詩『判決』
暗雲の城が夜空にざわめいている
都市灯りを反射して白濁した指先。
窓玻璃に投げつけた消火器さえも
腑抜けた溜め息を吐いて軽蔑の顔。
主文後回しの判決文のような
最初から全て理解していたかのような
誤解をにたりと浮かべる表情が
肺尖に焼きついて呼吸がひりつく。
上告棄却の合図が瞳に凍みる
都市のあららぎは漆黒を貫く指先。
窓玻璃は砕けて水滴のように
疲れた足跡に突き刺さって消えない。
誰も見ていないと言い聞かせて
罪と罰を独り芝居でやり過ごした。
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