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テキサスホールデムポーカーをデザイン思考する
みなさんデザイン思考はご存知でしょうか。
新規事業のアイデア発想手法、価値検証手法としてよく用いられるフレームワークです。
デザインと聞くと何を思い浮かべますか?
「その服いいデザインだね!」
「俺デザインセンスないんだよね~」
日本語だと「おしゃれなデザイン」のような意味合いで用いられることが多いと思います。
Wikipediaで調べるとこのような意味が出てきます。
デザインは目的設定・計画策定・仕様表現からなる一連のプロセスである。すなわち人・ユーザー・社会にとって価値ある目的を見出し、それを達成できるモノゴトを計画し、他者が理解できる仕様として表現する、この一連の行為をデザインという。
デザインは目的を達成するための一連のプロセスです。
これを理解しておくと、デザイン思考がなぜデザインなのか理解しやすくなると思います。
今回はデザイン思考の概要とポーカーに応用する場合について考察していきます。
デザイン思考
私は前職で人間中心設計認定スペシャリストという資格を保有し、新規事業のアイデア発想にデザイン思考を活用したり、法人、学校向けにワークショップ研修として提供する仕事をしていました。
デザイン思考は以下の5つのプロセスからなっています。
共感
問題定義
創造
プロトタイプ
テスト
この5つのプロセスを素早く繰り返しながら、アイデアの収束と発散を繰り返し、より価値の高い課題を、より低いコストで解決するためのフレームワークです。
共感
まずは共感することから始めます。
価値を届けたいユーザーやその環境について自由に観察しましょう。
仮説を基に観察することももちろん大事なのですが、一方でその仮説にとらわれすぎて本質を見失わないよう、なるべく広い視野を持つことの方が重要です。
観察フェーズは普段から人間観察が好きだったり、違和感を感じやすい人が得意なのですが、これは経験やスキル、資質が関わってくるので苦手な人が取り組もうとすると結構苦戦します。
固定観念にとらわれないようなるべくリラックスして、一見関連の無さそうな情報ほど見逃さないようにします。
問題定義
観察フェーズで発見したことを、些細なこと、どうでもいいことも含め、質より量でとにかくリストアップしていきます。
その中で、特に人の負の感情に着目すると課題が発見しやすいです。
ある程度課題が見つかったら優先順位付けをしていきます。
この優先順位付けはプロジェクトの責任者が責任をもって決めるべきです。
安易に多数決で決めたり、声の大きい現場社員の一声で決めてはいけません。
創造
優先順位付けした課題を解決するためのアイデア出しをします。
アイデアに重要な要素はなんでしょうか。
突拍子もないひらめきでしょうか。
まだ世の中で誰も見つけていないアイデアでしょうか。
実は、問いの質こそ重要だと言われています。
いくら問いに対するいいアイデアだとしても、そもそもの問いの質が低いとアイデアの質も低いものになってしまいます。
この問いの質を高めるためにもいくつか手法がありますが、私がよく使っていたのはd.schoolで提供されている「How Might We」というフレームワークです。
How Might We
見つけた課題に対して
「どうすれば我々は~できるだろうか」と言い換えます。
わかりやすい例として、業務改善プロジェクトでの課題解決を考えます。
課題:マネージャーが忙しすぎて、それがボトルネックになり現場社員の余分な残業が増えている。
HMW:
「どうすれば我々は、マネージャーがマネジメントだけに集中できる環境を作れるだろうか」
「どうすれば我々は、現場社員が自律分散的に業務を進められる仕組みを作れるだろうか」
作成したHMWに対して、解決策をアイディエーションしていきます。
アイディエーション手法もたくさんあるのですが、長くなるのでまた別の記事にまとめます。
プロトタイプ
課題と解決策のアイデアが決まったらプロトタイプを作成します。
ここで大事なのは、仮説を決めることです。
アイデアが実現する上で楽観的な前提となってしまっている仮説をあげていきます
マネージャーはマネジメントに集中できれば仕事量を削減できるだろう
現場社員は役割が決まっていないタスクを意識的に拾ってくれるだろう
申請書をスマホから入力できるようになればコスト削減できるだろう
本当に?検証しなくて大丈夫?という点を悲観的にリストアップしていきます
これらの仮説を検証するために必要最低限なプロトタイプを作成します。
ここでの落とし穴は、プロトタイプを作ることが目的になってしまい、プロトタイプ作成自体に時間をかけすぎてしまうことです。
例えば、課題を解決するイメージが理解できる4コマ漫画を手書きで書いたり、寸劇形式で実際にやってみるだけでも立派なプロトタイプなのです。
重要なのは、このフレームワークで生み出したアイデア、プロトタイプを気軽に捨てられることです。
アイデアやプロトタイプ自体に愛着がわいてしまうと捨てられなくなり、時間とコストを無駄にすることがよくあるのです。
一回目のサイクルで完璧な問いとアイデアにたどり着けることはまずありません。
テスト
最後に仮説検証です。
4コマ漫画や寸劇形式でそのアイデアのターゲットとなるユーザーにアイデアを見てもらったり、実際に触れるようなプロトタイプであれば触ってもらい、フィードバックをもらいます。
3-5人くらいの方に検証するのがいいと言われています。
自分たちが立てた仮説があっていたか、間違っていたか検証し、そもそも課題の特定が間違っていれば「問題定義」に、課題はあっているが解決策が間違っている場合は「創造」へ戻ります。
こうしていたっりきたりぐるぐると繰り返しながら、発散と収束を繰り返していき、問いと解決策の精度を高めていくプロセスがデザイン思考なのです。
もちろん、プロセスばかりに目が行ってプロセスを正しく守ろうとし過ぎては本末転倒です。あくまで柔軟に、素早く発散収束を繰り返しながら、問いと解決策の精度を高めていくマインドセットが重要です。
ポーカーにおける応用
デザイン思考のアプローチをテキサスホールデムポーカーに応用してみましょう。
観察
ライブ・オンラインポーカーともに同卓相手の観察は非常に重要です。
(オンラインZoomは難しいですが、特定の相手ではなくフィールドにおける傾向を観察しましょう)
相手は攻撃的なのか、守備的なのか
基本戦術から外れたプレーがないか
チップのかけ方に癖がないか
問題定義
観察結果からHMWを作ってみます。
どうすれば攻撃的なプレイヤーAからチップを獲得できるだろうか
どうすればドンクベッドが極端に多いプレイヤーBを降ろせるだろうか
創造
自分の得意なプレーを鑑みたうえで課題解決のアイデアを出します。
プレイヤーAに対して自分の得意なスロープレイで対抗してみよう
プレイヤーBに対してブラフベッドで対抗してみよう
プロトタイプ
ポーカーにおいてはアイデアをすぐ検証できるのでこのフェーズはスキップしても問題ないです
検証
実際にそのシーンになったら検証です。
デザイン思考で特定した課題に対するアイデアの効果を確かめましょう
うまくチップを獲得できた、降ろせた場合
成功ですね。しかし相手もそれに合わせて戦術を変えてくるかもしれません。落ち着いて観察フェーズに戻りましょう
うまくチップを獲得できなかった、降ろせなかった場合
課題認識は間違っていないのでアイディエーションのフェーズに戻りましょう
そもそもアイデアを使うシーンが来ない場合
課題認識が間違っているケースが多いので観察フェーズに戻りましょう
まとめ
いかがでしたでしょうか。
デザイン思考のフレームワークと、それをテキサスホールデムポーカーに応用するアイデアをご紹介しました。
知性の深遠では、ビジネスやマーケティングにおけるフレームワークを、テキサスホールデムポーカーに応用する方法について考えていきます。
また、逆にテキサスホールデムポーカーにおける戦術をビジネスに応用するアイデアについての記事も投稿予定です。
もしみなさんにも何かいいアイデアがあればコメント欄で教えてください。
いいね・コメントなどフィードバックいただけると幸いです。