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詩『海岸線終点迄』

夕暮れの粒子を掻き分けて平行線をなぞる電車
瞳を開けたら知らない駅で扉から香る町の匂いも馴染みがない
持ち合わせの世界地図には載っていない最小単位の地名
短期記憶の縁にぶら下がる奇妙な抑揚を方位磁針にして歩く。

海辺の町らしく磯の匂いが軽く陽焼けした肌に沁みる
既に太陽の輪郭は海に溶けきって 飽和した空が暗く垂れ込める
不完全な青さを瞳孔が捉えた瞬間に貴方は私のてのひらで蘇る
全身を包む皮膜のように産毛が逆立って風がざわめく。

このまま海岸線の終着点迄いこうか
詩集と号けるには軽々しくて湿り気の多い尾鰭を振り回して。
中途半端に汚されるくらいなら完璧に壊して欲しかった
我儘言わせて欲しいんだ 貴方を壊してしまえれば。

鉛筆削りでは尖らなくなった短すぎる道徳観の発露
砂浜を裸足で歩くほろ苦さが内蔵を刺激している
堂々巡りの循環論法が大河を織りなす一滴のしずくならば
青い惑星が涸れるまで馬鹿話を続けようか。

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