運動学習とRobotと片麻痺歩行と私
少し余裕ができたので病院内で使用したスライドを投稿
このnoteの結論は”ロボットのリハビリの有効性は徐々に証明されているがその適応や方法は今後検証されていくだろう”である
早速紹介
片麻痺患者の歩行の特徴は歩行パターンとその推進力の産生にある。
脳卒中片麻痺患者の歩行は特定のパターンに分類される。”Extension Thrust Pattern","Stiff Knee Pattern"そして"Buckling Knee Pattern"である。これらは膝関節角度の歩行相での振る舞いによって分類されている。 上記の論文では麻痺側の筋力低下より痙縮の程度や歩行相に応じた筋収縮が膝関節運動と相関していたと結論付けられている。
また、Neptuneらの研究グループでは麻痺側前方推進力(Paretic Propulsion)の減少により歩行速度低下が生じるとしている。この推進力低下には下腿三頭筋の機能不全や立脚後期での大腿四頭筋の遠心性収縮の関与が認められている。
歩行再建を図る上で必須となる下肢装具の使用には"運動学習理論"を反芻する必要がある。今ロボット制御でもその運動の冗長性が問題となっているが、その運動制御についてBernsteinは"自由度"を提唱した。人間が動作を規定する目的で自由度を協調しているとした。関節自由度を調整し、運動の巧緻性を段階的に高めていくというものである。下肢装具療法に当てはめるとKAFOでの難易度調節に重なる部分がある。
人の動作を生み出す"関節自由度"を調節するために存在が推定されたものが"Synergy"である。Bernsteinは自由度と同時に動的システム理論を提唱した。活動は個体・環境・課題によって構築され、その動作を生み出す際に結果として生じるものをSynergyとした。Tingらは、Neuronにて、表面筋電図から次元削減手法の非負値行列因子分解(NNMF)によってModuleを同定し、それぞれの動作の調節を担っていることを発表した。
以上より歩行再建の鍵を握るのは下肢装具による"自由度管理"および環境と課題調整による適切な"Synergyの誘導"である。
今日はここまで。。。。
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