嘘つき!クレームに乗っかり反転する-味の素「冷凍餃子フライパンチャレンジ」をデコンする-
こんにちは。先日のデコン会では、味の素冷凍食品の『冷凍餃子フライパンチャレンジ』をやったのでシェアします。
「油いらないって!!書いてたじゃん!!!嘘つき!!!」
全てはこのツイートから始まりました。
X(旧Twitter)に投じられた味の素の冷凍ギョーザの皮が張り付いたフライパンの画像が話題となりました。
本来であればきれいに焼けるはずのギョーザが、なぜかフライパンにくっついてしまう。
理由は、テフロン加工がはがれて食材がくっつきやすくなるからで、これは消費者側の問題です。本来であれば
「新しいフライパンを買ってお使いください」
で済む話だけど、味の素冷凍食品はそうしなかった。
彼らが始めたのが「冷凍餃子フライパンチャレンジ」
そのフライパンを送ってもらえませんか?
この嘘つき!ツイート投稿者に対し、味の素冷凍食品は、「調理に使ったフライパンを研究・開発のために着払いで送って欲しい」とリプを送りました。
これが話題になり、
「私のフライパンもつっつく!」などの声が殺到することに。そこで使用済みフライパンを広く募集することしたところ、なんと3,520個ものフライパンが届く事態に。
永久改良
これは味の素冷凍食品のブランドアイデンティティとして、彼らがずっと大事にしてきた言葉です。でもそれが消費者にうまく伝わっていないというのが課題でした。
そこにチャンス到来。
3,520個のフライパンを丁寧に検証していく過程を見せることで、味の素冷凍食品の研究・商品開発に対する真摯な姿勢を可視化すること成功します。
特設サイトを作り、届いたフライパンを載せまくります。3Dスキャンもしてフライパンの傷も見える仕様。まるでフライパンカタログのような、見ているだけで楽しいサイトです。ここに自分のフライパンが載ったら嬉しいでしょうね。
随時進捗を報告し、フライパンの張り付きが26%改善されたことなどを報告。一方で、うまくいかなかったことも、まだつっついてしまう事例があることも正直に告白します。
またサイトのみならず、noteも使って発信をしています。このようなな姿勢や過程を見せることで、ブランドイメージの向上に繋がりました。
人はなぜフライパンを送りたいのか?
今回3,500人を超える人がフライパンを送ってきたわけですが、ここで大事なのは、お金やポイントで釣っているわけではないということ。
金銭的なメリットは何もないのに、何故わざわざ時間かけて梱包し、宅配業者に頼んでフライパンを送るのか?
それは、
参加したい欲、貢献したい欲をくすぐられたから
でしょう。
シンプルに味の素冷凍食品の真摯な姿勢に共感し、研究に協力したいと思った人もいるでしょう。
また「フライパン送ってみた! #フライパンチャレンジ」っていうツイートをしたかった人もいるでしょう。
そのツイートを見て、
「なにそれ?面白そう!」と思う人もいるでしょう。
このようにして味の素冷凍食品の「永久改良」の姿勢、真摯に改良に取り組む姿勢が拡散され続け、PRされ続けました。
クレームに乗っかり、反転させる
今回のこの事例を通じて学ぶべき点は、クレームや消費者の声をいかに活か
していくかというところです。
今回は顧客のツイートに乗っかった。そして話題になったことを利用して、味の素冷凍食品の「永久改良」という企業の姿勢を伝えた。ただ言葉で伝えるのではなく、フライパンというアイテムを使って可視化した。
このサイトを見たら、味の素冷凍食品のこと、好きになっちゃいますよね。「ギョーザ」も買いに行きますよ、そりゃ。
クレームや苦言はチャンスです。それを隠そうとするのは現代において最悪手です。某大手住宅メーカーが自社に都合の悪いツイートを投稿者に消させようとして企業イメージを大きく失墜させたのは記憶に新しいところです。
SNSという大衆の目に触れるところに寄せられたクレームや苦言は最高のパス、フリと言えます。それにいかに乗っかっていくか、打ち返していくか。そしてピンチをチャンスと捉え反転させていくか。
今回のデコンはそのヒントになりました。
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