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僕とMILKBOY

学生の頃好きなブランドがあった。MILKBOYというMILKのメンズラインだ。デザイナーの大川ひとみはパンクファッションに身を包んだおばちゃんで、MILKBOYはパンクファッションをポップでより可愛らしくストリート風にアレンジしたデザインが特徴的だった。
本店がいわゆるカワイイ文化発祥の地である原宿に位置しており、裏原文化が隆盛を極める90年代、当時まだ田舎に住んでいた僕はわざわざ東京への旅行を計画して買い求めるほどのファンだった。今考えるとストリート系とは言えかなり奇抜な部類のファッションブランドだったこともあり、チェック柄のパンツやボンテージパンツ、豹柄のジャンパー、総ドクロ柄のシャツなど着こなすにはなかなか勇気のいるアイテムも多かった。
今考えれば完全に若気の至りなのだが、ファッションを通じて気分が上がったり、全能感を感じたりという体験をしたのもこのブランドが初めてだった。
この年になるとさすがに自分がそういう服を着たりはしないけど、個性的なファッションを自由に楽しんでいる若い子の服装を見るのがいまだに好きだし、ファッションスナップも趣味で定期的にチェックしているのはこの頃の洋服にかける思いをいまだどこか引きずってるせいかもしれない。
だからこそファストファッション全盛の世の中にあって、決して安くないであろう洋服代をかけてわざわざ人と違う服を選ぶこだわりやスタイル、ポリシーを持った人達に自分は魅力を感じるし、それが表層を着飾るだけの鎧でしかなかったとしても、人と違うことをアピールしないではいられない、ある種のリスクを背負いながら生きている人達に惜しみないエールを送りたい。

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