エピソード(EV-3):肩甲骨に付着する筋群
我々人間は二足歩行で生活し、自由になった上肢を使い道具を使って百数十万年、もはや肩甲骨の進化的重要さを忘れている。
四足動物、例えばチータが獲物に向かって高速で走るとき、背中に左右から突き出しているのが肩甲骨である。
肩甲骨からは多数の筋肉群で、四足動物の前足につながる。
身体進化上、大変重要な構造が肩甲骨である。
我々の身体を学ぶ上で、無意識にも意識的にも、また西野流呼吸法においても、何度も何度も肩甲骨を動かす工夫をする。
肩甲骨には進化上の深い歴史がある。実は肩甲骨には15種類もの筋肉が付着する。
以下に記すとおりである(参照、Wikipedia、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%82%A9%E7%94%B2%E9%AA%A8)。
肩甲骨から起始する筋肉:
棘下筋、棘上筋、肩甲下筋、肩甲舌骨筋、広背筋、三角筋、小円筋、上腕三頭筋(長頭)、上腕二頭筋(短頭)、上腕二頭筋(長頭)、大円筋
肩甲骨に停止する筋肉:
肩甲挙筋、小胸筋、小菱形筋、前鋸筋、僧帽筋、大菱形筋
これらの筋はどういう形態と機能があるのか?
ひと昔前なら高価な医学の専門書に頼らざるを得なかったが、いまやインターネット辞書のWikipediaに入ると、リンクが張ってあるので、これが簡単に調べられる。一度各自で実際に確認なさることを勧める。
肩甲骨の三次元表示で、動画がクルクル回転している。肋骨の鳥かご構造を外から滑るような、上下内外への動きが理解できる。(Wikipedia、https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/46/Shoulder_blade2.gif)。
筋肉とは筋肉細胞の集塊が均一に存在するのではない。
筋肉構造の両端には腱が、また腱の延長として筋膜が筋肉を被うとともに、筋肉の内部にも腱が入り込んでいる(ステーキなどで見る筋の断面に多くの腱をみる)。
この構造はFasciaと呼ばれ、実は最近になり注目されるようになった(参考、電子ジャーナル「呼吸臨床」連載記事、https://kokyurinsho.com/focus/e00058/)。
肩甲骨にはこれだけ複雑な筋群や、腱が交錯する。
こうした人体の運動系を新たな視点から解説する「Anatomy train」という本がある。
それには身体の中の主要な腱構造が図示されている。
(参考:電子ジャーナル「呼吸臨床」連載記事、https://kokyurinsho.com/focus/e00066/)
肩甲骨とは、いわば上半身の筋肉・腱連携ラインの要となる、巨大な高速道路インターチェンジともいえる。
これを緩める工夫は、身体運動工夫の中の大きな位置を占める。
大リーグで活躍する前田健太選手の当番時マウンド上での独特の肩甲骨左右高速旋回なども、見ていて面白い工夫であると思う。
このエピソードにWikipediaでも見られる肩甲骨関連構造を取り上げるのには理由がある。
この肩甲骨を巡る諸筋群の中にMMC(medial motor column)とLMC(lateral motor column)を連携する、missing-linkの構造があるはずである。
LMC支配下の手の甲で、相手のMMC支配下の体幹筋群を感得する。
そのMechanismは?
これが華輪理解の課題である。
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