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アメリカンショートヘアを飼ってみませんか【エッセイ】


吾輩は猫である。名前はにゃんのすけという。

吾輩が最初に目を覚ましたのは、明るく清潔なペットショップの片隅であった。母猫の温もりと兄弟たちの柔らかな毛並みに囲まれ、何不自由なく日々を過ごした。人間どもが頻繁に訪れては吾輩らを覗き込み、時に抱き上げては撫でては戻す。そのような日々が続いた。

生後3ヶ月


やがて吾輩は三月を経て、一匹の人間に選ばれた。これが吾輩の主人となる男である。爾来、吾輩はこの主人と共に暮らすこととなった。今や吾輩は六歳、立派なる成猫となった。

生後4ヶ月


起きるのは未だ暗き事四時半頃からである。薄明かりの中、日課の巡邏を始めるのだ。窓枠に飛び乗り、外を窺う。六年の人生、未だかつて異常なき事、誠に平和なものだ。

生後1年


五時半を過ぎれば腹が鳴る。主人の枕元で鳴いてみるが起きぬ。あきらめて待つ事三十分、六時の鐘と共に自動給餌器より餌が出る。これぞ吾輩の人生最大の楽しみにて、一日に四度この幸福が訪れるのだ。

クローゼットのドアの上に!



八時、主人漸く目覚む。「おはよう」と言えど、悲しいかな人間には猫の言葉は通じぬ。

生後2年、日向ぼっこ



九時、主人外出の支度をす。玄関にて靴を履く主人に頭突きをして止めんとするも効果なし。「行ってきます」との人語に「早く帰れよ」と返すも、これまた通じぬ。

ご主人と一緒に実家にドライブ



主人の居ぬ部屋は広く寂しきものよ。爪を研ぎ、伸びをし、部屋中を歩き回る。水を飲み、用を足す。日向ぼっこをしては眠る。暑ければ涼を取る。かくの如く過ごすうち、日は暮れゆく。

生後3年


夕方、主人の帰宅を待つ。玄関まで出迎え、「おかえり」を連呼す。夜は主人の傍らに在るを最も安らかと感ず。

生後4年、エアウィーブがお気に入り


かくて零時を過ぎ、最後の餌を食す。主人に用を足したる事を告げれば、直ちに始末してくれる。有難き事である。

生後5年、腕まくら



灯火消ゆれば、主人の枕元に行く。本意は主人を寝かしつけんとするにあれど、いつしか吾輩の方が先に夢の世界へと旅立つ。

生後6年、実家にて



斯くの如くして、吾輩の幸福なる一日は終わるなり。明日もまた佳き日なる事を信じつつ、吾輩は眠りにつくのである。​​​​​​​​​​​​​​​​

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