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鈴木成一の視点

鈴木成一の「超実践 装丁の学校」というワークショップの話題がXで流れてきた。それがとても好評のようだったので、自分もグラフィックデザイナーの端くれとしてこのワークショップの記事を読んでみた。

現役のデザイナーも数多く参加するこのワークショップは、後々出版予定の本を題材に参加者が実際にデザインを行い、その中からこの本にふさわしい装丁を選び、実際出版もされるという。
特に興味深いのはラフ案から鈴木成一が直々に講評を行い、そのアドバイスを元に参加者が各自課題を持ち帰り、時間をかけてブラッシュアップを重ね、装丁を仕上げていくという実際の仕事の流れに近い構成になっている所だ。
自分も新人デザイナーに対して講評を行う立場なので、大御所の一流デザイナーがどのような観点や言葉で参加者のデザインのクオリティーを上げていくのか参考にしたい。
鈴木成一が装丁の仕事に取り組むにあたって大切していることは、本の中身に実際目を通し作品を読み込むことだと言う。その作品の内容や世界観の正確な理解が装丁という言語化の及ばない芸術領域における道標となり、それによって初めて作家と読者との橋渡しを目的としたデザインが可能になる。
講評でも上がってきたラフ案に対してしっかりと作品に根ざした観点から的確なフィードバックを返していく様子が印象的だった。
まだ本の内容を知らない読者が装丁からイメージする作品の世界観と乖離してないか、説明し過ぎてないか、説明不足じゃないか、実際に書店で装丁を見た読者が思わずその作品に触れてみたくなる、そのフックになるようなちょうどいい入口にふさわしいデザイン。
そんな奇跡のようなバランスで成り立つ装丁デザインの凄みがありありと伝わってくるような素晴らしい記事だった。

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