DTMにおけるMIX、マスタリングの考え方 初級編
はじめに
こんにちは、UGです。
今回はお題にある通り、DTMにおけるMIXやマスタリングについてお話をしていきます。
突き詰めていくとかなり時間、根気、お金のかかる話になりますが、このブログではだれでも始めやすい形で無料でできることに限定をしてお伝えをしていこうと思います。
私は無料ソフトのcakewalkというDAW(DTMソフト)を使用しておりますので、その前提でお話をしますが、他のソフトでも入っている一般的なエフェクターでのご説明にさせて頂きます。
音楽の質においては要素がたくさんあります。メロディの良さ、歌詞、楽器、ヴォーカルの魅力、斬新さなどです。ですがこれらをよりよく伝えるための1要素としてMIXやマスタリングがあります。
ただ、昔の曲(80年代まで)ぐらいを聞くと正直、音圧やバランスなどが今と比べてよくないものもありますが名曲は名曲です。
私たちに使える時間は限られていますので、プロエンジニアレベルを目指すのではなく、まずは違和感なく心地よく聴いてもらえるまで習得すればまずはよいと考えています。
MIXとマスタリング
まずこの二つの言葉ですが、簡単に整理します。
MIXとは各トラックがバランスよく聞こえる調整のことを指します。
イコライザー(EQ)にて音の帯域を調整したり、トラックごとにコンプレッサーをかけて無駄な音の強弱をなくすことになります。
マスタリングとはMIXし終わった各トラックを一つの音源として完成させるために音圧をあげたりすることになります。
マスタリングは音量差を圧縮して全体的に音量を押し上げるために、リミッターやマキシマイザーというエフェクターをかましますが、実は前段のMIXのところでしっかりと調整ができていないとうまく音圧があがらなかったり、音割れを起こしたりする可能性がありますので、まずはMIXが非常に重要になります。
音量音圧を無理にあげることは不可能ではないですが、音が固まりになったり、こもったり、音割れをします。
また、音量がそこまで大きくなくてもそれぞれの音がクリアーに聞こえていれば結果として大きく聞こえるという結果にもなります。
ですので適切なMIXというのがまずはテクニックとしては非常に重要になります。
MIXの方法
MIXについては、一番重要になるのがイコライザー(EQ)です。あとはコンプレッサー、左右に音を振るパンがありますが、順に説明をしていきます。
まずはイコライザー(EQ)です。
イコライザーとは低音域、中音域、高音域のバランスを調整するエフェクターになります。
エレキギターを弾かれる方は使ったことがあるかと思いますが、ギターにおいては好みの音色にするという意味と、音抜けをよくするという両面があるかと思います。
DTMの各トラックにおいても同じですが、後者の意味合いが強いです。
ヴォーカル含む楽器ごとに主となる帯域が違います。
低い順番でいくと、バスドラ、ベース、スネア、ヴォーカル、ギター、シンセサイザー、ハイハット、シンバルといった感じになります。
それぞれの帯域が重ならないように、無駄な帯域をイコライザーで小さくするなどしていくとそれぞれの音がはっきりと聞こえるようになると同時に、無駄な音が消えるので全体として音圧を上げやすくなります。
この中でもヴォーカルとギターというのは主となる帯域が近いために録音された音源を聞きながら、それぞれがしっかりと立つように調整をしていく必要があります。
あと音がごちゃっとならないように注意すべき帯域は低音域と中音域の間の中低音域と言われる帯域です。100Hz~300Hzあたりになります。
ローカットフィルターというエフェクターを使って重複部分をうまくカット処理することでもやっとした部分がだいぶ改善されるでしょう。
次に超低域と言われる部分ですが、実際にヘッドホンなどで聞いても耳には聞こえません。ライブハウスなどで生演奏を聴くと、バスドラやベースが腹にズンとくる感じがあるかと思いますが、あれが超低域の効果です。
ただ、ジャンルによるかと思いますが、ここを上げると全体的に音圧をあげるのが難しくなりますので、比較的カットすべきかと思います。
特にポップスなどのジャンルではそうだと思います。
いろいろと説明をしてきましたが、結局は好みの音にすることが一番大事ではあるので無理にセオリー通りにする必要はありません。
ただ、おすすめするのはMIXが終わった段階で、音楽仲間などに聞いてみてもらい、意見をもらうことです。
MIX作業をしていると、何度も何度も同じ曲を聴いて、自分の世界に入ってしまいがちです。
いろんな人の意見を聴くと、新しい発見や改善に繋がります。
MIXに限った話ではありませんが、オリジナリティを追求しすぎるあまり、他の意見に耳を傾けられなくなると成長がありません。
意見を頂いてから、あとは参考にしつつ取り入れていけばよいだけなのです。
私も日々オリジナルを制作する時はリリースの前にいろいろな意見を頂くようにしています。
その試行錯誤の繰り返しで、成長に繋がり、またバリエーションが広がっていると実感しています。
続いてはコンプレッサーについてです。
ギターを弾かれる方はイメージがわきやすいかもしれませんが、ギターというのは楽器の中でもすごく音量に強弱が出やすいので、大きさを平準化してくれて、全体の音圧をあげてくれる効果があるのがコンプレッサーというエフェクターになります。
一見地味な印象を受けますが、エフェクターの中では非常に重要なものになります。
DTMのMIXにおいても非常に重要な位置付けであり、各トラックの処理においても効果的に使用することで仕上がった時の全体的なバランス感を向上させる一因となります。
各トラックで使うとすれば、やはりギターやベース(演奏した場合)、あとはヴォーカルでしょう。
あまり強めにかけ過ぎると自然な感じが損なわれますので、バランスを見ながら使用してください。
あと、一度に強くかけるより、コンプレッサーを二回かまして段階的にかける方が自然に効果的に使えますので試してみてください。
重要度としては低いですがパンニングのお話を差し上げます。
音を左右に振ったりすることですね。
音楽を立体的にとらえると高さが音の帯域(イコライザー)、横(幅)がパンニング、奥行きが残響音の有無になると思います。
この中で重要性で言いますと前述した流れになるかと思います。
パンニングについては実はイコライザー処理がうまくできておればそれほど使うことはないのが実際のところです。
プロの曲を聴いてみてください。
90年代ぐらいまでは結構パンニングでサラウンド感を出している楽曲も多いですが、最近の曲は結構センターによっています。
あまり左右に振ると安定感がなくなる可能性もあるので、ポイントポイントでうまく使うように心がけましょう。
その中で私も使っている手法をご紹介します。
先ほども言いました通り、ヴォーカルとギターというのは帯域がかなり近いため、お互いが干渉しがちになります。
そこでヴォーカルをセンターにおいて、ギターは2トラックにわけて左右に振るというやりかたです。
ここで注意したいのはギターは2回同じテイクを録るということです。
まったく同じ音を左右に振っても、センターに寄って聞こえるという現象が起きます。
どれだけうまいギタリストでも完全に同じ音源を録音することは不可能です。
若干の音の波形がかわることで左右からサラウンド感をもって聞かせることができます。
あと、こちらはDTM上のテクニックですが、同じ音源を若干ずらして左右に振るというやり方です。
これはディレイやリヴァーブの効果も少しでて、サビのヴォーカルなどで使ったりしています。
あとはアレンジでの話ですが、音を細切れにして左右に振ったりすることで曲にアクセントを持たすこともできます。
同じフレーズ(バッキング)でもBメロでは左だけ、サビになるとステレオで、みたいなことをしても曲の展開としては面白いと思います。
最後に先ほどの音の立方体の中で出てきた残響音についてです。
リヴァーブというエフェクターでつけることができます。
ただ、このブログでも何度かお伝えをしていますが、かけ過ぎ注意です。
トラックごとに聞いてみると、リヴァーブをかけるとなんとなくかっこよく聞こえてしまうのですが、リヴァーブがかかり過ぎた状態のものを全体で聴くともやっとして締りのない印象になってしまうことが多いです。
これも好みやジャンルによってだいぶ違いますが、ポイントを絞って行うべきでしょう。
残響音がかかってない音よりかかっている音の方が後ろの方で聞こえる感覚がでるので、雰囲気をさすためのストリングスなどは強めにかけてもよいかもしれません。
ヴォーカルとの干渉もさけることができます。
マスタリングについて
次にマスタリングについてです。
実は今までお話をしてきた部分がしっかりできていれば全体的な処理であるマスタリングはほぼ成功していると言えます。
エフェクターとしては先ほどのコンプレッサーやリミッターといったものを使用して、最終的に音圧をあげていきます。
先ほどのMIXで無駄な音を消したり、帯域のすみわけがしっかりできていないとこれらの処理をしてもあまり音圧アップは望めません。
音量を無理にあげることは不可能ではないですが、限界を超すと音割れを起こしたり、音のメリハリがなくなります。
無理にあげすぎないようにしましょう。
マスタリングについては、有料にはなりますが、OZONEなどの素晴らしいソフトがプラグインでございます。
本格的にやっていきたいのであれば検討するのも一つの手です。
さいごに
いかがだったでしょうか。
今回はDTMの曲作りではなく、最終処理の部分に焦点をあててお話をしました。
最初にも申し上げた通り、この処理のクオリティはリスナーにとって楽曲の魅力の中の一要素には過ぎません。
ただ、ある程度の知識があるのとないのでは同じ曲を作っていてもだいぶ伝わり方が変わってくると思います。
自分の中で90点を出すことはそれほど時間をかけなくてもできると思います。
100点を目指す必要なないと思います。
その10点を埋めるためにはとんでもない時間と努力が必要だからです。
また、知識と言いましたが、これはただ知っているということではなく何度も試行錯誤する中で培っていくものになります。
曲を仕上げる過程で、いつもより1時間でも高みを目指して試してみることが大事だと思います。
あと下記の曲は私の友人でアマチュアではありますが、ジャンルの好き嫌いは別として音作りや音圧が素晴らしいので是非聴いてみてください。
彼は私よりもはるかに時間をかけて試行錯誤をしているようです。
皆さま、今は自宅でも素晴らしい音楽が作れる時代です。
自分が満足できる曲ができたら、それを発信することも今は個人で自由にできます。
このnote記事ではそのあたりのことも他記事でお伝えをしていますので、是非参考にご覧ください。
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