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村上隆についての認識を改めた日

昨日の日曜美術館はちょうど京都で大規模な個展を行なっている村上隆の特集だった。僕は村上隆についてよく知らない。知ろうともしてないというのが本音だ。表面的なイメージだとポップカルチャーを押し出した芸風で、派手な被り物をしたり無理して芸術家というか変人をを装ってるおじさんという印象だ。しかしこの番組を見て、村上隆に対する自分の認識を改めざるを得なかった。
幼少期からアニメファンだった村上はアニメ制作に関わりたくて絵を極めるために東京芸大に二浪して入学。その後現代アートに目覚め、アニメそのものではなくアニメを題材にしたアート作品へと制作の方向をシフトする。彼が打ち出した有名なSUPER FLATというアートの概念。これも言葉だけは知ってたけど内容についてはよく知らなかった。日本の伝統美術、浮世絵や日本画などに特徴的な平面的なものの捉え方や表現。それが現代のアニメに至るまで一直線上に繋がっていること、その日本独自の視点に着想を得た制作スタイルがその後、彼の中の大きな転回点となったようだ。
若冲の美的価値を世に知らしめた美術史家の辻󠄀惟雄を師と仰いでいる点も興味深い。御年92の老体に鞭を打ってわざわざ展示会に足を運ぶ辻󠄀惟雄と村上のただならぬ関係性にも熱いものを感じたし、普段人を食ったような態度でメディア応対してる村上が師匠を敬いながら会場を案内して回る場面になんだかグッと来てしまった。
そこには先人の功績を素直に認め、なんとしてでも絵が上手くなりたいと必死にもがくオタク少年がいた。
今となってはクールジャパンの旗印となった日本のオタクカルチャー。それを牽引する張本人でもある村上隆、僕はあなたのことを誤解していました。

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