【安藤忠雄建築】ラストダンジョン感半端ないとネットで大バズリしているらしい飲食店ビル「ヌーベル甲子園口」を見に来た
ここ最近のインターネット界もいよいよ焼きが回ってきたというか、かつてのネット黎明期だとか言われてきた時のような一部の人間だけの娯楽や教養の受け皿だった時代はとうに過ぎ、もはや地上波テレビのそれと大差ない空間に落ちぶれてしまった。その一番の傾向が「インプレ至上主義」…とにもかくにもインプレッション(平たく言えば閲覧数のこと)が稼げればそれでいいという風潮がまかり通ってしまい、これまでクリック単価で支払われていたインターネット広告配信サービスもそれに準拠し始めた。これで個人ブログでメシ食ってましたという人が続々音を上げて「もうだめぽ、◯ー◯ルさんと心中します」だなんて言ってる人までいる始末。
こうなると我々からすれば今まで通りネット上でタラタラとコンテンツを吐き出して不特定多数の皆様にタダで読ませるために垂れ流すわけにもいかないし、さぞかしつまらない思いをさせてしまい心苦しいのは重々承知の上なのだが、もうインターネットで有用なコンテンツにありつくためにはお金を払わないとどうしようもない、その考えもある程度は定着してきたように思う。
それで何なのだろうか最近のネット広告は。いきなり読んでる途中で全面広告が出てきて、右上の✕マークを指で押さないと消せず、うっかり広告を踏んでしまったり、どこまで画面をスクロールさせて行ってもバナーが追いかけてきて全然記事に集中できないページだったり、バックボタンで戻ろうとすると他の記事と一緒に広告もついたページが全面に出てきてすんなり退出させてくれなかったり、それでいて出てくる広告もゲスで低質、汚いオッサンの顔がバーンと出てきたり、2粒でギンギンがどうたら、もういい加減にしろ!と怒鳴り散らしたくもなる。
インプレ至上主義がはびこる2020年代のインターネット界の日常、青い鳥が飛び去った例のSNSに目をやると、とあるビルの写真がやたらと“大バズリ”していたのである。日付は「2023年9月27日」、ビルの内部写真一枚と簡単なコメントがついただけのこのツイートが“916万PV”というバズりっぷりだ。最近のネット民は何ら思慮もなくひたすら“キラキラしたものに飛びつく”、もはや犬猫レベルの習性である。果たしてこれが一体どこにある何というビルで、誰が作ったものだという背景情報には一切思いを寄せずに、ひたすら“キラキラしたもの”を消費しているだけなのである。
そんなもん、ちょっと調べれば兵庫県西宮市にある「ヌーベル甲子園口」だというのは、少しでもインターネットの使い道が分かっている人間には即座に判明する話なのだが、ともあれ実物を見に行かなければ気が済まなくなっていた。場所はJR神戸線甲子園口駅から徒歩2分くらいの商店街沿いにある。
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