#3 インドネシアの島嶼はすごい❶
インドネシアの島々に興味がある。
ニューギニア島には、西洋人が入る以前4000もの言語があり、集落ごとに言語が違うイメージ。今でも700程の言語があるらしく、1言語に対し平均で4000人程が母語としているそう。
言語の多様性が高いほど、生物の多様性が高いというデータがある。危険な植物や昆虫など、多くの情報を共有する必要があったからだという。(出典:2021 人類史マップ サピエンス誕生・危機・拡散の全記録)
今回のらくがき題材は、ニューギニア島の少し西、フローレス島にいた小さな人類種。
フローレス島の小さな人類近縁種
フローレス島って?
サイズは福島県よりちょっと小さいぐらい。これは現在のフローレス島。
最後の氷河期の際は、マレー半島からスマトラ島、ボルネオ島、ジャワ島までアジア大陸に繋がっていて、バリ島とロンボク島の間にあるロンボク海峡で分かれていたようです。
そこで2003年に、新たな人類化石が発見されました。
Homo floresiensis
今回のらくがき
島嶼矮化
小さな島などで環境が閉ざされると、そこにいる生物は、限られた資源を共有するために矮小化することがある。屋久島のヤクシカやヤクザルなどもその例。一部、爬虫類や小型の哺乳類(フローレス島の場合齧歯類)、一部の鳥類は捕食者が少ない環境で大型化する傾向があるため、コモドドラゴンのような大型のトカゲが生息する。
H.floresiensisも1mほどで、矮小化した種と考えられている。人類だけは環境によっての変化が少ないと言っていたダーウィンも、これを知ったらびっくりするんじゃなかろうか。
矮小化に伴い脳容量も小さくなり、現生の大型のチンパンジーより小さかった。それでも石器を使用したり、同時期に生存していたと考えられている他の人類種に比べ劣っていたようにも見えない。
知性に脳の大きさはあまり関係ないという見解もある。
H.floresiensisへのルーツ
H.erectos? H.ergaster?
近年多くの人類近縁種が発見され、情報は日々増えているものの、まだまだわからないことの方が多い。常に情報は更新され、恐竜と同じように昨日の常識が簡単に覆る。
この数年で鯨類と、カバやキリンが含まれる偶蹄類が同じグループになり、鯨偶蹄目という名称でまとめられた。現生の動物の分類だって研究によって変わっていくんですから、微々たる化石しか出ていない古代人類のことなどほとんどわからないに等しい。
H.floresiensisのルーツもまだよくわかっていない。
人類系統樹の一例
こんな感じで(わかりにくい)いたるところでゴニョゴニョっとしてる。
フローレス島では2ヶ所から発掘されていて、リアンブアでは10万年〜5万年前前後の骨(化石化していない)や石器が出ている。同じ頃大陸ではH.neanderthalensis(ネアンデルタール人)やH.sapiens(現生人類の祖先)が同時期に存在していた。
一方ソア盆地は最初の居住地であるとされ、100万年前までさかのぼる。100万年前となると、1度目の出アフリカでジャワ島(トリニール、モジョケルト、サンギラン)までH.erectusが来ている。その際ロンボク海峡を泳いで渡ったと考えるなら、100万年前から10万年前までの長期間島に生存し、独自の進化を遂げたことになる。
ここで疑問に思うのは、島嶼矮化などの適応拡散で1mの身長になるまでどのくらいの時間がかかるのだろう。それにH.floresiensisには身体的にも、もっと古い特徴があるとされている。それを考えると、ドマニシ(ジョージア)で200万年前の痕跡が出たことで、出アフリカの時期が100万年近く繰り上がったこともあり、もっと早い時期にH.habilisやH.ergasterなどがH.erectusを経由せずここで独自に進化したとも考えられる。
別種と亜種の境界
“亜種”というのは、現在の人種や犬種のように、容姿に差はあれど交配し子孫を残すことができる。“別種”とは、子ができない、または子を産めたとしても、その後子孫を残すことができない。
目と鼻の先であるジャワ島の人類と交流があったとしても、種の壁に開きがあれば交雑はしなかったと考えられる。 H.floresiensisがどう辿り着いたかによって、チンパンジーとゴリラぐらい違うかもしれない。
❷につづく…