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謎の暦『ウク暦』 複雑なバリの暦の話し その1

本日、2025年2月8日(土)は芸能と学問の女神サラスワティ様に感謝と祈りを捧げる日であり、バリ独自の暦「ウク暦」の一年(一周)の最後の日です。
9日日曜日から新たな一年が始まります。
Rahajeng rahina suci Saraswati.
Dumogi Dewi Saraswati ngicen kaweruhan🙏
サラスワティの日、おめでとう御座います。
深い知恵を授けて頂けますように🙏

というわけで、今回はバリ独自の暦について書いてみます。
あまりに長文過ぎたので3回に分けますよー(笑)

バリには3つの暦があり合体したものを現代バリ人はカレンダーとして使っています。

一つは、世界共通の一年365日の西暦カレンダー。
二つ目は月の満ち欠けを基にした太陰太陽暦のカレンダー「サカ」
ひと月は29日か30日からなり、1年は12ヶ月で354日となります。(細かい数字は端折ってます。)
サカ暦はインドの「シャカ暦」が元になっているという節があり、西暦78年を元年としているので2025年2月現在で1946年になります。
(サカ歴新年はNyepi(ニュピ)と言い毎年日にちは変わりますが、だいたい西暦の3月あたりの新月の翌日にあたります。2025年のニュピは3月29日で、この日を境に1947年になります。)
こちらは16世紀以前のバリで使用されていた言わばバリカレンダーの元祖的な暦です。
日本の旧暦と同じく一年の自然のサイクルに即した暦で農業や漁業など生きる事に密接しています。

3つ目が本日のお題となる「ウク暦」です。
16世紀のジャワヒンドゥーの到来と共に使用される事となったウク暦には「一年」という概念がなく、210日をただ繰り返しており、西暦、サカ暦のように「今年は何年」とかもなく大晦日も新年もありません。
太陽や月の満ち欠けとは全く連動していない、聞けば聞くほど「一体、誰が何のためにこんな複雑な暦を作ったのだろうか?」と沼にハマる不思議な時間の概念を持った暦で、多分、この暦の発祥地のジャワの一部(今も使われているかは謎)とバリでしか採用されていません。

ウク暦の成り立ちですが、1つの曜日を一週とする暦、2つの曜日を一週とする暦、3つの曜日を一週する暦、と異なる曜日数を一週とする暦が10曜日週まで10種類あり、7曜日で一週する暦が30週(これをウクと言います)集まった210日を1年(1サイクル)としています。
更にそれより短いサイクル、西暦やサカ暦でいう「ひと月」は5曜週と7曜週を掛け合わせることで成り立ち、そうすると35種類の曜日が出来上がるので35日をひと月としています。
210日を1年とすると35日の月が6回となり1年は6ヶ月という事になります。
わたくし、説明しながらも脳みそがプスプス言ってますけども皆様、ついて来れてますでしょうか?

10種類ある週暦の中で重要なのは3曜週、5曜週、7曜週です。
3曜週はPasah, Beteng,kajeng の3つの曜日から成り立ち、
5曜週はUmanis,Paing,Pon,Wage,Kliwon
7曜週はRedite,Soma,Anggara,Buda,
Waraspati,Sukra,Saniscara
から成り立っています。
この異なる週の掛け合わせで祭日や吉日が決まっています。
例えば、3曜週のKajengと5曜週のKliwonが重なる日は地底の魔物が徘徊し呪詛に最適な日とか、Kliwonと7曜週のAnggaraが重なると吉日になるし、5曜週のWageと7曜週のBudaが重なるとこれまた吉日になります。
人生で最大の儀式となる葬儀や結婚式や、結婚式の前に花嫁が実家を離れるための儀式やお店やホテルの開店などありとあらゆる儀式がこの組み合わせ方式の良き日を選んで執り行われるのです。

バリではOdalan(オダラン)という寺院の創立記念日を祝しお祭りが行われます。
殆どの寺院が組み合わせ方式の吉日に建立されたため、吉日とされている日は、寺院の創立祭、個人宅の屋敷寺の創立祭の隣りの家は結婚式が行われ、その斜め向かいはお葬式というように村中が祭事同時開催中という事も頻繁に起こるのです。


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