ラジオの聴取率調査をどう考えれば良いのか?


最近、私は5チャンネルでラジオの聴取率についての掲示板を見ることがある。だが、聴取率の変化はサンプルが変わったからだとか、聴取率調査のやり方がヘボだからラジコのデータだけを見るべきだとか、統計の知識があるとはとても思えないくだらない書き込みにゲンナリしてしまう。そんなに(大した根拠もなく)聴取率調査が信用できないなら、聴取率調査なんて無視して書き込みもするだけ無駄だから辞めたら?としか思わない。今の聴取率調査の本当の問題はそこにはない。


聴取率調査の数値を正しく解釈するために


ラジオの聴取率調査というのはラジオ局が利用するためにあるのであって、一般リスナーに公開される事を前提にしてない。まぁ、上に挙げたような非難しかされないなら公開しても無駄でしかない。聴取率調査の本当の問題はそれが正しく解釈されてないことだと感じる。


その掲示板を読んでいて最近驚いたのが、聴取率調査が確かに主要駅の何十kmかの周辺からサンプリングされてることだ。主要駅周辺だけの調査なんて信用できないという書き込みもあったが、私が懸念したのはそこではない。どこからのサンプリングかで想定される母集団も誤差も変わってしまうことだ。


その掲示板の書き込みではサンプリングそのものが信用できないという人もいたが、そこから疑ったら何の情報も得ることができない。サンプリングが正しく行われている事を前提にしても、数値を正当に解釈するためのデータを見ることができないのが問題だ。もしかしたらラジオ局側には公開されているかもしれないが、表に出てくる話を聞いてるとあまりそうは思えない。


必要なデータが公開されてないし、されていても私にはなかなか正しく判断できるわけではないが、聴取率調査の数値への解釈を正当な方向へ変えることはできる。少なくとも、聴取率調査の数値を関東全体を代表してると考えることをやめることができるし、誤差もそこまで大きく考える必要もないかもしれない。つまり、あくまで都市部中心の聴取率だと考えてしまえば、数値はそれなりに信用できると考えても良いのかもしれない。


現在の聴取率調査の本当の問題はどこにある?


聴取率調査がアンケートであることに文句を言ってラジコデータを使うべきと言う人がいる。しかし、アンケート調査は社会調査でよく用いられる方法であり、それなら社会調査全般が信用できないという結論が導かれるが、それは極端な判断だ。今の聴取率調査の本当の問題はそこにはない。


聴取率調査は昔から日記形式でなされている。この調査法の長所は、何曜日の何時と言うフックがあることで、いつどのラジオ番組を聞いたのかを思い出しやすくすることだ。確かにこれは優れた方法であったと言える…いや最近まではそうであった。


しかし、ご存知のようにラジオの聞かれ方はあるアプリに付けられたある機能によって大きく変わってしまった。それはラジコのタイムフリー機能だ。この機能が出るまでは、たとえラジコであってもリアルタイムで聞くのがデフォルトであった。しかし、ラジコのタイムフリーによってどの番組をいつ聞くことも自由にできるようになったのだ。個人的にはラジコのタイムフリーにはビジネスモデルとして疑問がない訳ではないが、これが革命的な機能であったのは事実だ。


既に気づいている人もいるだろうが、ラジコのタイムフリーによって聴取率調査の日記形式の持つ長所が大きく失われてしまった。つまり、いつ聞いたのとどの番組を聞いたのと一致しなくなったのだ。今の聴取率調査の問題は、アンケート調査であることではなく、未だに日記形式であることなのだ。


だからといって、聴取率調査はいらないとするのは早すぎる。やはり、聴取率調査とラジコデータは母集団が異なる。ラジコデータだけで良いとするTBSラジオは拙速であり、聴取率調査とラジコデータをニューラルネットワークで学習させているビデオリサーチ社の方が選択としてはマトモなのだ、ただ、個人的には中身のよく分からないニューラルネットワークよりもモデルが見える統計モデリングの方が適切な気もするが、高度な統計的知識が必要になるから日本ではなかなか難しいのかもしれない。

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