同業社労士には気をつけろ?
これまでも同業社労士のことを少しだけ記事にしてきましたが、
その記事にある通り、同業社労士との付き合いや距離感については中々悩ましいものがあります。
今回は、私が思う同業社労士との付き合い方の難しさをご紹介したいと思います。
労働力・スキルを安くで売りすぎ注意
先輩社労士による後輩社労士の労働力の搾取には気を付けたいところです。
社労士会に入会したての社労士には、同じ社労士会に所属する先輩社労士から「うちで社労士の仕事を手伝ってくれないか?」という勧誘がよくあります。
こちらの記事で詳しく紹介しています。
新人社労士は経験もなく、仕事もないことが多いですから、
経験を積む意味でそういったお話をいただくことは、大変ありがたく感じます。
一方で、社労士事務所における給与は、例え資格保有者であったとしても
決して高くないケースが少なくありません。
私が社労士事務所で勤務した時は、業界未経験だったため
安いお給料でも「仕方がないか」と納得の上で修業をしました。
その経験を踏まえて開業に踏み切れたわけですが、
開業登録を行った時も、先輩社労士からの事務所への勧誘がたくさんありました。
勧誘時点できちんと時給を伝えてくれる社労士は良心的でした(たとえ時給が安くても)。
ところが、肝心の時給については中々教えてくれない先輩社労士が少なからずいるのです。
しびれを切らして、「失礼に当たったら本当に申し訳ありません。私の今のパートは時給〇〇円です。少なくとも〇〇円を超える時給でなければ、お手伝いは難しいです」などとお伝えすると、勧誘はピタリと止んだこともあります。
ひどいのは、「一緒に仕事を作っていこう」という建前で近づき、
こちらに無償労働を平気でさせる社労士や
「こういった仕事を任せたいんだけど、できる?」と声をかけ、
仕事の内容だけ見てOKを出した私も悪いのですが
後から安すぎる報酬を提示する社労士です。
もちろん、経験を積むために安い賃金で働くことは、一時的に給与が下がったとしても長期的には大きな資産になります。
それ自体を否定するものではなく、
修行中の身であることをいいことに「安くで使える」「利用できる」と自覚のない悪意を持って近づいてくる先輩社労士には、ちょっと注意したほうがいいというお話です。
儲かってるかどうか、探られる
同業社労士の集まりに参加した時に、稀に遭遇するのが
「あなたは儲かってる?」と確認したい社労士です。
ストレートに「どれくらいの顧問先を持っているか」と聞かれたときもありますし、
「いやー開業してから中々お客探しに苦労してますよ。ねえ、そう思いません?」なんて自虐風のお話に見せかけて、こちらの反応を見て「この人は儲かってそうかどうか」の探りを入れてくる人もいます。
また、会うたびに「仕事はどう?順調?」という、あたかも天気と同列の挨拶ですよと見せかけた探りを入れてくる人もいます。
挨拶風の探りと、ただの挨拶を聞き分けるアンテナくらいは持ち合わせているので、こういった人にはそれ以上詮索されないよう会話には警戒します。
またその反対で、何の下心も虚栄心もなく、ただ純粋な興味で「顧問先何社あるの?」と聞いてくる社労士もいました。
こういった方は陰湿でないので、大勢の社労士がいる前でもお構いなしです。答えたくない私の方が、その場を変な空気にしてしまいそうで、対応に困ってしまいます。
このように、同業者が儲かっているかどうかが気になりすぎる社労士は面倒だなあなんて思っていましたが、
最近は「はい!おかげさまで!!」とにっこり返した方が、納得してもらえるのかな?なんて思ったりしています。
コミュニティーに入らねばというプレッシャー
世間一般同様、同じような属性の社労士は仲良くなりやすいようです。
例えば30~40代の、子育てをしている、もしくはおおよそ完了した女性社労士。
私も開業当初は、子育てをしながら開業している女性社労士の働き方には興味津々でした。
しかし残念ながら、開業してしばらくしてどんどん自分の業務が忙しくなり、同年代の女性社労士とお近づきになる機会を逸してしまいました。
すっかり仕事で忙しくなった後、同じような属性の女性社労士が
互いに仲良くなっている様子を知り、「出遅れたな」と思ったものです。
ただ、負け惜しみに聞こえてしまうと申し訳ないのですが
仕事の帰りにランチをする、出産祝いを贈り合う、
一緒に社労士会のイベントに参加する、
このようなお付き合いは私にとっては少し「しんどい」ものだったので、
まあつかず、離れずの距離感が一番心地よいのかなと思います。
こんな私なので、大勢の社労士が集まる場では「ぼっち」になりがちで
「コミュニティーを広げなければ」というプレッシャーに駆られることも正直あるのですが
まあ仕事上で知り合った同業社労士の先生と誠実な付き合いをしていれば、どのコミュニティーに所属していなくてもあまり問題はないと思っています。
委員会活動への参加は、抜け時が難しい
社労士会には色々な委員会があり、所属する社労士が任意で受けて
ボランティアのようなわずかな報酬で活動することがあります。
例えば社労士会の研修を企画・実行する研修委員会や、会員社労士同士の交流を目的に各種の企画をする厚生委員会、会報誌の制作などに携わる広報委員会などです。
仕事の手を止めたくない社労士は、やはり委員会活動はご遠慮したいという人が大半かと思います。
そのため社労士会の委員会活動は、奉仕精神の高い社労士か、委員会での仕事を自身のネットワーク構築やキャリア構築に昇華させる社労士か、新入会員か、私のように抜け時を見つけられない社労士などが参加をしている傾向が高いです。
新入会員などは特に勧誘しやすい対象ですから、入会オリエンテーションや例会などで委員会活動へ勧誘されるケースが多いと思います。
私も入会時は断る理由が見つけられず委員会活動に参加しましたが、
自分の業務が忙しくなるにつれて、委員会活動が相当な負担になってきます。
実際、私以外にも多くの顧客を抱えて多忙にも関わらず、後任が見つけられないからと委員会活動から抜け出せない社労士もいます。
そのような社労士を見ていると、「社労士業界のために身を削ってもらって本当に申し訳ない」という気持ちになるのですが、
私もじゃあその仕事をまるまる引き継げる余裕があるか、というとそうではありません。
このような勝手に申し訳なさを感じてしまうと、ますます委員会活動から抜けられなくなっていくのです。
ただ補足しておきたいのは、委員会活動は社労士会以外の色んな行政機関などと連携をしたり、社労士業界全般、社会全般の流れのことを知ることができるので決して意味のないボランティアではありません。
その活動自体が、社会的意義の大きな委員会も多いです。
裏方で頑張ってくれている社労士たちを知るため、業界の動きを知るためにも、一度は委員会活動に参加されてみてもいいのではないかと思います。
とはいえ、同業社労士との付き合いはメリットも多い
ここで強調しておきたいのは、同業社労士との距離の保ち方は難しいものがある一方で、決してデメリットばかりではない、ということです。
私も委員会活動で知り合った先輩社労士には色々お世話になりましたし、
先輩社労士同士の何気ない会話から、実務に生かせる情報をゲットしたことも少なくありません。
私は同業社労士との付き合いは最低限だとは思っていますが、
それでもある程度は知り合いの同業社労士がいてくれると
色んな場面で心強く感じることも多いです。
以上、ご参考いただければ幸いです。