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【初心者向け】スパイダーマン実写映画|全作品徹底解説【ネタバレ無し】

スパイダーマンを布教したい。

既に日本でも十分な人気を誇っているヒーローだが、もっと彼の素晴らしさを皆さんに知っていただきたい。

ということで、本記事ではスパイダーマンの歴代実写映画作品を初代〜最新作までシリーズ別に振り返り、各作品のあらすじや魅力を徹底解説していきます。

気になっているけど1作も観たことが無い方、いずれかのシリーズは観たことがあるけど最近疎遠になっていた方は、本記事を参考にスパイダーマンの沼に飛び込んでみてください!


スパイダーマン・シリーズ (サム・ライミ版)

シリーズ全3作の制作をホラー映画『死霊のはらわた(1981)』でおなじみのサム・ライミ監督が手掛けた。いわゆる"サム・ライミ版"。
ピーター・パーカー/スパイダーマンを演じたのはトビー・マグワイア。

現在まで続くアメコミ実写映画ブームの火付け役であり、以後全てのアメコミ映画の基礎になっていると言っても過言ではないシリーズ。

▼シリーズとしての特徴

  • 原作コミックへのリスペクトにあふれた作風や人物配置

  • ホラー監督ならではの緩急あるダイナミックな演出

  • ベンおじさんの死をめぐる"大いなる力と大いなる責任"

上記以外の他シリーズとの明確な違いとして、ピーターが「ウェブシューター」を使用せずにウェブ(クモ糸)を発射できることが挙げられる。
実は、原作や他シリーズのピーターがクモに噛まれて得る能力は、危険察知能力・超人的な腕力/耐久力/スピード・壁に張り付く能力が主なところで、体内でウェブを生成する能力は持ち合わせていない。

そこで、IQ200(原作設定)の科学の天才であるピーターは「ウェブシューター」というガジェットを自作し、装備することでウェブを発射している。

手首にクモ糸液(ウェブフリュイド)が入ったカートリッジをセットし、手のひらに伸びたボタンをダブルタップすることでウェブが発射される。

だが、本シリーズ1作目のピーターが高校生ということもあり、監督のサム・ライミが「高校生がこんなハイテク装備を作れるのは現実的じゃない」という旨の意見を示したため、ウェブの生成・発射自体がクモに噛まれて得た能力となった。


スパイダーマン (2002)

監督:サム・ライミ
脚本:デヴィット・コープ
出演:トビー・マグワイア/ウィレム・デフォー/キルスティン・ダンスト/ジェームズ・フランコ/J・K・シモンズ ほか

【あらすじ】
幼くして両親を失ったピーター・パーカーは、同級生の女の子に恋する内気で冴えない高校生。
ある日、彼は遺伝子を組み替えた特殊なクモに偶然噛まれ、超人的な能力を身に付ける。
一方、親友ハリーの父である科学者ノーマン・オズボーンは、自らが開発した新薬の副作用により、悪の存在「グリーンゴブリン」に変貌してしまう…。

【本作の見どころ】
ベンおじさんの死、ヒーローとしての覚醒、ヒロインであるMJとの恋愛、宿敵・グリーンゴブリンとの対決などを経て、『大いなる力には、大いなる責任が伴う』というスパイダーマン作品全体に通じるテーマを知ることができる。
誰が観ても分かりやすく楽しめる丁寧なオリジンストーリーなので、スパイダーマン(ひいてはスーパーヒーロー)映画の入門にピッタリな作品。
また、ウィレム・デフォー演じるグリーンゴブリンは、初代にして歴代トップクラスの狂気を放つ恐ろしいスーパーヴィランに仕上がっている。

ちなみに、有名な"逆さまキス"が観られるの本作。
ヒロインとの恋愛の行方もスパイダーマンの中心にある重要な要素なので、2人の関係性の変化からも目が離せない。

「人生にどんなことが起ころうとも、僕は決してこの言葉を忘れない。”大いなる力には、大いなる責任が伴う”。僕は力を与えられ、そして呪われた。僕が誰かって?僕はスパイダーマンさ!」


スパイダーマン2 (2004)

監督:サム・ライミ
脚本:アルヴィン・サージェント
出演:トビー・マグワイア/アルフレッド・モリーナ/キルスティン・ダンスト/ジェームズ・フランコ/J・K・シモンズ ほか

【あらすじ】
グリーンゴブリンとの死闘から2年。
大学生になったピーターは、ヒーロー業・授業・アルバイトと多忙な日々を送っていた。
MJとの恋やハリーとの友情に苦悩しながら奮闘する彼の前に、新たな敵「ドック・オク」が立ちはだかる。

【本作の見どころ】
スパイダーマン映画最高傑作と称される本作を語る上で外せないのが、ドック・オクとの電車での戦闘シーンとその決着。
NY市民がドック・オクから傷付いたスパイダーマンを守ってくれる場面もあり、涙無しには観られない最高のシークエンスとなっている。
スパイダーマンはNYのヒーローであり、街が味方であるということを改めて実感できる。

また、大学、バイト、恋愛、友情、家族…私生活とヒーロー業両立の裏でピーターは様々な苦悩に苛まれることになる。
等身大の苦悩を抱えるピーターの姿はきっと身近に感じられるはず。

さらに、本作はぜひメイおばさんにも注目していただきたい。
物語中盤でメイおばさんがピーターに投げかける言葉は、泣けるとかそんな次元ではなく、心が震えるヒーローの本質論だ。
なぜNYにはスパイダーマンが必要なのか、そして僕たちがなぜヒーローに憧れるのか、その理由を言葉にしてくれる。

「誰の心の中にも"ヒーロー"が居るから、正直に生きられる。強くなれるし、気高くもなれる。そして最後には誇りを抱いて死ねる。でもその為には、常に他人の事を考え、一番欲しいものを諦めなくちゃならない事もある。自分の夢さえもね。」


スパイダーマン3 (2007)

監督:サム・ライミ
脚本:サム・ライミ/アイヴァン・ライミ/アルヴィン・サージェント
出演:トビー・マグワイア/キルスティン・ダンスト/ジェームズ・フランコ/トーマス・ヘイデン・チャーチ/トファー・グレイス/J・K・シモンズ  ほか

【あらすじ】
スパイダーマンがNY中から認められ、MJとの恋愛も順風満帆、絶好調の日々を送っていたピーター。
しかし、謎の地球外生命体「シンビオート」に寄生されたことでスパイダーマンのスーツは黒く染まり、ピーターは自らの心の闇と対峙することになる。
ニュー・ゴブリン、サンドマン、ヴェノム…最凶のヴィランたちとのNYの命運をかけた戦いがはじまる!

【本作の見どころ】
後の2018年に単独映画まで制作された超人気ヴィラン「ヴェノム」の登場、全ファンが諸手を挙げて絶賛してしまうブラックスパイダーマンのかっこよさ、この2点は言うまでもない本作の注目ポイント。

しかし、筆者が特におすすめしたいポイントは、その影で浮き彫りになるスパイダーマンと新ヴィラン「サンドマン」の鏡像関係だ。
ベンおじさん殺害の真犯人の判明、MJとのすれ違い、シンビオートの寄生などによってピーターの心は闇に飲まれ、ヒーローとして、1人の人間として、数多くの間違いを犯してしまう。

おじさんのことを想うあまりに復讐鬼になってしまうピーター、娘の為に金を手に入れようと犯罪に手を染めてしまうサンドマン。
両者は「スーパーパワーを偶然手に入れた」という点も共通しており、表裏一体、鏡写しのような存在。
もし選ぶ道が1つでも違えば、ヒーローとヴィランの立場は逆転していたかもしれない。

「どんな状況が行く手を塞いでも、どんな心の葛藤があっても、人は自分の道を選択できる。XXXはそれを教えてくれた。彼は自分にとって最高の道を選んだ。どの道を選ぶかでその人が決まる。正しい道は必ず見つかるはずだ。」



アメイジング・スパイダーマン・シリーズ (マーク・ウェブ版)

シリーズ全2作の制作をラブコメディ映画『(500)日のサマー(2009)』で知られるマーク・ウェブ監督が手掛けた。略称は"アメスパ"。
ピーター・パーカー/スパイダーマンを演じたのはアンドリュー・ガーフィールド。

2011年にトビー・マグワイア主演の『スパイダーマン4』の公開が予定されていたが、サム・ライミ監督の降板など様々な要因によって企画は白紙となり、スタッフやキャストを総入れ替えしたリブート(再始動)版として本シリーズが制作された。

▼シリーズとしての特徴

  • リブート版ならではの新たな人物配置

  • マーク・ウェブ監督による青春映画要素の強まり

  • ピーターが背負うスパイダーマンとしての"宿命"

原作への強いリスペクトやヒーロー映画としての丁寧さが目立ったサム・ライミ版に対し、アメスパはヒロインであるグウェンとの恋愛描写が甘く切なく、時間を掛けて印象的に描かれている。
実は、監督を務めたマーク・ウェブは『(500)日のサマー』に加えて、Green Day、Weezer、Maroon 5 など、数多くのアーティストのMVを手掛けてきた背景があり、エモーショナルな描写は彼の十八番なのだ。

大人の男性が多いアメコミヒーローの中で、スパイダーマンは青春の真っ只中を行くティーンエイジャー。
恋愛も彼という人物を構成する重要な要素なので、ラブコメディーやMVの文脈を生きてきたマーク・ウェブ監督は納得の人選と言えるだろう。

ちなみに、リブート版ということで「スパイダーマンになるまでの流れがライミ版と一緒じゃん…」と言われ低評価を受けることもあるのだが、実は同じようで全く異なる道筋が1作目から示されている。
1.2作目ともに物語の鍵を握るピーターの両親やリブートで変更されたキャラクター配置に注目してみると、本シリーズのピーターが持つ"宿命"が浮き彫りになってくるはずだ。


アメイジング・スパイダーマン (2012)

監督:マーク・ウェブ
脚本:ジェームズ・ヴァンダービルト
出演:アンドリュー・ガーフィールド/エマ・ストーン/リス・エヴァンス/デニス・リアリー/マーティン・シーン/サリー・フィールド ほか

【あらすじ】
幼い頃に両親が失踪し、伯父夫婦に育てられてきた高校生ピーター・パーカー。
ある日、彼は父の消息を探ろうと父の研究仲間だったコナーズ博士が働くオズコープ社を訪ねるが、そこで遺伝子組み換え実験が施されたクモに噛まれ、スーパーパワーを身に付ける。

ピーターがスパイダーマンとして走り出した最中、爬虫類の再生能力を活用した新薬実験の失敗により、コナーズ博士がトカゲの怪物「リザード」に変貌してしまう…。

【本作の見どころ】
他シリーズのピーターは「ヒーローとしての活動」「ヒロインを振り向かせること」のいずれかを主な目的として行動しているが、今作のピーターは「両親失踪の謎を解明すること」が基本的な行動原理になっている。
よって、オズコープに潜入したり、コナーズ博士に話を聞きに行くなど、
ミステリーやサスペンス的な要素も含んだ映画になっているのが面白いところ。

先述の通り、本シリーズはヒロインであるグウェンとの恋愛描写も印象的。
サム・ライミ版ではMJとの付かず離れずの関係が3作続いたが、今回の2人の進展は非常にハイペース。
しかし、グウェンの父はスパイダーマンを逮捕しようと考えるステイシー警部。
ピーター(スパイダーマン)、グウェン、ステイシー警部の関係は次作にも続く重要なファクターなので、ぜひ注目していただきたい。

また、ピーターが中盤の橋の場面で助ける男の子の父親、彼はよく覚えておこう。
僕は、何十回もこの男とその仲間たちの行動に泣かされている。

「秘密とは、代償を伴うものなの。いつか報いを受ける…。」


アメイジング・スパイダーマン2 (2014)

監督:マーク・ウェブ
脚本:ジェームズ・ヴァンダービルト
出演:アンドリュー・ガーフィールド/エマ・ストーン/ジェイミー・フォックス/デイン・デハーン/ポール・ジアマッティ ほか

【あらすじ】
スパイダーマンとしてNYの平和を守り、グウェンとの恋人関係も良好、充実した生活を送り、ついに高校の卒業式を迎えたピーター。
そんな彼のもとに、NYを離れていた親友ハリー・オズボーンが戻ってきた。

また、時を同じくしてオズコープ社の電気技師マックス・ディロンが事故に遭い、高電圧流を自在に操る最強のヴィラン「エレクトロ」が誕生する。

【本作の見どころ】
本作のメインヴィラン「エレクトロ」は、歴代最強と言っても差し支えないほどの強敵。
電撃を操るエレクトロに対して、ピーターとグウェン、ミッドタウン高校きっての秀才2人が頭脳を結集させ、科学の力で立ち向かう姿は新鮮。
そして、ラストにはスパイダーマン作品の中で最も心に深く突き刺さる展開が待っている…。

また、サム・ライミ版とは異なり、本作のスパイダーマンは犯罪者に対して軽口を叩く場面が多いのも面白いところ。
原作コミックでも常に軽口を叩いて笑いを誘いつつ、頭の中ではウジウジした悩みを抱えているのが彼の愛すべきポイントなので、その姿が観られるのはファンとしてはたまらない。

「このところ家の中を片付けてて…まとめて入れたのよ、ベンの物をこの箱に。そしたらね、箱が重くなった分、気持ちが軽くなった。」
「それ捨てるの?」
「捨てるわけない。捨てられないわ、私の一部だから…。ただ、整理したの、前より良い場所に。最後にもう一度よく見て、しまうべき所にしまう。」



ホーム・シリーズ (MCU版)

シリーズ全3作の制作をホラー映画『クラウン(2014)』やスリラー映画『COP CAR/コップ・カー(2015)』を手掛けたマーク・ウェブ監督が担当。
ピーター・パーカー/スパイダーマンを演じたのはトム・ホランド。

本シリーズはサム・ライミ版やアメスパと大きく設定が異なり、アベンジャーズと世界観を共有するMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品として制作されている。

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)とは?
マーベル・スタジオが制作するスーパーヒーロー映画やテレビシリーズの共有された世界観を指す。
『アイアンマン(2008)』から始まり、複数の映画やシリーズが相互に関連し合い、壮大なストーリーを形成している。

▼シリーズとしての特徴

  • MCU世界で様々なキャラクターとクロスオーバーするスパイダーマン

  • 歴代最年少で無邪気かつ未熟なピーター・パーカー

  • 大人(アイアンマン)の罪と対峙させられる若者(ピーター)

ついにMCUへの合流を果たしたスパイダーマン!
それにより、過去シリーズとは違い多くのキャラクターとのクロスオーバーが実現されている。
これまでのスパイダーマンはたった1人でNYを守る孤独なヒーローだったが、MCUでは親友、恋人、家族、アイアンマン、ドクター・ストレンジ、ハッピー・ホーガンなどと協力しているのが特徴的。

また、過去シリーズのヴィランは「不慮の事故で怪物なり犯罪に手を染めた」「個人的にスパイダーマンを恨んでいる」のどちらかもしくは両方を満たしていたが本シリーズはそうではない。
本シリーズのヴィランは、アイアンマン(大人)が原因でヴィランになっている人物ばかりであり、スパイダーマンは半ば流れ弾的に矢面に立たされる不憫な立場でもある。

※MCUスパイダーマンの初登場は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016)』ですが、こちらは前提となる作品が非常に多いので、無理に予習する必要はありません。(作品はとても面白いですが!)
スパイダーマンの物語は、ホーム・シリーズ3作だけでも十分整理されています◎


スパイダーマン・ホーム・カミング (2017)

監督:ジョン・ワッツ
脚本:クリストファー・フォード/ジョン・フランシス・デイリー
出演:トム・ホランド/マイケル・キートン/ロバート・ダウニー・Jr/マリサ・トメイ/ジョン・ファヴロー/ゼンデイヤ ほか

【あらすじ】
15歳の高校生ピーター・パーカーは、加入したての新米アベンジャーズ。
トニー・スターク(アイアンマン)に実力を示そうと、彼から授かったスーツを装備してクイーンズをパトロールする日々。

その裏で、トニーと政府が協同で設立したダメージコントロール局によって職を失ったエイドリアン・トゥームスは武器の密売で金を稼ぐようになり、やがて巨大なウイングスーツを纏った「ヴァルチャー」となる…。

【本作の見どころ】
これまでのピーターは高校卒業〜大学くらいの時期が描かれていたが、本作のピーターは15歳ということで歴代最年少である。
人間としてもヒーローとしても未熟だが、新米アベンジャーズとして結果を出したい!と考え、奮闘→失敗→奮闘…を繰り返す彼の姿は愛おしい。

完璧じゃないからこそ、スーパーパワーの無い僕たちが観ても共感できることが多く、他のヒーローよりも身近に感じられる。
まさに「親愛なる隣人」と呼ぶにふさわしいヒーローなのだ。

また、中盤のピーターがヴァルチャーの正体を知る場面、ここは演じるマイケル・キートンの力量が光り、ウィングスーツを装備していなくても殺気が凄まじく、ヴィランとしての格を感じられる名場面だ。

「スーツ無しじゃ僕は何もできない…。」
「スーツ無しじゃダメなら、スーツを着る資格は無い。」


スパイダーマン・ファー・フロム・ホーム (2019)

監督:ジョン・ワッツ
脚本:クリス・マッケナ/エリック・ソマーズ
出演:トム・ホランド/サミュエル・L・ジャクソン/ジェイク・ギレンホール/ゼンデイヤ/ジェイコブ・バタロン/ジョン・ファヴロー ほか

【あらすじ】
夏休みにピーターはNYを飛び出し、学校の友人たちと2週間のヨーロッパ研修旅行へ出掛けるが、旅先にはニック・フューリーの姿が…。
フューリーは、別世界からやってきた4体の怪物「エレメンタルズ」に対抗するため、ピーターに協力を要請するのだった。

そこに打倒エレメンタルズのパートナーとして、エレメンタルズと同じ世界からやってきた謎のヒーロー「ミステリオ」が登場する。

【本作の見どころ】
本作はとにかくヴィランに注目していただきたい!具体名は出さないが…笑
僕は、本作のメインヴィランをスパイダーマンの全ヴィランで最も高く評価しており、再登場を望むほど大好きなヴィランだ。
あらゆる視覚効果を駆使しして我々を騙してくるキャラクター性は現代的であり、映画というフォーマットだからこそ極限まで魅力的に映っている。

また、"NYのヒーロー"というイメージが強いスパイダーマンが、NYを飛び出してヨーロッパで活躍するのも楽しいポイント。
「Far From Home (故郷を離れて)」というタイトルにふさわしい、様々なロケーションで活躍するスパイダーマンに注目。

※本作は『アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)』直後の作品であり物語も地続きなので、エンドゲーム未視聴の方はネタバレに注意!
単品で観ても物語は十分理解できます。

イチオシの名言を載せるとネタバレになるので、その場面の画像で…

スパイダーマン・ノー・ウェイ・ホーム (2021)

監督:ジョン・ワッツ
脚本:クリス・マッケナ/エリック・ソマーズ
出演:トム・ホランド/ベネディクト・カンバーバッチ/ゼンデイヤ/ジェイコブ・バタロン/ジョン・ファヴロー/マリサ・トメイ ほか

【あらすじ】
前作のラストで背負わされた難題によって、ピーターや仲間たちの生活は大きく狂わされていた。
事態を収拾する為、ピーターは至高の魔術師ドクター・ストレンジのもとを訪れ、危険な魔術による対処を依頼するのだった。

しかし、詠唱途中のトラブルにより魔術が暴走し、マルチバースの扉が開いてしまう。
過去作のユニバースから「ドック・オク」「グリーン・ゴブリン」「サンドマン」「エレクトロ」「リザード」といったヴィランが集結し、スパイダーマンに襲いかかる…!

【本作の見どころ】
見どころを挙げるとキリがない本作だが、あえて注目したいのはピーターのヴィランに対する向き合い方。
これまでの作品では、経緯はどうあれ"ヴィランを倒す"という方向に物語が展開してきたが、今作は"ヴィランを治療する"という目的に向かって進んでいくことになる。

それも納得で、実はスパイダーマンのヴィランは根っからの悪人がほとんどおらず「実験の失敗や事故で怪物になってしまった」という人物ばかり。
結果的に犯罪に手を染めたのは本人の選択だが、運悪くヴィランになってしまったという見方もできるのだ。
(サム・ライミ版『スパイダーマン3』でサンドマンが妻に対し「俺は悪人じゃない、運が悪かっただけだ。」と語るシーンもある。)

これは、ピーターが彼らを"ヴィラン"ではなく"人間"として見ているからこそできる考え方であり、彼の優しい人間性が表れているポイントだと言える。
その証拠に、本作でピーターは彼らのことをヴィラン名ではなく本名で呼んでいる。(これは過去シリーズのスパイダーマンたちにも共通している。)

最も、過去作のヴィランたちの呼び名はメディア(JJJなど)が命名したもので、単にスパイダーマンは本名しか知らなかった可能性もあるが…。

最後にもう1つ挙げておきたいのが、シリーズとしての特徴で述べた「大人の罪と対峙させられる若者(ピーター)」というポイント。
本作にトニー・スタークに恨みを持つヴィランは登場しないが、過去作のヴィランが集結し再登場している上、他にも古参ファンに向けたサプライズが数多く仕込まれている。

過去作のヴィランが集結することは予告の時点で明かされており、ずっとスパイダーマン映画を追い続けてきた私のようなファンは大盛り上がり。

しかし、このヴィランたちは過去のスパイダーマンたちが対処すべきヴィランであり、ホーム・シリーズのピーターからすれば急に現れた赤の他人。
本来無関係なのに、オールスター大集合を望むファンや制作側の都合で歴代ヴィランを一手に引き受けさせられている…そんなメタ的な見方もできてしまうのが本作の興味深いところなのだ。

「助けてもらう必要は無い。元の身体に戻る必要も無い。呪われてこうなったんじゃない…恵まれたんだ。」


トム・ホランド主演の新3部作が制作決定!

先程のように結論付けるとホーム・シリーズのピーターがとても不憫に感じられてしまいそうだが、ここまでの3作品は彼の長いオリジンストーリーを語っていたとも言える。

事実、トム・ホランド主演のスパイダーマンは今後新たな3部作の制作が決定しているし、『ノー・ウェイ・ホーム』公開時のインタビューでトム・ホランドは「ピーターはこれまで、(スパイダーマンというよりは)ずっとスパイダー"ボーイ"だった。そして、この作品は彼がいかにスパイダー"マン"に成長していくかの物語だ。」と語っている。

つまり、次回3部作からいよいよスパイダー"マン"としての物語が始まるというわけだ。
一人前のヒーローになった彼がその後どのような道をたどっていくのか、新たなキャラクターとの出会いやヴィランとの対決がどのように描かれるのか、今から楽しみで新作が待ち切れない!!!


見る順番は?予習は必要なの?

今回ご紹介した映画だけでも8作品ありますし、本記事では点数をつけていないので見る順番で困ってしまう方も多いかと思います。
(全部最高に好きなので点数が付けられないんです…!!)

結論を先に言ってしまうと、見る順番に決まりは無く、気になった作品から見るという形で問題ありません。
詳しくご説明していきます。

好きな順番で観ればOK!

今回の解説や予告動画を参考にしていただき、気になった作品をとりあえず視聴してみる、というのが一番良い楽しみ方ではないかと思います。

基本的なお話として同シリーズの「1」を観てから「2」「3」と観ていくのがオススメではありますが、サム・ライミ版を観ていないとアメスパの物語が理解できないということは無いので、シリーズについては余計な心配をせずに選びましょう!

そもそもMARVELやソニー・ピクチャーズほどの会社が制作している作品は、シリーズの途中から観ても1つの映画としてちゃんと楽しめる作りになっています。
好きな俳優がいるならキャストから選ぶ、原作やゲームの知識があるなら好きなヴィランで選ぶなど、入り方は人それぞれ自由で良いでしょう。

ただし、『ノー・ウェイ・ホーム』に関しては『ファー・フロム・ホーム』のエンディング直後から始まるお話なので、可能なら順番に見ることをオススメします。

基本的に予習は必要無い

近年のアメコミ映画はユニバース化(違う作品同士でも世界観が繋がっている)の進行が著しいので、予習が必要なんじゃないかと思う方もいるでしょうが、これも基本的に心配無用です。

上述の通り、『ノー・ウェイ・ホーム』だけは前作と直接ストーリーが繋がっていたり、歴代ヴィランの集結など過去作の知識が必要な部分はあります。

しかし、その他の作品は初登場のヴィランによって物語が展開されていきますし、サム・ライミ版とアメスパは他のヒーローとのクロスオーバー要素も無いので、予習無しでいきなり観てしまって大丈夫です!

オススメのシリーズ診断

「それでも見る順番が決まらない!」という方は以下を参考にピッタリのシリーズを診断してみてください。

スパイダーマン・シリーズ(サム・ライミ版)

  • スパイダーマン映画完全初見の方

  • 王道な作風のヒーロー映画がお好きな方

  • ハイテク装備より生身での戦いが好みな方

アメイジング・スパイダーマン・シリーズ(マーク・ウェブ版)

  • ハリー・ポッターなど"選ばれし者"の物語がお好きな方

  • 恋愛/ミステリー/サスペンス映画がお好きな方

  • スピーディーでスタイリッシュな戦いが好みな方

ホーム・シリーズ(MCU版)

  • 他作品とのクロスオーバー要素を楽しめる方

  • 明るくユーモラスな作風が好みな方

  • 様々なスーツやガジェットを使うスパイダーマンが観たい方

まとめ

いかがだったでしょうか?
かなりの長文記事になってしまいましたが、最後までご覧いただきありがとうございます。
本記事でスパイダーマンというヒーローおよび各作品の魅力を少しでもお伝えできていれば幸いです。

スパイダーマン(ピーター・パーカー)は、億万長者の天才や宇宙を渡り歩く神などがひしめくアメコミの世界で、人間臭く苦しみ躓きながら少しずつ前に進んでいく人物です。
「親愛なる隣人」という愛称の通り、僕たちも経験してきた学業や恋愛に対する悩みを抱えて日々奮闘している。
だからこそ共感することができ、身近な存在に思える存在なのです。

そして、1人の若者としての生活や恋愛を手に入れたかと思えば、ヒーローとしての責任を突き付けられ、自らの欲しいものを諦めてNYを守る。

孤独で切ない運命を背負いつつ、誰よりも人の心を持ったヒーロー。
僕には彼のようなスーパーパワーは無いが、心の中で彼と同じマスクを被り、自分の持てる力で自分の責任を果たしていきたい。

With great power comes great responsibility.

大いなる力には、大いなる責任が伴う。

ちなみに、スパイダーマン作品にはもう1つ超傑作のアニメ映画シリーズ『スパイダーバース』があります。
最新作の公開が控えていますし、僕も「3000回愛してる」レベルで大好きなのですが、映画として語るべき要素があまりにも多いシリーズなので、実写映画とは分けて後日noteにまとめたいと考えています!

それではまた!どこかのユニバースでお会いしましょう🕷🕸

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