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コミンテルンの謀略と日本の敗戦

日本はなぜ無謀な戦争に突入していったのか?
私の疑問に答えてくれた本。

結論は「日本の自滅」。
コミンテルンが日本に謀略を仕掛けていたこと、その影響で日本が戦争に突入したのもあるが、外国の影響を排除できなかったことが悲劇につながった。

・戦前の日本には「エリートの日本」と「庶民の日本」に分裂していた。
 エリートは、日本の独立を守ためには、過去の歴史との決別をして、西欧文明を取り入れなければならなかった。

・資本主義の矛盾点としての貧困問題を、エリート層は社会主義、共産主義で解決できると考えていた。大正以降、貧困問題に解決諾を提示しようとしていたのは、キリスト教徒と社会主義者だった。

・・エリートたちは「左翼全体主義者」「右翼全体主義者」「保守自由主義者」に分裂していた。「右翼全体主義者」は貧困問題を救おうとする動きに理論的に反論するのではなく、ただ取り締まりと弾圧で臨んだ。結果として、良心から貧困問題を解決したいと考えた人々を
反体制の側に追いやってしまった。

・共産主義運動に関与する人物には5つある
 公然の党員
 非公然の党員
 同伴者(フェロートラベラーズ)
 機会主義者(オポチュニスト)
 騙されやすい人(デュープス)
戦前の日本は共産党を解体に追い込んだが、騙されやすい人たちが残った。彼らが戦争へと導いていった。

・陸軍では皇道派と統制派が対立していた。皇道派は対ソ警戒派、統制派は対外的には中国を武力で叩いて資源を確保し、国内では統制経済を徹底させて日本の戦争遂行能力を高めようと考えた。統制派の考えを突き詰めれば、ファシズムや共産主義につながってゆく。

・5.15事件、2.26事件が起こったのも、軍隊内部にも貧困問題を解決したいと思う人々がいたことを示す。2.26事件で皇道派が排除され、統制派が陸軍を主導するようになった。

・1937年(昭和12年)に始まった支那事変は、何度も和平工作が行われたにもかかわらず、ことごとく失敗して長期化した。その背景には、ゾルゲ、尾崎秀実の工作が会ったことが明らかになっている。

・第一次近衛内閣の中枢に、スパイは食い込んでいた。昭和研究会には尾崎秀実以外にも、共産主義に共感する人々がいた。首相が信頼する助言者として機密事項に触れ、国策を左右できた。

・日本が満州でソ連に圧迫を加えないように、スパイは日中戦争を拡大させようとした。米英は日本と明確に対立していなかったが、コミンテルンはアメリカに中国を支援させるように仕向け、日米対立を煽った。日本は資源が乏しいので、日中戦争を継続させるために南方の資源地帯に目を向けさせるように国策を誘導した。

・なぜ共産主義者が戦争拡大を煽り立てたのか?戦争拡大すれば日本が疲弊し、国民に厭戦気分が高まる。社会不安が増大し、革命のチャンスが訪れる。革命を成し遂げるためには、戦争に負けてもいいと考えている。国家よりも共産革命が大事だと考えている。

・共産党は議会制民主主義を破壊しようとしている。国会を、政治不信を煽る宣伝の場として利用しているに過ぎない。スキャンダルを取り上げて根掘り葉掘り与党を追及するのが日常茶飯事なのは、それが政府与党への信頼が失墜すレバいい。つまらぬ追求をする野党に批判が集まっても、革命政党としては一向に構わない。

・「保守自由主義」は、五箇条の御誓文にある「万機公論に決すべし」のような自由主義的な考え、日本の伝統に立脚していた。統制経済、全体主義の動き敢然と抵抗した。

・「右翼全体主義」は、本来帝国憲法体制の主柱たるべき「保守自由主義」にも社会主義者、自由主義者のレッテルを貼り、弾圧した。美濃部達吉の天皇機関説を排撃したのも彼らである。

・「右翼全体主義者」の動きに「左翼全体主義者」が付け込んで、大政翼賛会を作り、大日本帝国体制を破壊した。昭和初期とは、議会制民主主義と資本主義を敵視する社会主義に共感を覚えた「右と左の全体主義的エリート」によって、「保守自由主義」たるべき大日本帝国憲法体制が損なわれた。

・東條首相は、昭和研究会や革新官僚らの政策案をそのまま使い、戦争目的を際限なく拡大して、終戦を模索しようと主張する者を弾圧していった。

これらの影響は、現在の日本にも引き継がれています。
私の学生時代でも、共産主義に共感している教員がいましたし、左翼活動を勧誘する団体もありました。私より年上の学生運動華やかなりし頃はどうだったのだろう、と思います。

エリートほど、頭で物事を考えますし、論理を重視します。そして、現実を見るよりも、自分の頭で考えたこと学んだことを現実に当て嵌めようと考えます。こうした思考方法をとる人にとっては、社会主義共産主義の理想論は、輝かしいものに見えたことでしょう。ましてや、戦前のような悲惨な貧困問題があり、ソ連の成立があったわけですから。

そして、戦前の日本=悪、軍隊が悪い=軍隊を持たなければ平和になる、という単純な構図の東京裁判史観が広まりました。でも、アメリカの機密文書が明らかになってきて、実はルーズベルト大統領の周りにもコミンテルンのスパイが関与して、日米開戦に導いていったということも明らかになってきています。

これからの日本は方向に進めばいいのか?
戦前の日本のことはタブー視されがちですが、過去の大きな代償をしっかりと検証し、今なお残る影響を良き方向に導くことが大切だと思うのです。

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決断力 高島 徹
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