【ライブレポート】忘れられない旅の終着_MONOEYES『The Unforgettables Tour 2024』FINAL
2025年1月17日、忘れられない旅に幕が下ろされました。
MONOEYES『The Unforgettables Tour 2024』。
タイトルに2024とある通り、本来は昨年2024年11月で完結する予定のツアーでしたが、ボーカルである細美さんの網膜剥離に伴って名古屋公演が延期(その前の大阪公演も細美さんの胃腸炎により延期)、結果的に年を跨いでのツアー完結となりました。
網膜剥離はボクシングのトレーニングが主な原因ということで仕方ないですが、胃腸炎は疲労性のものだったということで、過密なスケジュールで動き続けている細美さんのことが非常に心配になってしまうところ。
実年齢がどうとか関係ないほど規格外のバイタリティの持ち主ではあるけど、そうは言っても人間なのでね…。
けど、僕は延期が発表された時、少し新しい楽しみが生まれたような気持ちにもなりました。
もちろん細美さんが健康であるに越したことはないし、楽しみにしていたライブが延期になったのは残念でした。
しかし、細美さんが、MONOEYESが、ライブの延期で単にヘコむだけの人たちでないのは以前から知っています。
なので、きっとこの悔しさをバネにして、振替公演ではとんでもないライブをかましてくれるだろう…という風に僕は考えました。
実際、公演延期が決まった後の細美さんのブログを見ても全くヘコんでいなくて、むしろこれを良い変化の機会だと捉えておられる様子だったのでさすがだなと思いました。
そして訪れた名古屋の振替公演。
やはり期待通り、というか期待のはるか上を行くライブが待っていました。
先にライブの感想だけ一言でまとめておくと、「自分を信じて、周りを大切にして、もっと強く生きよう」そんな気持ちにさせてもらえた最高の夜でした。
1曲ずつ語っているとかなり長くなってしまうのと、個人的に曖昧な記憶でMCの内容をネットに書くのが好きではないので、ポイントポイントで僕個人が感じたことをまとめていこうと思います。
ちなみに、新譜については発売当時にレビューという形で記事を書いています。
和訳も載せていますのでご参照ください。
まず、フルアルバムを背負ったツアーではないので、新譜+1st〜3rdまでの曲が満遍なく聴けたのがすごく嬉しかったですね。
セットリストも新曲の「Ladybird」から始まり、「Free Throw」「Run Run」と、色んな意味で「殺す気か???」と言いたくなるようなアクセル全開のスタートでヤバい。
「Like We've Never Lost」は個人的にMONOEYESの曲の中で歌詞が一番好きで、新しいことに踏み出す時にいつも勇気をもらっているので、久しぶりにライブハウスで聴けて大歓喜。
「もうグラニートやるの?!」と思ったけど、一瞬で会場が一つになってしまう曲なので、どこに持ってきても楽しいなぁと改めて実感したり。
「Nothing」は細美さんのボーカル力が光る曲だよなぁとつくづく唸らされる曲で、生だとより一層曲の世界観が持つ引力を感じました。
3rdアルバムリリース当時はそこまででもなかったけど、アルバムを聴き込むほどに自分の中で順位が上がってきている曲です。
「My Instant Song」の進化にも驚かされましたね。
以前からやっているのか、今回からなのか分かりませんが、スコットがメインボーカルになるパートが出てきたりして、最初期の定番曲も現在進行系で進化しているということを見せつけられました。
なお、オーディエンスのぶち上がり度も曲とともに育っています(^^)
新譜の表題曲である「The Unforgettables」はライブで聴いても最高に楽しい曲で、ライブハウスにいるこの時間を忘れられない特別なものとして刻み込んでくれます。
「We’re the unforgettables」のフレーズに合わせて拳を突き上げた時に見たあのZeppの天井は、これからもずっと僕の記憶の中心に残り続けるだろうな。
「When I Was A King」では、コロナ禍中は見ることができなかった、ダイバーたちが飛んでいく姿を久しぶりに見ることができました。
MONOEYESはどれもライブハウスに焦点を当てて作られていますが、この曲ほどライブハウスが似合う曲もないでしょう。
本編のラストを飾るのは「リザードマン」。
細美さんの生き方や考え方が色濃く反映されている歌詞は、周りに流されずに自分が信じた道を行くこと、いかなる状況でも戦い続けることへの信念が表れています。
特に「足掻け 引きずれ 僕の抜け殻」というフレーズは、いつも僕に前へ進むエネルギーをくれる。
過去の情けない自分、認めたくない自分、それも全部今の自分に繋がっているはず。
何かを引きずると言うとネガティブなイメージが多いけれど、どれだけボロボロな抜け殻でも、目を背けて切り捨てるのではなく、引きずっていいんだ。
むしろ、過去を自分の一部だと受け入れればこそ、その延長線上に今の自分がやれること、進むべき道筋が見えてくるんだと思います。
過去は振り返らない!とか変にかっこつけるのではなく、振り返って、引きずって、それでも前に進むんだ。
満面の笑みで手を振ってステージを後にしたMONOEYESですが、当然これで拍手が鳴り止むわけもなくアンコール!
TOSHI-LOWへの愛を添えて歌われた「Two Little Fishes」、復活した細美さんの上裸を拝みながらの「Borders & Walls」で会場の熱は再びピーク…どころか天井ぶち破るんじゃね?というくらいの沸騰具合を見せます。
スコットも「どうしたの?名古屋?」と驚いていましたが、この日の名古屋はいつも以上に熱量が高かったような気がします。
いつもだって熱いには熱いのですが、どことなくシャイな面があって、一定のラインを守りながら慎ましく楽しむ会場という印象がありました。
(僕もそういうタイプですし。)
しかし、ファイナルということもあってか皆がそれぞれの殻を完全にぶち破って、大阪や東京のオーディエンスの熱量に負けてないんじゃないか、何なら凌駕したんじゃないかというほどヒートアップしていました。
そのままの勢いでダブルアンコールへ突入!
細美さんからラスト2曲の宣言がされて、まずは「彼は誰の夢」がスタート。
亡くなった方への別れの挨拶と再会への祈りであると同時に、僕にとってはコロナ禍中に「ライブハウスに帰りたい!」という渇望を込めて聴き込んだ曲でもあります。
コロナが一段落して、またこうしてライブハウスに集まれている現状に感謝しつつ、この幸せな時間がもう少しで終わって遠くなってしまうのか…という寂しさも感じ始めました。
そして、ラストの「Remember Me」のイントロ、一瀬さんのドラムがライブハウス全体に響き渡ります。
ライブの終わりに「いつでもライブハウスに帰っておいで」とお別れを伝えつつも温かく送り出してくれる曲です。
「When you miss me I'll be there」
「When you need me I'll be there」
ライブハウスに来るような人は、世間と自分とのズレを感じていたり、周りからどう思われているか気にしがちだったりして、生きづらさに悩まされている人が多いんじゃないかと思います。
けれど、MONOEYESのライブに行けば、いつだってそこに僕たちの居場所があります。
名前も知らない者同士で一つになって、拳をあげながら歌って、モッシュしてダイブして、外の世界ではなかなか出せない笑顔が自然と出てくる。
MONOEYESはずっとそんな世界を作り続けてくれています。
でも、細美さんを中心にMONOEYESが放つ音や言葉は、単に弱い自分を肯定してくれるだけのものではありません。
自分の道を信じること、家族や仲間のかけがえのなさ、勝ち負けがどうであれ戦い続けることの意味、そんなことを僕たちに伝えて喝も入れてくれます。
「Fall Out」前のMCで細美さんが語っていたように、たとえ自分が世間の98%と違う道に進んでいたとしても、98%が正しくて2%が間違っているとは限りません。
一度しかない人生なのだから、その道に自分が信念を持てるのならば、死ぬ気で努力して挑戦することにはきっと価値がある。
そんなことをこの日のMONOEYESに改めて教えてもらいました。
ライブハウスを出ればたくさんの戦いや苦悩が待っているけれど、またMONOEYESに会える日をパワーの源にして、自分の道を信じて強く生きていきます。
MONOEYES、最高の夜をありがとう!