AIが社会実装される最前線を追い続けるために。理系学生がVCを選んだ理由と目指す姿
DEEPCOREでインターンを経て新卒入社する東 愛恵に、現在大学院で学んでいること、DEEPCOREに興味を持ったきっかけ、社内の教育体制や、今後のビジョンについてインタビューしました。
コロナ禍で急激なIT化を目の当たりにし、AIに興味。材料工学とAIを組み合わせたMIを研究
——東さんは現在大学院生ですが、どのような分野の研究をされているのでしょうか?
東:私は材料工学とAIを組み合わせた、マテリアルズインフォマティクス(以下、MI)という分野の研究をしています。具体的には、光の吸収スペクトル(物質の構造を特定する指標)を短時間で解析するための新しい情報科学的手法の開発です。通常、スペクトルから物質の構造を特定する場合、大量の計算が必要になってくるので、膨大な時間や計算コストがかかります。それをより効率的に解析するために機械学習を導入し、自動化するというものです。
——そもそも、AIに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?
東:3年生の頃にコロナ禍に突入し、大学が休学になったりアルバイト先の飲食店が休業になったりしたことで急に時間ができました。そして、コロナ禍で人と人が対面で会うことが難しくなり、在宅ワーク等が広がって一気に世の中のIT化が進んだのを目の当たりにしました。日々時間が有り余る中で「そもそもIT・AIとは何だろう」と一日中、漠然と考える日が増えました。AIを調べる中でたまたま学生向けに無償で開講されていたAI講座を見つけ、その勢いで応募し受講。その講座では、AIの概念、Pythonなどの基礎知識、データ分析、ディープラーニングを実装するまでを体系的に学ぶことができました。半年間ひたすら勉強していると、どんどんAIにのめり込んでいきました。
最終的に、独学でJDLEのE資格(ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法で実装する能力や知識を認定)を取得するまでになりました。
「さまざまな分野のAI活用に触れたい」。理系で学んだスキルをどう活かすかは自分次第
——ファーストキャリアとして、DEEPCOREを選んだ理由を教えてください。
東:MIの分野では、これまで解明されなかった物質の特性が明らかになる研究が多くあります。それを見て、「AIは新たな発見をもたらすものだ」と大きな可能性を感じました。
将来的に、自分でもAIを活用した研究を進めたいと考え大学で研究する一方で、当時AI教育スタートアップで法人向けのAI・ディープラーニング講座のTA等をインターンとして務めていました。その時に企業でのAI導入案等を学び、学んできたMI分野以外にもAI活用余地が多くあることを知りました。その頃のAIは異常検知システムへの活用等が多かったですが、その技術が仮に自動車に実装されれば実際に事故を未然に防ぐことが可能になるといった、AIがもたらすインパクトの大きさに面白さを感じました。このインターンでの学びによって、さまざまな分野でAIが実装されていくところを、最前線で追いかけたいと考えるようになったのです。
そして、「AI」という軸で就職活動を始め、最初はデータサイエンティストやエンジニア職などを検討しました。ただ、その場合入社後に一つのプロジェクトにアサインされる可能性が高く、どうしても携わる業界が絞られてしまいます。そんな時、AI特化型ベンチャーキャピタル(以下、VC)であるDEEPCOREを見つけました。ここなら業界に縛られず、さまざまな分野のAI活用に触れられると感じ、まずは話を聞いてみようと問い合わせました。DEEPCOREの皆さんは一学生に対ししっかりと対応してくださり、真摯に話を聞いてくれました。それも、嬉しかったですね。
——大学・大学院では、長らく理系の環境にいらっしゃったと思います。VCは理系の方が多い訳ではないと思いますが、不安はありませんでしたか?
東:そこに不安は感じませんでした。逆に、VC業務において技術的な面を調べる上で、自分の理系の知識が役立つのではと思っていました。この仕事は、その業界や技術を理解し、最先端の動向についてひたすら調べて学ぶことが大きな比重を占めています。その点、新しい論文を読んで動向をキャッチアップする理系の研究の仕方と似ている部分があるのではないかと思います。また、スタートアップの技術を理解する上で、基礎としてAIや材料工学の知識を持っていることがプラスに働くことは、大いにあると考えています。
私の周りにいる学生も、理系の職を選ぶ人はかなり多い状況です。ただ、理系にずっと身を置いていたからといって、理系職に就かなければならないわけではないと思っています。大学や大学院での生活は4~6年ですが、この先働く期間の方が圧倒的に長いです。自分がこの先何十年と働いていく中でどのような知識や技術が好きかを考え、今ある環境に縛られずに就職活動をすると新たな可能性が見えてくるのではと思います。
実際に、このVCという仕事は、自分の好きな技術がどう社会実装されていくのか、事業化するのかを考える仕事です。文系・理系は関係ありません。
——東さんは、大学院でAIや材料工学を学ばれてきました。VC業務でも、東さんのスキルを発揮できる領域があると思いますが、具体的に考えているものはありますか?
東:直近で言うと、LLM(大規模言語モデル)に興味があります。最近、ChatGPTが画像認識に対応するようになったり、高性能な画像出力が可能になったりと様々な機能が追加されています。そのAPIも公開されたことでより様々な領域に適用が広がっていくと考えています。
私自身、これまでディープラーニングだけでなくLLMの技術面についても勉強してきました。自分で手を動かしてPythonでGPTのAPIに繋いでプログラムを作ったりもしています。そうすると実際にLLM技術の面白さを体感できますし、「こういう領域で、こんな風に活用できるのでは」とインスピレーションが湧いてきます。「LLMでこういうものを作ってみたい」という起業家の方々とそういった点をお話ししたいですし、一緒に事業を考えていきたいです。
行動しなければ、何も始まらない。足りない知識を把握し、インプットに努める
——2023年3月からインターンをスタートされていますが、教育体制はいかがでしょうか?
東:先輩キャピタリストがメンター的についてくださっていて、起業家と初期的なコミュニケーションを取るところから投資プロセスまでを経験させていただいています。起業家と議論する際には、その分野の知識を持っていなければ事業のお話をすることができません。そのため、面談前にその業界や分野について調べ「投資仮説を持つこと」を徹底されています。
メンター以外のキャピタリストにも、迷ったり困ったりした時に積極的に相談しています。すると、かなり親身になって考えてくださり「こういうのがあるけど、どう?」と具体策を提示してくれる方が多いです。本当に恵まれた環境だと感じています。
あと、DEEPCOREはみんなで協力していこうという空気があります。新卒の私にとってはとても居心地が良い環境です。
——これからは、社員としてのスタートです。決意されている事はありますか?
東:スタートアップがスケールする上で何が課題となりどのように乗り越えていくのかといった成長過程についてや、様々な業界知識の知見はまだまだ足りない状態です。まずは、自分に何が足りないのか、何を勉強すべきかを考え、有識者に聞きに行ったり、本を読んだりしてしっかりインプットしていきたいと思っています。
特に新卒だからこそ、人に会うことが重要だと思っています。とにかく人と会話して、自分の考えや投資仮説を深めたいです。例えば、さまざまなイベントに顔を出すなど、普段接する機会のないような方とコミュニケーションを取り、知見を深めて自分の中の意見をブラッシュアップしていきたいと思います。
また、DEEPCOREはAIの領域に注力して投資してきたナレッジが社内に蓄積されています。そこからもしっかり学んで、吸収していきます。
VCの仕事は自ら行動しなければ、何も始まらないと思っていて。特に新卒だと、起業家側から面談の依頼を受けることはまずありません。そのため、自ら事業の話を聴きに行く姿勢が大切です。先々こういった技術が流通し、こんな事業が生まれるのでは…など自分なりに仮説を立て、その領域で事業展開する起業家にアプローチする。そういった行動をこれからも積極的に進めていきます。
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