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詩『薄氷』

大規模商売店舗の氷菓を全部買い占めたって困らないくらいの冷蔵庫
なんて妄想しつつ手に取る棒アイスの袋に纏わりついていた白い薄氷。
霜焼けした右人差し指の腹を咥えて温める貴方の名前を思い出せない
冷房の効かない午後の自室で何はともあれご苦労さん散々だ。

冷酷非情なくらいがお似合いの貴方へ贈る詩を探している
虚無主義者並みの あるいは同然の早口で毒づいてくれよ。
メレンゲの泡よりも小麦粉の粉塵よりも白くて冷たい氷雪を
月面に敷き詰めて遊ぶ貴方を見つけに行く。

まだ飛び回る薄氷の欠片を拾い集め
その静脈を熱で溶かす旅は続く宛先もなく
また振りかざす冷酷な正義を抱き締めて
その細胞を聲で溶かす日々は続く目的地もなく。

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