蕁麻疹かヘルペスか
以前勤めていた会社の診療所のお医者さんはヤブで有名で、あまりに誤診だらけなのできっとうちの会社なんかに流れ着いたのだろうと、皆かなり酷いことを言っていた。
ただ社内診療所は薬代がエライ安価だったので、それなりに需要はあって、多くの社員が何かしら先生との小話を持っていた。
娘が3歳のころ、毎晩のように温水プールに連れて行っていたら、全身にブツブツと発疹ができた。かゆくて仕方がない。塩素にあたって蕁麻疹が出たのかな?と診療所にかゆみ止めの薬をもらいに行ったら、この迷医、神妙な顔をして「あんた、これはヘルペスだよ。金曜日のこの時間だし、仕事はいいからすぐに〇〇診療所にかかった方がいい。土日を挟むと大変だから」と、3つ隣のビルにあるクリニックの受診を勧められた。
ヘルペスって、あのうちのおばあちゃんがよくなってるやつ?そんなわざわざクリニックに行くようなものなのか??とギモンに思ったものの、かゆかったのと先生が「すぐに行け」と追い立てるから、仕事をほっぽり出して出向いたら、そちらの先生は「うーん、これはヘルペスではなくて塩素の影響に1票ですね」と、かゆみ止めを出してくれた。
「やっぱり。あのヤブ医者め~」とブツクサ文句言いながら社に戻り、エレベーターに乗ったら、喧嘩っ早くて有名なオーウチさんが乗ってきて、私が手にしていた薬の袋を見て「この間さぁ、15階の先生にヘルペスなのに蕁麻疹と診断されて酷い目にあっちゃったよ。あったま来たから今朝、文句言ってやった」と憤っていた。
なるほど、それでか。「こっちは蕁麻疹をヘルペス」と薬の袋を揺すったら、オーウチさんが「そりゃ半分オレのせいだわ。ヤブにもほどがある」と笑っていた。
先生、お元気かな。