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自然の恵みは人を幸せにする(新春筍篇)
このお正月、藪に遊びがてら筍が出ているか見に出かけて来ました。 毎年、まだこの時期は本当に小さな物しか見つからないのですが、昨年の冬の到来が遅かったので、もしかするとと思い藪の中に入りました。
当地の筍はまだ土の中にいる状態の物を掘り起こすので宝探しの様です。 掘り起こす鍬の様な道具を持って、枯葉の重なりが大きくなっている所に優しく鍬を入れます。 鍬の先にかすかに当たる物を感じたらそれは筍の穂先です。柔らかく黄色い穂先を見つけた時はワクワクドキドキと胸が高鳴ります。筍を傷つけない様に、発掘調査の様に少しづつそっと掘っていきます。そして最後、力を一気に込めて掘り起こします(最後は力がいるのと、下手にすると筍を傷つけるので主人にしてもらいます。)一本掘るのも本当に大変です。但しこのやり方は素人の私たちのやり方。私の知り合いは一気に何事もなく掘り起こします。掘り起こされた筍は、土の中から出て来たので白いです。
お正月の薮は、下草のくっつき虫が獲物が来たとばかりに服や靴の紐にまで好き勝手にくっついて来ます。そんな中、お日様が照らす場所を選んで鍬を当てます。なくて当たり前と思ってはいますが、鍬に筍の感触を感じた時は、もしやと言う期待が膨らみます。そして黄色い穂先が見えると自然に口元が緩み鍬を持つ手に力が入ります。 今年は予想を大きく大きく外して、あっという間に数本の筍が見つかり、程よい大きさでもうウハウハです。 その場で夕食の献立が決まりました。
堀りたての筍はエグ味もないのですが、さっとゆがいて少し大きめに細かく切って、初物の筍ご飯。ワカメと筍の吸い物。筍とほうれん草を卵でサッと炒める。 炊飯器から筍の香りが薄いお醤油の香りに絡んで届いてきます。もうたまりません。春一番の香りと幸せな瞬間です。
年末年始のご馳走とは別の、自然が与え下さった最高のご馳走です。家族の笑顔が又、嬉しいご馳走です。