を見失っているな・・・と思ったのです。
スタッフを増やして組織化して数字を追いかけることはできるでしょうが、人が増えれば増えるほどお客様との関係を大事にしている私の仕事スタイルを維持することはできなくなるでしょうし、
職場内の人間関係を含む様々な諸問題も出るだろうということは、お客様のお悩みを日々聞いていて分かっています。
今はバタバタと色んな整備に忙殺されていますが、
当面は安定的な売り上げを確保しつつ、最低限の信頼できるスタッフにお手伝いしてもらいながら、慣れていくに従って徐々に落ち着いていく・・という状態を目標にできればいいなと思います。
個人事業主は仕事は青天井
私は昔会社で営業職についていたことがあるのですが、営業は数字が成績です。積み上げれば積み上げるほど、自分の成果になり報酬になります。
とはいえ、会社員ですから所定労働時間は決まっていますし、土日のお休みは確実にとることができていました。
会社員時代は、数字を追いかけて伸ばしていくとしても、基本的に自分の生活を犠牲にするということはありませんでした。また、どんな素晴らしい成績を上げたとしても、お給料が際限なく上がるわけではありませんでした。
ところが、個人事業主になるとそうではありません。
自分が頑張れば頑張るほど売上が伸び、際限なく仕事ができるのです。
売上を作るために土日をつぶして仕事をしてもいいですし、1日20時間働いたっていいのです。
これが個人事業主のいいところでもあるのですが、一方で自分の生活と仕事のバランスは自分で考えないといけません。
受けられる仕事の上限はどこかで決めようと思う
以前も記事にしたことはあるのですが、業務量が増えてくるとお客様に迷惑をかけないためにも仕事を選んでいく必要が出てきます。
それと同時に、最終的に事務所をどのように運営していきたいかという最終形態のイメージを持たないと、ついつい数字の魔力に惑わされて当初の目的を見失ってしまいます。
私は子どもが小学生ですので、子供が親を必要としなくなるまではもう少し時間があります。
そのわずかな間くらいは、数字に惑わされすぎず、自分の生活のペースに合わせて仕事をコントロールしていこうと再認識したワ―ママ開業社労士でした。