研究を辞めたい気持ちと、研究の適性について
1ヶ月ぶりの投稿。
私は、理系の修士課程で終われず、うっかり博士課程に進んでしまった大学院生。
研究を続けるか辞めるか、ここ2年ほどずっと悩んできた。
本格的に辞める選択肢が現実味を帯びてきたので、思考の整理を兼ねて諸々書いていく。
進学の理由
そもそも博士課程に進学してしまった動機を説明する。
きっかけは、教員からのお誘いだった。今思えば、博士課程の戦力が欲しかったのかもしれないが……。
私は、当時から企業に就職するつもりでいたので、博士課程に行く人生と行かない人生を比べたときに、行く人生の方がより多くの種類の経験ができるのではないか?と考えたのが、最大の動機。
辞めたい理由
次に、辞めようとしている動機を説明する。
成果が出ない
創造性がない
息をするように研究ができない
求める人生設計とのズレがじわじわ効く
こちらは多岐に渡るので、順に触れていく。
成果が出ない
そもそも、研究はなかなか成果が出ない。これは巷でもよく言われているし、私も自然に受け入れている事だ。
問題は、これは成果を出せない言い訳としては通らないこと。成果の有無が、卒業できるか否かに直結するためである。
成果を出すには時間が要るので、何年あれば卒業できそうかどうかが、何となく分かる(気がする)。
そして、私は留年せずに卒業するのは限りなく不可能に近いと感じている。厳しいのは、仮に留年して1年の猶予を与えられても、それで卒業できる保証はどこにもないのだ。
創造性がない
研究には、いわゆる新規性が求められる。
これまでに、世界の誰も示したことのない何か新しい概念を提唱する必要がある。
この新規性を生み出すには、創造性が必要となる。しかし私には、この創造性とやらがほとんど無いようだ。
まず、研究テーマを考えたは良いものの、既に誰かが発表した内容(先行研究)の焼き直しに見える。私の分野の先行研究が膨大なせいもあるかもしれないが……。
加えて、私自身、何かを生み出そうという気概を持てていない事にも気づいた。この気概というのは、研究分野に対する問題意識と言い換えられる。
研究分野に対して私は、「何か分かれば嬉しいな」程度の気持ちでしか研究をやっていなかったのだ。
私は、おそらく欲が薄い。そして、研究者は欲深い方が望ましいのだ。
息をするように研究ができない
これが、私が研究に向いていないと感じる最大の要因だと考えている。
研究はやや好きだが、三度の飯より好きではない。
一時期は、家でリラックスしている時でも研究のことを薄々考えていたのだが、やる気の減退に伴って、徐々に考えなくなっていった。
世の中の研究大好き人間たちは、文字通り寝ても覚めても研究のことを考えている(と勝手に想像している)。そんな人間たちを相手に私が戦えるとは思えない。
私は研究のことが何より大好きではないので、注ぐリソースに限りがある。大好きではないので、迷いも生じて、一心不乱に取り組めないのだ。
求める人生設計とのズレ
博士課程は長い。
人生で一度も浪人も留年もせず、ストレートで卒業したとしても27歳になっている。この年齢は、私の祖父、父親が、それぞれ子供を持った年齢でもあるのだ。
そんな良い年まで学生をやるというのは、知った上で進学しても心に来るものがある。
ただし、正直なところ、この要因は決定打ではない。私としては、研究という活動そのものに対して適性がないと感じるのが大きい。
以上が、博士課程を辞めようと考えるに至った理由である。
教員からの引き留め
実は以前に、博士課程を辞めるかを教員に相談したことがある。
その時は全力で引き留められた。教員は博士課程で成功してきた人間であり、また貴重な戦力を失いたくないというのは分かる。
粘ることの重要性も説かれたが、適性がない所で粘っても仕方ないのでは?と思った。
これは良し悪しではなく主義の問題だと思うので、気にしないことにしている。
博士課程を通しての自己分析
研究に向いていないことが分かったのは、純粋に良いことだと思っている。今後の人生で、職業の選択肢を1個潰せたからだ。
しかも、研究を通して、自分の長所も何点か浮かび上がってきた。論理的思考力、言語化能力、素直に試す所。就職におけるヒントになると思った。
研究に向いているタイプは……
私なりに、研究に向いているタイプがどんな人物であるかも掴めてきた。端的に言えば、起業家的な人物。少なくとも、以下の特徴を備えている。
成果に貪欲で、試行錯誤できる人
「マイナスを回避する」ではなく「プラスを獲得する」がやる気に繋がる人
「出来ないかも……」よりも「出来るかも!」と思う、ポジティブな人
問題意識を強く持ち、「こうしたいんだ!」という我が強い人
自分の頭で丁寧に考えて/実際に確かめて初めて納得する人
心から研究が大好きな人
私はこのような人物ではなかったが、貴方はどうだろうか?
最後に
これまで書いてきたように、私自身、研究にそこまでの思い入れはない。すぐにでも辞めても良いと思っている。
ただ、もう少しで論文にまとまりそうな内容がある。出来れば、これをまとめるまでは続けたい。
私自身がやり切るためと、先生方への義理のために。