【帝一の國】一本筋の通った綺麗な構成。最後の展開が熱い!【映画感想】
映画が公開されたときになんか面白そうだなーと思って原作の漫画を読んだ。普通に面白かった。ただ映画は見たことことなかったし菅田将暉が最近になって好きになってきたこともあって今回映画版を見てみようと思った。私は原作を読んでいようがなかろうが映画版を原作と比べたりはあんまりしないというか、映画は映画で別作品として見ることを心掛けている。媒体もターゲット層も違うものを同じ作品として考えるのはよくないと思っているから。だからこの作品も原作を読んでいるが純粋に映画版の帝一の國について書いていく。
最後まで見た率直な感想としては、うまくまとめたなーということ。どういうことかを説明するためにストーリーを知る必要があるので書いていく。主人公の「帝一」は生徒会長になれば将来的に総理大臣クラスがほぼ約束されている高校、「海帝高校」に入学し生徒会長になることを目指す。帝一の父は同じ高校の卒業生で惜しくも生徒会長になれなく、その生徒会長になる想いを息子に託した。ただ帝一は幼少時代ピアノを弾くのが好きで争いごとを好まない性格だった。そんな帝一を見た父はそんなんじゃだめだと帝一を無理やり強くしようとする。そんなことを言われてゆっくり落ち着いてピアノを弾けない世界が嫌で、自分の国なら静かにピアノを弾けるようにできると思い総理大臣になる決心をし、海帝高校の生徒会長を目指すことになった。だいたいこんな感じのストーリーで合ってるはず。このピアノが重要。
帝一は生徒会長を目指すために手段を選ばない人になっていて、ピアノをただ弾きたいという想いが消えたかように思えるくらい純粋な心はなくなっていた。それに対し「弾」は好青年で努力家で誰からも愛される性格である。また卑怯な手を使っても生徒会長になろうとする人やそんなことが繰り返されている生徒会を良く思っていなかった。話が進んでいくと帝一や帝一より卑怯なやり方の「菊馬」達ではなく、弾のやり方が優勢になっていく場面が多くなる。帝一も弾に助けられたりしながら次第に弾のやり方や弾自身を認めていくことになる。そして帝一達の代の生徒会会長選挙で帝一と弾と菊馬が生徒会長のイスを争うことになる。最終的に弾と帝一が接戦になるのだが、終了間際で帝一自身が弾に票を入れ弾が勝利した。そんな行動をしてきた帝一に弾が驚いていた。帝一は"この学校を変えるのはお前のような人間だ。お前にはたくさん助けられた。今度は僕が助けてやりたいんだ。僕はピアノさえ弾ければそれで充分だよ。"と言った。それに対して弾は"お前は副会長になってくれ。そして俺を支えてくれ。俺の就任式でピアノ弾いてくれよ。"と返した。
ここのシーンが最初に私が書いた、うまくまとめたなーという感想をもった理由。ピアノが目的で目指した生徒会長。だが、次第にピアノを忘れるほど変わってしまった帝一。それでも弾によって本来のあるべき姿を思い出し、ピアノを弾くことに戻る。しっかり最初と最後が繋がっており、話の筋が通っていてうまくまとめた、綺麗な構成だなと思った。ただ、さっきの帝一と弾のやりとりには続きがある。実は帝一は生徒会長になれなかったが自分の国を作るのをあきらめたわけではなかった。弾に票を入れたのも自分が最終的に負けるのを悟り、それなら自分で弾の味方に付いた方が印象が良いと思ったからなのだ。これを聞くと帝一は何も変わってない、さっきの感動のシーンはなんだったんだと思うかもしれないが、弾に対して言った"この学校を変えるのはお前のような人間だ"などは嘘の気持ちではないと私は思う。弾と共に行動する中でそういうことはしっかりと気づきつつも自分の国を作るという野心は残ったままなのだと私は考える。
私はこういう筋が通っている話は好きだ。また、弾の"俺の就任式でピアノ弾いてくれよ"的な熱いセリフは凄い好き。それと、主人公のあるべき姿としては弾なんだろうが、あえて弾を主人公にもっていかず帝一を主人公にして話を通して弾のようなやり方が結果を出せることを示すのは上手い構成だなと感じた。というのも主人公が綺麗事をする性格や好青年過ぎると押し付けてるように読者は感じやすいし主人公のことを鬱陶しくも思うからである。そのへん色々こみで良い作品だったなと感じた。役者全体の演技もキャラの個性がしっかり出てて素晴らしかった。私はやっぱり菅田くんが好きなので他の作品もどんどん見ていきたい。
おわり。