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僕が僕自身から解放された日
人生で最も長く時間を共にする人は誰だろうか。それは家族でもなく、友人、恋人でもなく、紛れもなく自分自身だ。
僕は、そんな自分に縛られていたのだけど、ちょっと前にやっと、少しだけ、解放された。
少し昔の話をしよう。
僕が23歳くらいの頃、急に足が痛くなった。
全然身に覚えがなかったのでとりあえず整形外科に行って薬をもらったのだけど、これが一向に治らない。
治らないどころか、日常生活にも支障が出てくるようになった。
病院を転々とし、行き着いた大学病院で「リウマチですね。」と言われた。
それからは、とにかく沢山の薬を飲み、自分で注射をする日々。もちろん医療費だってバカにはならない。
当時は年下の彼女と同棲をしていたのだけど、彼女がいなければ生活ができなかったと言っても過言ではない。
一度床に座ろうものなら自分で立ち上がることはできないし、ペットボトルのフタも開けられない。買い物の時だって、重いものは持てないし、小銭をつかみながら他の小銭を探すという、当たり前のことができない。一人では、とても生活なんてできなかった。
今思うと、当時の彼女はよくこんな身体の相手をしてくれたなぁと感心するし、とても感謝している。
動かない身体で悔しい思いをすることも沢山あったけど、自暴自棄にならなかったのは彼女の支えがあったからだと思っている。
薬が効いてきて、なんとか一人で日常生活が送れるようになったころ、僕らは別れた。
それから数年間、薬を飲み、自分に注射針を刺す生活を続けてきた。
治療のためとは言え、自分で自分に注射するのはいいもんじゃない。
痛みとかではなく、その行為自体に嫌気がさす。
数年間繰り返してきたのに、太ももに針を刺すたびになんとも言えない気持ちになってしまう。
リウマチの薬(皮下注射)というのは人によって合う合わないがあるらしいけど、病院が全ての種類の薬を処方できるわけではないようで、数種類あるなかの1つを使うことになる。
運良く自分に合った薬と出会わなければ、毎月数万円という高い医療費を払っても回復しない、博打みたいなものだ。
リウマチと宣告された病院で処方された薬は、多分合わなかったんだろうな。
数年経って、引越しを機に紹介してもらった病院に通い始めてから、自分に合う薬に出会えた。
劇的な回復とまではいかないけど、一番高額な自己注射のペースが落ちてきて、今年の8月に主治医との相談のもと、自己注射をやめることができた。
まだ薬から離れることができたわけじゃないのに、とても晴れやかな気持ちになったし、嬉しすぎて一人病院で涙を流した。
その時、僕は僕自身から解放された。
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年の瀬に#エモ散らかし隊Advent Calendar 2019 、10日目の記事でした。
エモいってなんだろうね。
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