Xジェンダー不定性 近況

前回の投稿から約1ヶ月も空いてしまいました
 
その間もチラホラと色んなことはありましたが、何となく忙しくて筆をもてずにいました

ですので、今回は短編集みたいな形でいくつかのストーリーを書いていこうと思います


①変わり方のバリエーション

久々に記事を書くので、改めて僕の自己紹介を少しだけ行います
僕は、日によって心の性別(性自認)がコロコロ変わる、いわゆるXジェンダーの不定性です
Xジェンダーというのは、男性でも女性でもない第3の性別という意味で、その中には、両性・中性・無性・不定性の4つの種類があります

僕は、この4つのうちの不定性という種類にあてはまります

ちなみに、Xジェンダーという呼び方は日本独自のものであり、海外ではサードジェンダーということもあるそうですが、あちらで一般的なのはLGBTQのQ、すなわち、クィア(Queer)がそれに近しいと言われています

さて、話が少し脱線しましたが、日によって性別が変わるとどんなことが起こるのかということについて、いくつか例を挙げます

たとえば、心の中での一人称が変わります
カミングアウトもできるほど信頼出来る人の前でなら、そのときどきに合わせた一人称を口で言うこともありますが、なかなかそうはいかないのが現実です
でも、心の中では「あたし」とか「俺」とかコロコロ変わってます

つぎに、服装が変わります
ある時はピンクの花柄ワンピースを着たいと思う日もあれば、ある時はスカートなんて絶対無理、と思う日もあります
服装に合わせて小物類も変化します
生まれ持った性別は女性なので、こういった変化は、幸か不幸か何も知らない人はあまり深く考えないようです

それから、好きな色も変わります
ある時はピンクが好きなのに、ある時はピンクは絶対にダメで、その代わり紺色が好きになったり

あとは、恋愛対象(惹かれる性別)も変わります
あるときは男性が好きなのに、あるときは女性がすきになります 
そのため、事情を伝えている男友達の前では、こちらも心が男になっている日などは、たまに女の子の好みや下ネタなどをいうこともあります
その辺は、彼らも僕が今どっちなのかを知ったうえで話題を選別しているようです(ありがたい)

そんな感じで、日々、心の性別がコロコロ変わって生きているわけですが、ある男友達には、リアルらんまと言われたことがありました笑
もしかしたら、心がずっと女性のままの方などは、この言い方に落ち込むのかなと思う時もあるのですが、僕としては本当に面白いなと思ったので、たまに思い出してニヤッとすることがあります笑


さて、前置きが長くなりましたが、これらの性別が変わるタイミングにつきまして、最近、バリエーションが幾つかあることに気づきました

たとえば、まず1つめが、心が1回グッチャグチャになって変わるパターンです
これは女性から男性に移行する時に起こることが多いパターンですが、文字通り心の中を1回抉られるような感覚があって、そこを超えたら変わってる、みたいなパターンです

あれが来ると、本当に苦しくて嫌なんですが、サッと変われるぶん、まあダラダラして変わらないよりはマシかなと思う時もあります……

2つ目は、寝て起きて変わってるパターンです
昨日までは確かにルンルンの女の子だったはずなのに、起きてみたら思いっきり男じゃん……というパターンです
起きた瞬間に、見えてる世界が昨日と180度違ってしまうのです
これは自分でも分かりやすく、目覚めた瞬間「あ、今日はこっち(男)なんだ」と、ぼーっとした頭で考えてます

それから3つ目は、強い感情を抱いた時です
怒りだったり、エロい感情だったり、眠気だったり、酒の酔いだったり、そういった本能が出そうなほどの強い感情を抱くと、スイッチが入ったように変わる時があります

しかし、最近、これに加えてタチの悪い変わり方があることに気づきました
それが、雨だれが石をうがつように微妙に変わっていくパターンです
一昔前に流行ったアハ体験のように、変わっていくスピードは非常に遅いのですが、確かに比べてみると変わってる、みたいなパターンです

他のパターンに比べると、非常にゆっくりであるため、心の負荷はおそらく小さいのでしょうが、それにしても時間がかかるため、しばらく「何方でもない」とか「どちらとも決めがたい」状態になるので、とてもモヤモヤする時間が長くなります

その間にも、先述の「抉られるパターン」の小さいのは何度か来るのですが、いかんせん小さいため、エイヤッと乗り越える起爆剤にはなりにくいです
しかも、心が男になった時に女性に対して抱く健全なエロい感情も湧かないため、「たぶん、だいぶ男になってるんだろうなー」と思いつつも、そういった精力(性欲)みたいなエネルギーが湧いてこないため、ちょっと落ち込みます

ややこしい話ですが、生まれ持った身体は女性で、今の心はほぼ男性に近いはずなのに、EDで悩んでるみたいな状態に近いんだと思います……
(文字にするとじつにカオスですね)

そんなパターンが先日もあって、今月も久々にこのパターンになりました
たまに、心の性別がコロコロ変わるって大変だね、みたいな言葉を頂くことがあるのですが、当人としては、それより、どちらでもないといった性別ときの方が一番嫌だったりします
はっきりしないモヤモヤ感があるし、服装も何を選べば良いか困るからです

ちなみに、2週間前は、抉られるパターンが寝る前も寝てからも続く日があり、それはそれでとても苦しかったです
あくまでも体ではなく心が苦しくなるので、いかんともしがたく、ひたすら耐えるしかありません
しかし、あれが来るとサッと男になれるので、癖になってやしないかというのが、ちょっとした気がかりでもあります……


②家族の気づき方のすごさ

実は、こんなややこしくレアな性別の僕にもパートナーはいたりします(既婚者です)
家族には本当に日々感謝で、性別を超えて尊敬できるし、僕の性別についても理解したうえで必要以上に踏み込んでこないので、とても稀有でありがたい存在です
もちろん、僕が男になっている日は、そこそこエグい下ネタも言い合ったりします笑

先述の通り、僕は朝起きたら性別が変わってる……なんてことはよくあるのですが、家族はその変化を敏感に察知しているようです

おそらく、外に出ている変化としては、まず話し方、それから目つき(表情)だと思います
特に話し方に関しては無意識の部分も多く、語彙というより話すトーンや速さに現れるんじゃないかと思っています
友達曰く、声の方がより分かりやすいとのことでした

あとは、鏡で見たわけではありませんが、おそらく顔つきも変わってるんじゃないかなと思います
特に目頭と口元ですかね
そもそもの顔の造形は変わらないのですが、我ながら使う筋肉の場所が変わってしまうなーと思うことがあります

しかし、朝一番に家族と言葉を交わすとき、僕はいちいち「あ、今日男だわ」とか報告することはありません
それでも、家族はすぐ気づいてしまうようです
むしろ、寝ぼけた状態で、僕が性別を確認するより前に気づくこともザラで、毎回その時々の正解に合わせて対応してくれるので、本当にすごいなと感心しっぱなしです

もし、僕とパートナーのそういった個性が逆だったら、僕は気づくのか……
ちょっと自信がないです……
だから、家族はマジですごいです


③令和版『らんま1/2』を見ました


「リアルらんま」と言われる僕の大好きなアニメである、令和版『らんま1/2』をテレビで見ました
1話は原作に忠実に作られてるという話はあちこちで聞いていたので、平成版の違いとか懐かしさとか、そういったものを楽しむ回になるのかなーと思って見ることにしましたが、やっぱりマイノリティ当事者としてはそれだけじゃない見方もありました……

たとえば、当たり前ですが乱馬(らんま)の性別がコロコロ変わるところは、どうしても自分と重ねて見てしまいます
さすがに、あんな短時間では変わりませんが、それでもどっちの性別も自分というのは共感してしまうので、なんとなーく心をなぞられてるような気がしました

それから、1話で、乱馬が実は元の身体は男であることをどうカミングアウトすべきかと風呂の中で悩むシーンがあるところも、「あーわかるわかる」と思いながら見ました(何度原作を読んでもこのシーンは痛いほど分かる)

カミングアウトについては、たびたびnoteの記事の中で書いていますが、本当に腹が痛くなるぐらい嫌なんですよねえ……
乱馬(らんま)の場合は、それぞれマイノリティと呼ぶにも微妙な位置づけかとは時々思いますが(そもそもサンデー連載のコメディなので、マイノリティをいい意味でそこまで掘り下げてないのも、読みやすい(見やすい)要素になってるんだと思います)一応、たまに心と体の性別の不一致は怒っているので、彼(彼女)もマイノリティに分類させてもらって考えてみます

カミングアウトの苦しさは、最近のアニメで言えば『先輩はおとこのこ』の方が、もっとリアルに描いてるなとは思います(主人公のまことが母親にカミングアウトするまでに至る場面とか)

過去の記事でも書きましたが、『らんま』という作品は、僕がもの心ついた頃から思い入れを持って見てきた作品なので、今回のアニメ化は本当に嬉しかったです
親から「もっと女の子らしくしなさい」「どうして他の女の子みたいにできないの」と言われていた頃に、「僕は僕なりに周りに合わせてるのに、なにが違うんだよ……」と、怒りとも悲しみともとれる感情を引きずっていた頃に出会ったのが『らんま』で、コミカルな世界観で描かれる不定性の主人公には、様々な憧れを抱きました

たとえ女の身体であっても、ジェンダーを誰にもとやかく言われず、しかもなりたい時になりたい身体に(物理的に)なれるのは、とにかく憧れでしかなかったです

こんな視点で見る人は、今も昔もそんなに多くは無いと思いますが(とはいえ、マイノリティ当事者の中には結構多いような気がしないでもない)とにかく、バイブルであることには変わりません

『うる星やつら』同様、シリーズとしては長いので、2期3期と続いていくといいなと思いつつ、今年の秋アニメとして楽しみたいと思います



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