眠りの狭間で【エッセイ】
朦朧とした意識の中で、私は目を開けた。寝ているのか起きているのか、その境界線は曖昧だ。頭はフワフワとし、過剰な睡眠がもたらす奇妙な浮遊感に包まれている。左肩に鈍い痛みを感じる。寝違えたようだ。この小さな不快感が、現実世界への唯一の繋がりのように思える。
突如、インターホンの音が静寂を破る。半ば夢遊病者のように玄関へ向かい、宅配便を受け取る。箱の中身は謎のままだ。ガンプラの予約日はまだ先のはずなのに。好奇心よりも倦怠感が勝り、箱を開けずに玄関に放置したまま、リビングへと戻る。
ソファに横たわり、U-NEXTでアニメを流す。画面に映る色彩豊かな世界は、私の灰色の現実とは対照的だ。しかし、その世界にも長くは留まれない。眠気が再び襲ってくる。1話を見終えるやいなや、テレビを消してしまう。
暗闇の中、ベッドへと戻る私。「起きて半畳、寝て一畳」という古い諺が頭をよぎる。しかし今日の私は「寝て一畳、また寝て一畳」だ。その意味するところは不明瞭なまま、意識が再び深い眠りの中へと沈んでいく。
この一日は、まるで永遠に続く睡眠と微かな覚醒の狭間にあるようだ。現実と夢の境界線が曖昧になり、時間の感覚さえも失われていく。それでも、この状態には奇妙な安らぎがある。世界の喧騒から切り離された、静寂の中の孤独な安息。
明日は違う日になるだろうか。それとも、この眠りの螺旋は続くのだろうか。答えは知る由もない。ただ、まぶたが重くなり、意識が再び闇に包まれていくのを感じる。そして、また新たな夢の世界へと旅立つのだ。