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海外クリプトVCの動向〜シリコンバレーはweb3をどう見る?

ベンチャーキャピタル(VC)とは?
成長が見込まれるスタートアップ企業の将来性を見込んで出資・ビジネス支援をする会社のことを指します。

その中には暗号資産やブロックチェーン領域の革新的なプロジェクトに資金援助を行うことにより、web3業界の発展に大きく寄与したファンドも存在します!

不安定、かつ競争の激しいweb3業界では、VCからの資金援助は大きなアドバンテージとなり得る一方で、経済状況やマーケットのトレンドに大きな煽りを受けしまうのがネックです。

海外VCのweb3への投資動向は、以前と比べてどう変化しているのか、紐解いてみたいと思います。

シリコンバレーの現状

Craft Venturesのデイビッド・サックス氏は現在のシリコンバレー(VC業界)の近況について、
完全に二極化している。AIスタートアップにとっては最高の時で、それ以外にとっては最悪の時期になっている。経済状況が非常に良くない、すでに不況に入っているかもしれない。」
と語っています。

この「それ以外」の分野にはweb3業界も含まれいるようで、実際に去年に比べて大手VCによるweb3プロジェクトへの投資額は減っている状況です。

今までほぼweb3プロジェクトに対してのみ援助を行なっていた著名クリプトVC、ParadigmがAI領域にも本腰を入れ始めたことや、Andreessen Horowitz(a16z)がOpen AI CEO サム・アルトマンのWorldcoinや生成AI系のプロダクトへの出資に力を入れていることが直近では話題になりました。

VCからweb3業界への投資は、去年と今年の第一四半期比較で91億ドルから17億ドルと約82%も下がっていますが(Crunchbase調べ)、この理由として考えられるものが3つあります。

1.テック領域においてAI市場の成長が目まぐるしい
Grand View Research社の最新レポートによると、世界の人工知能(AI)の市場規模は、2023年から2030年にかけて37.3%の年平均成長率で拡大し、2030年には1兆8117億ドルに達すると予想されています。今年に入ってからAI市場に対する大きな期待に比例してVCの投資額も膨れ上がり、同じテック領域でもweb3よりAIスタートアップの方にVCの注目がいきやすくなっているのが現状です。

2.銀行破綻と経済状況の悪化
多くの海外VCの御用達だったSVB(シリコンバレー銀行)破綻や経済状況の悪化に伴い、単純にVCの出資力が弱ってしまっている点が挙げられます。SVBはスタートアップ専用の貸付制度を設けていたため、多くのシリコンバレーVCやスタートアップを顧客として抱えていました。Parallel Wireless CEOのスティーブ・パパス氏は「イノベーションエコノミーにおいて空いてしまったSVBの穴を埋めるのには何年もかかるだろう」と述べています。

3.去年同期比の暗号資産市場の低迷
バブル状態にあった去年の暗号資産市場は、テラ(Terra)・ルナ(Luna)といったステーブルコインの暴落やFTX崩壊をきっかけに市況が一転して悪化し、今に至っています。しかし、VCによる投資額が市況によって大きく変わるのは至極当然のことであり、この大きなダウンターンも大きなサイクルの一部だと捉えることが重要です。

VCによるweb3への投資が再び勢いを取り戻すことは確実です。大きな出資を必要とするプロジェクトは、それまでの期間に下準備をすることになるでしょう。

クリプトVCによる直近のweb3プロジェクトへの投資

依然としてweb3プロジェクトに対するVCの視線は熱いことは確かで、有望なプロジェクトに対する資金提供は継続されています!

  1. Story ProtocolがA16z Cryptoが主導するシードラウンドで2930万ドルを調達。この資金調達ラウンドにはHashed、Samsung Next Fund、Two Small Ventures、DAO5、Berggruen Holdings、Mirana Corp、SLVCなどの投資家も参加しています。
    Story ProtocolはストーリーやキャラクターなどのIPの作成プロセス・ライセンス管理をオンチェーンで行うプラットフォームを開発しています。”story lego”と呼ばれるような様々なコンテンツをリミックス・合成することができるエコシステムの構築を目指しています。
    「コミュニティ所有型のIP」を促進するプラットフォームとなり、クリエイターやファンへの所有権の還元が期待されます。

  2. ZKインフラを開発する Lagrange Labs が、400万ドルを調達。1kxがリードしてMaven11、Lattice Fund、CMT Digital、Daedalus Angels、その他エンジェル投資家が参加しています。
    主なプロダクトとして、”Lagrange State Committees”という、クロスチェーンでセキュリティ情報を共有するインフラを構築しています。
    ブリッジ*(異なるブロックチェーンネットワーク間で相互運用性を提供するための技術)がスケールアップする際に直面する固有のセキュリティ制限を解決するためのソリューションです。
    具体的には、任意のブロックチェーンまたはロールアップ*の状態に関するゼロ知識証明を作成することを可能にする証明システムであり、これにより大規模なクロスチェーンネットワークににおいて複数のチェーンをまたぐ取引のセキュリティが向上します。

    (*ブリッジについてはこちら、ロールアップの代表例であるOptimism Rollupについてはこちらの記事でご紹介しています!)

市況が厳しくとも将来性があるweb3プロジェクトへの支援は絶えることなく、これからもVCはweb3におけるイノベーションを促進する役割を果たしていくと考えられます。

ブロックチェーンや、その他web3事業についてお悩みのある方はぜひDeFimansへご相談下さい!

(勉強会:北野、文:山田)


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