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詩『霜』

麦茶を傾け声を潤す
受話器を肩で挟み霜の華に挨拶を
故障した加湿器に靠れ掌に吐息
傷だらけの床暖房の海に揺蕩う。

鳴り止まない受話器越しの声
乳色の朝陽に放射状の傘を差す
氷菓でも如何とは豪遊が過ぎるか
預金通帳の場所まだわからないけど。

胸に煌めく がらすの破片
滲む痛みに溶けて血曇る。

麦茶を傾け声を潤す
受話器の声は途切れ霜の華に別れを
故障した加湿器だけ残る室内に
貴方の記憶と約束が浮かんでいる。

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