フレドリック・ジェイムソンが語る陰謀論について
ジョセフ・ヒースが批判理論(批評理論)が陰謀論化してるという翻訳記事は面白いのだけど、その中にこの前亡くなったフレドリック・ジェイムソンの名が出てきて、気になって調べたら、元ネタがあるのね。昔雑誌で翻訳されたが、今となっては読むのが難しい「認知地図」の中の一節だ。
ネットにこの元のフレドリック・ジェイムソンのエッセイがあったので見たが、「陰謀論はポストモダン時代における貧しい者の認知地図作りだ」とある。元はmappingなので、単に心理学の用語の認知地図ではなく、地図作成と訳す方がいいと思う。
後期資本主義(これが定訳だが、資本主義の今にまで続いてる段階の意味)においては、社会が複雑すぎて見通せないので、頭の中で都市の地図を作るように、認知的な地図作成が必要だ…とある。陰謀論はそうした認知地図作りとしては安易だけど、今や批判理論も似たりよったりという話。
昔はマルクス主義や精神分析がそうした認知的な地図作りになってたけど、今はそうした正統派の地図作成の方法がなくなって、自分で方法を見つけるしかない。でも、そんなこと独力でできる人もやる気のある人もあまりいないので、既存の地図に頼るよね。それが今や陰謀論や批判理論になってる。
フレドリック・ジェイムソンは、重要な論考や著作で訳されてないものもあり、訳されていても絶版で手に入らないものも多い。ただフレドリック・ジェイムソンは難解とされて、安易な批判理論のようには使えないので、人文学者にさえ読まれないし理解されないのも仕方ないのはある。
(以上、自分のツイッターから書き込みを並べてみた)