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デレラの読書録:小谷実由『隙間時間』
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小谷実由,2022年,ループ舎
モデル・小谷実由のエッセイ集。
生活や習慣、思考を覗き見するような、瑞々しい断片。
小谷さんを知ったキッカケは忘れてしまった。
どこかで自分と同い年の素敵なモデルさんがいると知り、ミュージシャンのデヴィッド・バーンが好きということで、わたしは心を鷲掴まれた。
わたしもデヴィッド・バーンが大好きだからである。
最近だと、デヴィッド・バーンの「アメリカン・ユートピア」がすごく良かった。
(ライブパフォーマンスを映画化した映像作品である。)
わたしはこの作品を観に2度映画館に足を運んでいる。
圧巻の演奏だった。
四角い舞台の上をマーチングバンドが縦横無尽に動き回り、自由を体現する。
直截的なメッセージに、わたしは足場を崩され、姿勢を保てなくなる。
バランスを崩したわたしの動きを見たら、バーンは笑うだろう、踊っているね、と。
また、バーンの作品で最も好きなのは、トーキングヘッズ時代の「ストップ・メイキング・センス」だ。
(こちらもライブパフォーマンスを映画化した映像作品である。)
公式YouTubeで「ストップ・メイキング・センス」の映像がないので、代わりに最もお気に入りの曲をリンクしておく。
どちらの映像作品もBlu-rayを買って、BGMとしてときどき流している。
閑話休題。
わたしは、同い年というだけで、特別な親近感を持ってしまう。
同じ時代に生まれたからには、社会状況、空気感を共有している、そんな気がしてしまう。
同い年のひとはみんな、パラレルワールドの自分であると感じるくらいだ。
たまたまわたしは、今のわたしだけれど、もしかしたらあちらのひとがわたしだったかもしれない。
小谷さんが高校時代に初めてピアスを開けた話がなんだか好きだった。
何気ない記憶に宿る平和の雰囲気、身体に刻まれた記憶。
あとは、午前中にスーパーに行く話。
生活が営まれているということ。
味、匂い、形、感覚、それらに基づいた日々の断片が、純粋に保存され、閉じ込められている。
隙間にある生活、隙間にある感覚、隙間にある記憶。
そういう小谷さんの記憶が、まるで同い年のわたしの記憶でもあるように錯覚してしまう。
隙間の時間が積み重なる。
あのひともこのひとも、隙間の時間を生きている。
明日の自分は、この隙間時間の積み重ねの先にいる。
おわり