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【モトコー】神戸のカオスでアングラな高架下空間「元町高架通商店街」がオサレに漂白されてしまいそうな件
終戦直後の昭和20年代、日本各地の都市は敗戦の生傷も癒えないまま街の復興を急ぐ事となった。極端な住宅不足に陥り、人々は鉄道の高架下に住まいや商いの場を求めていった。そうして今も残る「高架下建築」の数々。大阪ではJR大阪環状線や阪和線などにも残っているが、元から市街地が山と海に挟まれて使える土地が限られていた神戸の場合、その傾向はさらに強まった。
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神戸の中心繁華街である三宮・元町のど真ん中を走るJR神戸線、かつての国鉄の高架下は軒並み商店街もしくは住居や工場などが連なっている。JR三ノ宮駅から神戸駅のまでの高架下空間がびっしり“土地活用”されている格好で、まさに「高架下の街」と言うべき様相だが、おそらく日本中探しても自治体の公式な町名表記に“高架”の二文字が入っているのはこの場所だけだろう、というところを今回は訪ね歩いた。
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「神戸市中央区元町高架通」…これはJR神戸線元町駅の西側に伸びる高架下商店街に充てがわれた、正式な住所である。元町高架通商店街、通称「モトコー」と呼ばれており、終戦直後から発生した商店街が今の今まで生き残ってきたものだ。それが最近になって高架下の耐震補強工事を理由に、土地所有者のJR西日本によって入居店舗に対し立ち退き交渉が進められ、商店街が一部閉鎖、リニューアルされるなど、かなり様子が変わってきている。
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