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悩みごとを曇りない目で見つめるために

悩みを曇りない目で見つめるためには、俯瞰することが大事だと思います。霧深い山の中腹から頂上へ登り、世界を晴々と見下ろすようなイメージですね。そうすることにより、悩みをありのままに見渡せて、奥深くにひそむ本音も見抜くことができるかもしれません。

ここでは、私がはじめて意識的に、自分の悩みを俯瞰したときのエピソードを紹介します。

大学のカウンセリングの講座で…


私は大学生のとき、カウンセリングの講座でワークを行いました。自分が他者とやり取りしたなかで、心に引っかかっている場面を、紙に書き出すワークです。

「いいですか。私はこう思っているとか、相手はこう思っているはずだとか、そのような思い込みは一旦脇に置いておいて。言ったことや行ったことだけを、淡々と書いてくださいね」

教授はそう仰いました。つまり、主観的にならないで、客観的な事実や言動だけを記述しなさいということですね。心理描写がふんだんに盛り込まれた小説というよりも、台詞と状況だけが綴られた脚本のような感じです。

私は確か、母とのケンカの場面を書いたように記憶しています。

母といえば、私が生まれる前からお世話になっている、いちばん身近な他者。誰よりもその性格を分かっているつもりでいました。

でも、不思議ですね。事実だけを書いた紙を、冷静になって見返してみたら、意外な本音が霧の中からうっすらと見えてきました。

(私が反発したのは、母親に理解を求めていたからかもしれないな…)
(母が叱ったのは、私の将来を心配したゆえだろうか…)

私が「思い」からちょっと離れて俯瞰したことで、思い込みから自由になれた瞬間でした。


身近な問題こそ俯瞰してみよう


私たちは、物事を見ているようで、見ているつもりになっていることが多いと思います。だからこそ、意識的に客観視することが大切なんですね。

家族や旧知の知り合いについては特に、よく分かっているし、分かってもらっていると感じてしまいがち。それは長い年月をかけて築き上げた、信頼の証でもあります。ところが、分かり切っているつもりになったら、かえって心の交流の妨げになるかもしれないです。

「母は私に対して、いつも怒ってばかり!」

たとえば私は過去において、そのような思い込みがありました。それでも、事実だけをありのまま見つめたら、母はあらゆる家事で黙々と自分をバックアップしてくれて、怒っているのは一瞬だけでした。しかも、私を叱るのはあくまで愛情ゆえで、叱りすぎて反省したこともあるかもしれません。

正直に告白すると、母に対しては未だに複雑な思いを抱いています。それでも、物理的・心理的に離れて暮すことにより、以前よりも思い込みから自由になりました。


まとめ


悩みごとは俯瞰することにより、全体的・多角的に捉えることができ、思い込みから自由になれます。

自分の性格や身近な人間関係など、至近距離にある問題は、分かり切っているつもりになりがち。だからこそ、俯瞰してみることが重要です。

私が大学生のときにやってみた、客観的な事実や言動だけを記述するワークはおすすめです!他者とのやり取りにおいて、モヤモヤする場面があったら、ぜひ紙に書いてみてくださいね。


(お知らせ)

当記事は、「悩みのフローチャート」の1.の項目の解説です。
詳しくは以下の記事をご覧ください↓


私の学生時代の専門は芸術なのですが、心理学や教育学も勉強していました。発達心理学を参考にしながら、以下の記事も書いています。


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