【ヤクルト】実戦も始まるのでようやく2023年オフを振り返る
こんにちは。でぃーだ(@Dee_bbyS)です。
2/1に浦添,西都(+戸田)でのキャンプインから、昨年5位に沈んだ悔しさを胸にそれぞれが鍛錬を積む東京ヤクルトスワローズ。
明日2/15にはついに実戦である練習試合が始まるという事もあり、少し時期外れな感はありますが、このnoteで東京ヤクルトスワローズの2023年オフの動き(選手補強)を振り返りたいと思います。
退団選手
今回は補強の動きを中心としたnoteではありますが、最初にこのオフでスワローズを去ることになった選手についても簡単に触れたいと思います。
2023年シーズンにスワローズに在籍していた選手では(シーズン中にリリースとなったケラやエスピナルを除いて)育成2選手を含む計11選手が自由契約もしくは引退となりました。
その中で現役を続けることが公表されているのは成田翔(⇒全川崎クラブ)、吉田大喜(⇒東邦ガス)、松井聖(⇒BC信濃/選手兼任コーチ)の3人。新たなステージで新たな目標に向かって頑張って欲しいですね。
また、現役ドラフトでは梅野雄吾が中日に、後述するトレードでは元山飛優が西武に移籍することとなりました。2人ともチームに大きな貢献をしてくれた選手ですし、新天地での活躍も心から願っております。
戦力補強(投手編)
ここからは補強について。まずは投手補強を取り上げます。
ドラフト
上位3人を全て大卒,社会人出身投手の指名に使い、投手力が課題とされる中で”直近での投手力強化”に重点を置く形となった2023年ドラフト。
この3人の中で1番の"即戦力"として期待される松本健吾(トヨタ自動車)は浦添の1軍キャンプで奮闘中。徐々に実戦形式の練習へと移行していく中でどのような力を見せてくれるか楽しみですね。
一方で西舘昂汰(専修大)はコンディション不良、石原勇輝(明治大)は体調不良の影響もありファーム西都キャンプからのスタートとなりましたが、これからしっかりと状態を上げてチームの力となってほしいですね。
また、2023年ドラフトでの一番のサプライズは髙橋翔聖の指名でしょう。
日本国籍の母親と台湾国籍の父親を持つ髙橋翔聖は、現在台湾の高校である鶯歌工商に在籍しており、高校を卒業となる2024年6月頃に契約を見込んでいるとのこと。
ドラフト指名後の各種大会でも140km/h中盤のストレートを投げる等で好投を見せており、チームに合流する日が楽しみです。
自由契約市場
自由契約市場からは嘉弥真新也(元 ソフトバンク)を獲得しました。
2023シーズンはクローザー・田口麗斗と移籍後2年目に42登板と飛躍した山本大貴以外はあまり1軍の戦力となれなかった左リリーフ(※)ですが、嘉弥真は不調だった昨季も23登板、何より通算463登板と実績は十分。
恐らくは田口麗斗が主に2022シーズンに担当していた左キラーや火消しといった役割を求められることでしょう。
言わずもがなソフトバンク時代には優勝経験も豊富ですし、再び頂点を狙うスワローズにて、これまで培ってきたものを発揮してほしいですね。
フリーエージェント
ヤクルトの2023年オフ最大の懸案事項であったのが、国内FA権を取得していた田口麗斗の去就。こちらは残留(※最大3年の契約延長)に成功し、守護神の退団という最悪の事態を回避することが出来ました。
キャンプ中盤には下半身のコンディション不良もありファームに合流することとなってしまいましたが、まずは万全な状態に戻した上で、試合もシーズンも笑って終えられるよう期待してます!
一方で、FA市場で先発投手の獲得を狙い、山﨑福也(オリックス→日本ハム)や石田健大(DeNA)にアプローチをするも、どちらも獲得には失敗し、フリーエージェント市場での”補強”とはならず…。
外国人選手
2023年オフにはヤフーレとエスパーダの2投手を獲得しました。
ヤフーレが今年3月で26歳、エスパーダが今年2月で27歳という若さもありますし、両投手とも”バリバリのメジャーリーガー”というよりは”日本でステップアップを狙う選手”といった位置づけのように感じます。
そういった意味では、獲得の背景としては2023シーズン途中に獲得したエルビン・ロドリゲス(ヤフーレと同じく今年3月で26歳)と同じようなことなのかもしれませんね。
ヤフーレは先発として、サイスニードやロドリゲスとの競争になるでしょう。「オフに97マイル(約156km/h)を出した」とか、「大谷翔平のスイーパー以上に曲がるスライダーを投げる」という情報が出るなど期待値が上がりまくっていますが、それに違わぬ投球を期待しています!
一方、エスパーダは来日前からSNSを活用してチームやファンに馴染もうとしているのがまず好感を持てますよね。
彼についてはヤクルト球団がパドレスに移籍金を支払ってでも獲得したとのことですし、本職の投球でもリリーフとして勝ちパターンやそれに近いポジションで頑張ってくれれば言う事ないです。
また、ヤフーレ・エスパーダの2選手についてはこれらのnoteが詳しいので是非こちらを参考にしていただければと…!
トレード
そして年末に差し掛かりつつあった12/21に、2021年日本一にも貢献した内野手・元山飛優との交換で宮川哲(元 西武)をトレードで獲得。
西武時代にはパワーリリーフの印象も強い宮川ですが、2023シーズンは開幕2軍が決まった際に先発転向。
調整を経て1軍に昇格後、先発初勝利も挙げましたが、最終的には4先発で1勝2敗防御率7.16と素晴らしい結果を残せたとは言い難い成績に。
一方で2軍では20登板(17先発)で103イニングを投げ6勝をマーク。更に防御率2.45で最優秀防御率(並びに最高勝率)のタイトルを獲得する等、先発としても期待を抱くには十分な結果は残しています。
小川淳司GMのコメントによれば「(「現場がどういうふうに使うか」と前置きをしたうえで)先発としてやってもらいたいという思い」とのこと。
FA市場で山﨑や石田といった先発投手を獲得できなかったことを踏まえて、トレードで宮川を獲得することに切り替えたのでは…と推測しておりますが、実際はどうなのでしょうか。
本人の希望はリリーフとの話もありますが、どんな起用法であれチームを支える投手になってくれるはず。個人的にもアマチュア時代からとても好きな選手なのでとても楽しみな選手です…!
これは完全に余談ですが、FAや外国人選手、そしてトレードに関する投手補強の一連の動きが個人的にはとても気になっています。
報道や各種発表をベースにすると下記のような時系列となりますが、例えば山﨑福也を獲得していた場合には他の動きが変わったのか…など、球団にはどのようなシナリオがあったのでしょうか…!
戦力補強(野手編)
さて、続いては野手補強について。
ドラフト
直近での戦力化を見込んだ指名が中心となった投手指名とは対照的に、野手は将来性を見越した指名が中心ととなりました。
支配下では内山壮真が想像以上に早く1軍に定着して育成に少し余裕が出来た捕手の枠に鈴木叶(常葉大菊川)とBCリーグでショート守備はNo.1とも称された伊藤琉偉(BC新潟)を、育成では長打力が魅力の髙野颯太(三刀屋)の計3人を獲得しました。
この3人はまずはファームで実力を磨くこととなると思いますが、鈴木叶は新人合同自主トレの時から特大ホームランを連発するなど非凡な才能を見せておりましたし、今年の戸田軍の試合も楽しみですね!
自由契約市場・現役ドラフト
自由契約市場において、西川遥輝(元 楽天)と増田珠(元 ソフトバンク)を、第2回現役ドラフトでは北村拓己(元 読売)をそれぞれ獲得しました。
通算1326安打,332盗塁(盗塁王4度)という実績がある西川遥輝の加入は外野手のポジション争いを更に熾烈なものにしましたし、楽天時代にも話題になった走塁指導を早くもヤクルトの若手に行っているようで、そういった意味でもチームの大きな力になってくれるはずです。
また、山田哲人キャプテンとは同学年であり、仲が良さそうな様子もキャンプ中継に映っていました。お互いにとって大事な1年、新たな飛躍のきっかけとして欲しいですね!
続いては増田珠と北村拓己について。
両選手とも守備におけるユーティリティ性の高さに加え、打撃にも強みを持つという面でとても希少性が高く、チーム力を向上させることが出来る選手であると考えております。
増田珠は今年5月で25歳となる、まだまだ若い選手です。
1軍では通算52試合,124打席と実績は殆どありませんが、ホークスのファームで共に汗を流した小久保新監督からも新チームの構想にあったという発言にもあった通りにファームでは着実に成績を伸ばしており、1軍で活躍する準備は整いつつあります。
また、村上宗隆とは同級生であり、中学2年の時には九州選抜でチームメイトでした。先ほどの山田哲人と西川遥輝の関係と言い、こういった点ももしかしたら選手獲得にあたっては考慮されているのかもしれませんね。
こちらは現役ドラフトという形で獲得したためこれまでの2人とは経緯は異なりますが、北村拓己も1軍通算176試合,292打席と実績はあまり多くないながらも、増田珠同様にファームで着実に成績を伸ばしてきた選手です。
2023年のファームwRC+168が示すように打力に期待を寄せられる内野手ですが、そういったタイプの選手にしては珍しく、ショートを含む内野4ポジションを平均以上に守ることが出来るのが一つの大きな特徴でしょう。
また、奥川恭伸,内山壮真と同じ星稜高校⇒髙津臣吾監督の後輩となる亜細亜大学とヤクルトに縁のある経歴ですし、小中高大と全てでキャプテンを務めてきたということもあってか、視野が広く人間力を評価するエピソードも沢山聞こえてきておりますし、チームを牽引する存在としても期待です。
ちなみに北村拓己は1995年世代ですが、現在スワローズにいる同世代の選手は今野龍太,宮川哲,近藤弘樹,田口麗斗,山本大貴,宮本丈…と、宮本以外が全員移籍組という変わった世代です。この世代は誰がどう見てもチームになくてはならない存在感を放っていますし、北村拓己にも期待しちゃいますね…!
そして、これまで紹介してきた西川遥輝,増田珠,北村拓己の3人の野手補強に関しては、個人的には特に明確な意図を感じております。
私がそう思った根拠として、走攻守全てで選手の総合的な貢献度を図るWARという指標があるのですが、この3人は全員が2023シーズンに2軍で最上位の成績を残した選手なのです。
WARは打率や出塁率のように確率をベースにした指標ではなく、HRや打点のように積み上げるタイプの指標のため、ファームWARが高いことが一概に良いとは判断しにくい(≒ファームで一定以上の期間を過ごしていたとも言える)側面もありますが、
”昨年1年間を通してしっかりと成績を残した”という証拠でもあります。
1軍のレギュラーという観点では多くのポジションに明確な”筆頭候補”がいるのが現状のヤクルトですが、彼らの立場を脅かしたり、怪我等の有事の際に備えるといった意味では選手層が物足りないと言わざるを得ないですし、それが昨年5位に終わった一つの要因でもあったと感じております。
そういった観点で考えると、2023年にファームで文句のつけようがない成績を残した野手を一気に3人獲得できたことは、チームの底上げという意味でとても大きいと言えると思います。
1軍と2軍の差は少なからずあるため、ファームの成績だけでの過度な期待は禁物かもしれませんが、”ヤンスワ”たちと切磋琢磨した上で神宮の舞台で活躍してほしいですね!
まとめ
オフの動きをこのように俯瞰して見ると、その動きの多くは(結果的には)”底上げ”や”競争”を意識したものが多かったように感じます。
下記「2024年問題」を危惧する身としては(特に外国人投手補強等で)短期的な戦力強化にもう少し比重を置くことを望んでいたのもまた事実ですが、
このオフの動きを見る限りでは、将来のチームに対してもしっかりと手を打つような、バランスを取った動きだったと言えるのではないでしょうか。
とは言ったもののとても期待できる選手たちがチームに加わったと強く感じておりますし、今までいた選手たちも含めて、全員で上を狙っていって欲しいですね。
最後になりましたが、今年から新たにスワローズに加わった選手たちがチームに新たな風を吹かし、2024年の王座奪還は勿論、東京ヤクルトスワローズでの長きにわたる活躍を心から期待し、願っております。
ということで今回はここまで。
ご覧いただき誠にありがとうございました!
<2020年度オフ版 振り返り>
<データ等出典>
※ヘッダー画像は1/28の新人合同自主トレを見学に来た小川淳司GM
(写真は全て筆者撮影)
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